湯沢市を含む秋田旅行からほどなくして今度は鳴子温泉へ行くことになった。湯沢と鳴子は、ざっくり言えば山を隔てて隣同士みたいなものだから、なんだか奇妙なめぐり合わせを感じてしまう。
ちょうど紅葉が見頃かもしれませんね~、なんて言ってたら本当にその時期にあたってた。しかも事前に調査してみると、鳴子峡は紅葉随一の名所となっているらしく、見頃の時期はとんでもなくひどい渋滞が発生するという。
そこで平日のうちに鳴子峡を見学する計画を立てた。移動時間の見積もりも異常に長く確保しておいた。実際には紅葉が一番きれいに見えるベストの時期を若干過ぎていたおかげで渋滞らしい渋滞もなく、人は多いといえども極端な密になることもなく、マイペースを保てた。
あと少し早く来ていればこの絶景もさらに…との思いはあったが、渋滞ドハマりと引き換えになるし、この日で良かったということにしたい。
紅葉の名所・鳴子峡へ
渋滞の予感にびびりまくる
旅の初日の朝。新幹線で移動した仙台の中心街で先発隊と合流。駅前でレンタカーを借りて鳴子へ向けて出発した。天気は曇りがちの晴れ。下り坂の予報だから崩れる前に鳴子峡をクリアしておきたい。湯めぐりは雨でも大丈夫だけど観光は晴れているに越したことはない。
仙台宮城ICから古川ICまで東北道を利用し、古川からは国道47号をずっと西へ。大雑把には鳴子の東西移動はこの国道1本だけしかないようなものだから、ここが渋滞してしまうと逃げ道もなく本当にどうしようもなくなる。
仮にどうにか鳴子峡を見終えたとしても、ちょっとさっきのコンビニへ寄りたいとか、湯めぐりで鳴子地区内をただ移動したいだけなのに、いちいち何十分も渋滞に捕まる光景を想像すると、あまりにおそろしい。びびりまくり。
スムーズに着いて助かった
しかしいくら走っても渋滞が起きる気配は全然なかった。いよいよ鳴子温泉郷に突入し、川渡→東鳴子→鳴子と来てもまったくスムーズ。よかったー…ホッとした。後から振り返るとベストの見頃を少し過ぎて紅葉が終わり始めていたためかな。平日だったおかげもあるだろう(ただし週末にも鳴子をうろうろしたが渋滞は見かけていない)。
※泊まった旅館の方の話ではベストの週末はさすがに大渋滞だったらしい。
事前調査にしたがって、鳴子峡にかかる大深沢橋の手前の駐車場に入る。ここなら無料ですむ。橋を渡った先の鳴子峡レストハウスにもっと広い駐車場があるけど有料。もし渋滞するような時期なら注文を付けず「入れられるところがあれば即決で入れる」スタンスで臨まないと駐車難民化してしまうと思われる。
この日はうまく無料側に止められたとはいえ、ほぼ満車に近かった。やはりなめちゃいけませんね。と、渋滞の話だけでここまで引っ張ってしまったが、それくらい怖かったのよ。
なるほど噂通りの紅葉スポット
撮影隊が並ぶ大深沢橋
駐車場から歩いて大深沢橋を渡りながら、深く切れ込んだ峡谷を見渡す。露出した岩肌、はるか下方に大谷川、そして一面の紅葉。おおこりゃ見事だ。
紅葉は少しくすんだ色が混じって渋みを増している。その点からもベストの時期を過ぎているのがわかった。でも大したもんだ。遠くに見える建物は鳴子峡レストハウス。あそこまで行くのがコースの序盤。
橋の上にはプロかセミプロっぽい重装備のカメラマン複数人が列をなし、ある特定の方向にレンズを向けていた。そちらの方向には鉄道の線路があった…JR陸羽東線ですな。
2年前の春に新庄から鳴子温泉へ移動する際に乗ったら、あの場所で「新緑が素敵なのでご覧ください」と徐行してくれたんだったな。あの時車窓から見えた橋に今自分がいて、あの時の場所を橋の側から見ているわけだ。感慨深い。
紅葉の中を歩きましょう
レストハウスにも展望スポットが設けられている。絵になりそうなのはやはり紅葉に包まれた大深沢橋ですかね。たくさんの人が群がって写真を撮りまくっていた。プロがちゃんと撮ったら観光パンフか絵はがきに使えそうな感じ。
さてここから川の高さまで下っていく遊歩道がある。当然のように皆さん下りていく。我々も後に続いた。ひたすら下るってことは帰りはひたすら上るってことで大変だなこりゃ。進むにつれて大深沢橋をだんだん見上げるようになっていった。
だいぶ下って川面がはっきりと見えるようになると、人工滝があるのがわかった。写真だとわかりにくいが奥へ続くカーブ具合がいい。
鳴子峡の懐にもぐり込む回顧橋
そうしてついに来ました、一番奥の回顧橋。ここで遊歩道は行き止まりになる。さらに奥はこのような感じ。
本当は遊歩道も先まで続いていたようだけど、見ての通りいまや道の体をなしていない。危険だから封鎖されちゃったのかな。回顧橋のすぐそばには名前の付いた岩がいくつかあって、具体的な名前は失念したが、たとえばこういうのがある。
別の岩と大深沢橋と紅葉を1枚にうまいこと収めようとしてみたけれど、素人には難しかったですね~。
写真の撮影時刻をチェックしたところ、下ってくるのに10分ちょっと、もしかすると15分に近い程度かかったようだ。わりとさっさか歩いたつもりでこれだから、体力や景色をじっくり見ながら歩く性分かどうかを考慮して所要時間を予測しましょう。
あとは頑張って遊歩道を上って大深沢橋を渡って駐車場へ戻った。鳴子峡はこれにてコンプリート。
もうひとつの鳴子峡見学
鳴子温泉側から入る遊歩道
まだおまけがあった。上記はどちらかといえば中山平温泉側からのアプローチ。鳴子温泉側からもアプローチしてみようということで翌日行ってみた。天気は雨。
国道47号と鬼首方面への国道108号が分岐するY字路にある古戸前パーキングに車を置いて、鳴子峡方面に3分ほど歩いていくと歩行者用の道と橋が現れる。
橋の下を流れるのは昨日の鳴子峡を通り抜けてきた大谷川。こちら側の紅葉はすっかり終わっていて色のくすみが目立った。
道はやがて川に沿うようになる。このままずっと進んでいくと例の回顧橋までつながっていたんだろう。しかし謎のベンチとフェンスで行く手を阻まれた。
うーん、まあしょうがない。おとなしく引き返した。このあとは隣接する高台の鳴子公園へ。高台の上から、先ほど遊歩道で見た紅葉を展望できる。やっぱり紅葉終わりかけですね。
ついでに日本こけし館を見学
最後に鳴子公園の中にある日本こけし館へ。鳴子の名産品といえばこけし。日本こけし館は文字通りこけしをたくさん展示している。入館料は320円。タイミングがあえば職人さんがこけしを製作する姿も見られる。
中の様子を紹介しようとしたら写真を1枚も撮ってないことに気づいた。すんません。製作工程の紹介や大量のこけしの展示(主に個人のコレクションの寄贈)がある。鳴子系とか山形・作並系とかいろいろ系統があるようだけど自分には理解できなかった。ディープな世界。
とにかく圧倒的なこけしの数が見ものだ。夢に出てきそう。