かつて秋田県の小坂と大館を結んでいた小坂鉄道。その起終点にあたる小坂駅だった跡地が「小坂鉄道レールパーク」という観光スポットになっている。自分は決して鉄ちゃんではないが、名前を聞いてどことなくロマンを感じてしまうこの施設、今回の秋田旅行で小坂を通るとあって無視するわけにはいかない。
現地では往時をしのばせる駅舎・線路・車両群が出迎えてくれた。決して広大な公園ではない。訪れたのが静まり返った雨の日で、イベントやあれこれの体験コーナーの影も形もなかった。それでも久々の鉄分補給には十分であった。
正直すべての展示物の価値を正しく理解していたわけではないから、ふーんという感じでさらっと眺めたけれど、ガチの鉄マニアであれば文字通り小躍りして喜んだのかもしれない。
小坂鉄道レールパークへのアクセス
小坂鉄道レールパークは東北道小坂ICから車で5分というアクセスの良い場所にある。もともと小坂駅だっただけに小坂の町なかにあるわけだからね。国道282号から通りを1本入ったところで迷う要素もない。
旅の3日目の朝に新玉川温泉を出発した我ら一行は、下道コースで大湯環状列石を見学した後に当施設へ向かった。外は冷たい雨。西の方から灰色の厚い雲が次から次へと流れてきて、たまに晴れ間がのぞいてもすぐザーッと本降りに変わる、嫌がらせとしか思えない変な天気。
カーナビを頼ったら国道ではないローカル道に誘導された。つづら折りの山道とはまた違う、コの字が連続するような道で右左折を繰り返すうちに、方向感覚が狂っていった。本当にレールパークへ向かっているのかどうかさっぱりわからん。あと熊注意。
そんなこんなで現地に到着。駐車場はいっぱい空いてる。雨はすっかり小降りになって傘なしで強行突破できるくらいだったが、どうせまた本降りになるんだろうと傘持参で駅舎の中へもぐり込んだ。
ちなみに小坂鉄道は1994年まで旅客営業を行っていたとのこと。その後も貨物輸送を続け、廃止されたのが2009年。へー、わりと最近(?)まで現役だったのね。
前半はホーム上をぶらぶら
レトロ駅舎からの入場
黒板に手書きした時刻表や運賃表など、それっぽい演出のある駅舎内で入場券を購入。500円。昔なつかしの切符(硬券)風なのがグッとくる。改札で硬券にハサミを入れる形で入場するし。
まずは改札を抜けて駅のホームから全体像を把握する。ホームへ出て向かって左側にはいくつかの車両が線路上に留置されてた。
ホームの向かいには比較的新しそうな格納庫のようなものが見える。あのあたりはレールバイク乗り場らしい。足漕ぎでギコギコと走らせるやつでファミリー向けかな。線路の上を走っていけるのが楽しそうですね。この日はお休み。
向かって右側は大館への線路が伸びている方向。すぐそばに車庫も見える。あの車庫は中に入って見学できるようだからあとで行ってみよう。
線路上に留置された車両の数々
ひとまずホームの先の方まで歩いてみた。メンバーの一人は早くもワクワクを抑えきれない様子で撮影しまくっていたな。ホームに停車中であるかのように展示されていたのが蒸気機関車と貴賓客車。現代の身体サイズ感覚でみるとひと回り~ふた回り小さいミニサイズ。
ホームの端っこにいた黄色いやつは、観光トロッコを運行する時にトロッコ車両を牽引する役割みたい。本日はお休み。
もうひとつ、ホームに停車中だったのがレールバイク。4人乗りの前の席に座った人がギコギコ漕いでいくわけですな。自分はもういい年のおっさんだけど、単身でもちょっくら乗ってみたかったね。
あとは少し離れた位置に緑色のラッセル車。現役バリバリ感。
ずいぶんとくたびれてしまってる客車。さすがにお役御免だろう。
後半は車庫内の見学
泊まれるブルートレインあけぼの
ここまで見学したところで急に雨が強くなってきた…ほらね、そうなると思って傘と心の準備をしてましたよ。低気圧の野郎が心理的ダメージを与えようと嫌がらせを仕掛けてきたようだが失敗だな。ご苦労さん、わっはっは(虚勢)。
すかさず車庫内に入り込んだらディーゼル機関車と寝台客車がいた。先頭に「あけぼの」というヘッドマークが付いてる。
かつては上野-青森間にあけぼのという名前の寝台列車が実際に運行されていた。その時の車両が引退してここへ来たってことかな。現在は宿泊施設「ブルートレインあけぼの」として活躍中(2020年はコロナ事情により営業中止)。
ディーゼル機関車の方は事前予約申し込みすれば運転体験できる(2020年はコロナ事情により中止)。なかなか大胆な企画ではないか。そんな機関車の運転台近くまで近寄れちゃったりする。
メカニックがいっぱい
同行メンバーが「あっ、腕木式信号だ!」と叫んだので、自分はなんだかよくわからないまま撮影してみた。きっと珍しい展示なんだろう。記録しておいて損はない。
すごいメカメカしたディーゼルエンジンなんてロマンの塊。
車庫の一番奥に乾電池のCMでおなじみ・エボルタチャレンジに使われた車両もいた。いろんな役者が揃ってますな。
当時は雨やら休止やらで上のような各車両の配置だったけど、状況次第で車庫にいたり表にいたり、表でも居場所が違ってたりするようなので、あくまで参考程度に。あとはちょっとした資料展示室があって見学終了。
ふーん、てなノリでざっと見て回るだけなら時間はかからない。鉄ロマンを味わいながらじっくり見ても1時間あれば十分。ただし各種体験に参加すると半日コースの予感はするし、もちろんブルートレインに宿泊すれば一昼夜だ。近所には康楽館・小坂鉱山事務所といった建築系の見学スポットもある。興味と持ち時間にあわせてどうぞ。