いろいろ調査した結果、日帰り専門施設「しんとろの湯」が気軽に立ち寄れて評判もなかなか良さそうだと判断した。鳴子峡で紅葉を見学した後に行くと旅のコース的にちょうどいい。よし決めた。しんとろの湯にしよう。
たしかにヌルヌルがすごい。硫黄感も強いし結構じゃないですか。熱いけどね。人の出入りはそこそこあって、人気のほどをうかがわせる。道の駅的な施設が隣りにあるから、旅の拠点としても寄ってみる価値はあると思った。
中山平温泉「しんとろの湯」へのアクセス
旅の初日。仙台からレンタカーで鳴子入りした我ら一行は、渋滞にあうこともなく無事に鳴子峡の紅葉見学を終えた。
事前調査による「紅葉渋滞がとてつもない」という情報に完全にびびっていたから、2kmあまり先にあるしんとろの湯まで20分かかると見積もっていた。しかし実際は紅葉のピークを微妙に過ぎていた&平日だったおかげで渋滞なし。であれば所要時間はものの数分だ。
国道47号を新庄方面に進むとすぐに温泉宿やその看板が見えてくる。どこかで見聞きしたような名前もチラホラと。いよいよ中山平に来たか。やがて国道沿いに当湯の看板も現れた。おー、あそこか、もう着いちゃったよ。駐車場は広さがあり、そこそこ車が止まっていてもまだ十二分に余裕があった。
駐車場に面して「ゆの駅しんとろ」なる食事&売店施設がある。名前からして当湯と同じところが運営する併設店舗に違いない。日帰り温泉付き道の駅のようなポジションを狙ったものと思われる。
鉄道旅の場合、JRに陸羽東線・中山平温泉駅から約1kmだから徒歩でカバーできる。駅にコインロッカーがあるのかとか、そのへんはよくわからない。
これが超ヌルヌル・しんとろの湯だ
わりとお客さんが多い…かな?
入館してまず鍵付きの下足箱に靴をしまい、券売機で利用券を買う。440円。左手に休憩室があるけど当時はたぶんコロナ対策のため封鎖されていた。じゃあさっそくGoTo風呂。大浴場はどこだ、とキョロキョロしかけたら正面すぐだった。灯台下暗し。
脱衣所にはこれから出ていく風の先客が数名。少しばかりごちゃっとした雰囲気になってるぞ。その先入観をもって透明なガラス扉越しに浴室に目をやると、湯船の人口密度が高そうに見えた。人気施設とは聞いていたがここまでとは…(実際はそうでもなかったのだが、見た瞬間は“やばい”と思った)。
貴重品をしまうロッカーは100円を投入したら戻ってこない有料式。ご利用は計画的に。掲示されている分析書には「含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉、低張性、アルカリ性、高温泉」とあった。
とにかく熱いお湯(特に極端だった可能性あり)
浴室内にカランは5台。ちょこっとシャワーを使ったりしているうちに出ていった客がいたみたいで、さあお湯に浸かろうという頃には全然混雑してない感じになってた。個人の都合的には助かったぜ。
あるのは内湯浴槽ひとつのみ。ありがちな「外へ出る扉の向こうに露天風呂」は見えず、ボイラー施設ぽいのしかなかった。そして内湯浴槽は6名規模、8名だと苦しくなってくるかなと思われる大きさ。そこに微妙に緑色をしたささ濁りの湯が湯気を立てている。
では入湯。あちい。いやまじで熱い。自分はぬる湯が好きだからってのを差し引いても、平均的な一般人でも適温を通り越して熱く感じるはずだ。43℃オーバーは確実、44℃台の可能性すらある。
入浴を終えようとした頃にスタッフさんが入ってきて温度をチェックした後、湯口の投入量を絞っていたから、温度調整が熱い方へオーバーシュートしていたものと思われる。不運なタイミングで来てしまったようだ…。
ヌルヌル・トロトロがすごいお湯
しかし逃げるわけにはいかない。しばらくじっと浸かりながらお湯の特徴を確認する。見た目は先ほど書いた通りの微緑濁りで温泉ならではの特別感がある。匂いはかなりはっきりしたゆでタマゴ。その刺激が引き金となって脳から「玉子食いてー」信号が発せられたほどだ。
そして肌触り。ヌルヌル・トロトロはたしかにすごい。何かのスキンケア用品じゃないかってくらいの、普通というものを大きく突き抜けたヌルヌルだ。意味もなくお湯をすくって二の腕にすり込んだり、両手の平をこすり合わせるような動作をしてしまった。ニベアじゃないんだから。
超ヌルヌル+やたら熱いといえば三重県・猪の倉温泉ふよう荘の中浴槽を思い出す。そこにタマゴ臭と微緑濁りを加えたのがここ、しんとろの湯ってところか。度を越した熱さは当時だけの特殊事情かもしれぬが。なにせ風呂あがりに足元を見たら、ゆでダコ・ゆでエビのように真っ赤だったからね。浴室から出てきた他の客の肌の色も真っ赤っかだった。
熱気いっぱいの温泉
結果的には1時間の予定を30分で切り上げて出ることになった。まあ長湯する温度じゃないし、入浴中も客の出入りが結構続いてたから回転を早くしてあげないとね。
当館では温泉の熱を利用して温水を作ったり融雪装置に使ったりしているそうだ。そんな熱気ムンムンのパワーあふれる温泉を扱う設備が本館の隣りにあるけど「有毒ガス危険」で近寄れず。
「おいらに近寄っちゃいけねえよ、やけどするぜ」と啖呵を切る、嵐を呼ぶドラマーのようなしんとろの湯であった。