冬の九州遠征で鹿児島空港から帰る前に、空港からアクセス便利な妙見温泉を体験してみることにした。立ち寄り可能な多くの旅館が点在する中から湯治的な性格の強い「田島本館」をチョイス。
当館には「神経痛の湯」と「胃腸の湯+キズ湯」があり、それぞれ別料金となっている。今回は神経痛の湯に入ってみた。
間違いなく効き目ありそうな特徴的なお湯は手加減なしの熱さ。温泉として楽しむ余裕がないほど熱いのは残念だと最初のうちは思ったが、すぐそばの水風呂と併用すると評価はガラッと変わる。最高じゃん。
行程の大半を占める国道504号は、一部が北薩横断道路なる無料高速道路ぽい設計になっており、前後に他の車が1台もいなかったおかげもあって、非常に走りやすかった。ペーパーからサンデードライバー初級に昇格した程度の経験値だけど全然問題なし。
紫尾温泉から1時間ほどで鹿児島空港の北端付近まで来た。乗りたい便まであと3時間。ここから妙見温泉へは15分あれば着くから立ち寄り入浴する余裕は十二分にある。
左手にアーチ型の鉄橋(歩行者専用の橋の1つ先にある妙見大橋)が見えたら、渡る。田島本館の他、妙見館・田中会館・おりはし旅館は左折するようにとの案内標識が立っている。橋から先は車1台分の道幅しかないので注意。
目的地への残りちょっとは分岐ごとに左へ左へ、反時計回りにアプローチするようにして田島本館を目指す。途中でもう1回橋を渡り、田中会館のお隣が田島本館。砂利敷のところが駐車スペースのようだ。
説明によれば2種類の浴場=(1)神経痛の湯と(2)胃腸の湯+傷の湯があるとのこと。それぞれ300円(ネット情報だと250円だけど自分の記録メモだと300円、各自にて要確認)。なんとなくで神経痛を選択。両方に入る時間はさすがにない。
神経痛の湯は木造の素朴な湯小屋の中にある。諸般問題ないようにアングルとタイミングを見計らって撮影するとこのような外観。スマホの電源はここでオフ。
小屋の外に年季の入った手書きの掲示があって、「純重炭酸土類泉、緊張性、低張、高温泉、中性」とあった。神経痛の湯だから適応症はリウマチ性疾患・神経痛・関節炎。源泉温度は49.1℃。
小屋に入ると、木の棚にかごが並ぶだけの脱衣所。床はすのこ敷きだったし、曖昧な記憶ながら洗面台はなかったんじゃないかな。いやあシンプルで素朴だなあ。一応トイレはあります。
焦って手前にあった小さい貯湯槽に注がれるお湯を受けようとしたら、「それ、水!」と声がかかった。あー、これは水風呂なんですね。失礼しました。
ローカルルールがあるかもしれないから周りをよく観察しなきゃ、なんてもう気にせず、開き直って奥の主浴槽から汲み出してかけ湯した。熱うー。かなり熱いぞ。こりゃあ入るのに心の準備が必要だ。
温度以外で印象が強かったのは、とてつもない金気臭。何もしなくても漂ってくるし、お湯をすくって鼻を近づければすさまじいことになる。うっかり何度も嗅いでしまうのは中毒性があるんじゃないかと思い込みたくなるほど。これはすごい。
源泉かけ流しで浴槽からあふれたお湯は床じゅうに広がり、その析出物で床の上には千枚田模様ができているところもあった。床の上にトド寝するとお湯の熱さが緩和されて気持ちいいだろうなと思ったら、実際にやってる人がいたのは、さもありなん。
プチパニックが収まって落ち着いて観察すれば、入口のあたりに洗い場らしき蛇口が確認できた。記憶によれば少し離れて別の蛇口(?)が壁から生えていて「胃腸の湯」の札が付いてたような。飲泉か、あるいはちょろっとだけ浴びられるということだろうか。※記憶違い・見間違いの可能性もあり。
1名サイズの水風呂には誰も入ろうとしない。では遠慮なく。冷てー。こっちはこっちで容赦のない冷たい水。ゆっくり体を沈めていってどうにか胸の下あたりまで浸かれた。肩までは無理。
慣れてくれば、じっとしている限りは大丈夫だ。水風呂で10分粘って再び主浴槽へ…おお! アツクナーイ! 気持ちいいぞ。冷温交互浴の魔力が炸裂した。あつ湯5分→水風呂10分→あつ湯5分→水風呂10分…何回転でもできそうな勢い。
おかげさまで、あの熱い温泉でまさかの50分滞在。熱さでのぼせたからではなく、そろそろ空港へ行かなきゃと時間が気になったから仕方なく出ることにしたほどハマった。
おじさんの神経痛は「神経を逆なでされるようなトホホな出来事が日々多すぎて心が痛い」だから、当湯の効能は正直よくわからないが、一つだけはっきりした入浴効果がある。風呂上がりから体が焦げ臭い。硫化水素型の濃厚硫黄泉じゃないのに、なぜか焦げ臭い。帰りの機内でプンプン匂わせてたかもしれぬ。すまんす。
駐車場から橋を渡った川の対面が現地であるが、駐車場側からすでに龍馬風呂と名付けられた湯船の跡らしきものが見える。龍馬夫妻が入った露天風呂ってことじゃないかな。
現地には川面まで下りていける道や「坂本龍馬 お龍 新婚湯治碑」がある。他には資料館、足湯など。
しかしこの日は休業日だった。承知の上でうろうろしている数組の観光客の他には誰もいない。塩浸温泉の浴場施設にも人の気配はない。
まあチラ見するだけのつもりだったし、こんなもんでいいだろう。心はいつも温泉ぜよ!
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当館には「神経痛の湯」と「胃腸の湯+キズ湯」があり、それぞれ別料金となっている。今回は神経痛の湯に入ってみた。
間違いなく効き目ありそうな特徴的なお湯は手加減なしの熱さ。温泉として楽しむ余裕がないほど熱いのは残念だと最初のうちは思ったが、すぐそばの水風呂と併用すると評価はガラッと変わる。最高じゃん。
妙見温泉「田島本館」へのアクセス
鹿児島空港から15分
朝のうちに出水でレンタカーを借り、さつま町の紫尾温泉・神の湯に立ち寄っていたおじさんは、正午過ぎに次なる目的地・妙見温泉へ向けて出発した。行程の大半を占める国道504号は、一部が北薩横断道路なる無料高速道路ぽい設計になっており、前後に他の車が1台もいなかったおかげもあって、非常に走りやすかった。ペーパーからサンデードライバー初級に昇格した程度の経験値だけど全然問題なし。
紫尾温泉から1時間ほどで鹿児島空港の北端付近まで来た。乗りたい便まであと3時間。ここから妙見温泉へは15分あれば着くから立ち寄り入浴する余裕は十二分にある。
最後の方は道が狭い
JR肥薩線を越えて「←霧島温泉郷/妙見温泉→」の標識があるT字路を右折(※実際には左折して塩浸温泉龍馬公園に寄り道している)。天降川によって作られた新川渓谷と並ぶように走る国道223号は、やがて妙見温泉街に入った。左手にアーチ型の鉄橋(歩行者専用の橋の1つ先にある妙見大橋)が見えたら、渡る。田島本館の他、妙見館・田中会館・おりはし旅館は左折するようにとの案内標識が立っている。橋から先は車1台分の道幅しかないので注意。
目的地への残りちょっとは分岐ごとに左へ左へ、反時計回りにアプローチするようにして田島本館を目指す。途中でもう1回橋を渡り、田中会館のお隣が田島本館。砂利敷のところが駐車スペースのようだ。
印象深いパワフルな温泉
素朴な湯治宿に2つの浴場
当館は素朴な湯治宿の雰囲気があり、行き交うお客さんも地元常連の通じ合った方々とお見受けする。しかし閉鎖的なムードはいささかもなく、受付の接客などはむしろフレンドリーかつ歓迎してくれてる感があってよかった。貴重品も預かってもらえて感謝。説明によれば2種類の浴場=(1)神経痛の湯と(2)胃腸の湯+傷の湯があるとのこと。それぞれ300円(ネット情報だと250円だけど自分の記録メモだと300円、各自にて要確認)。なんとなくで神経痛を選択。両方に入る時間はさすがにない。
神経痛の湯は木造の素朴な湯小屋の中にある。諸般問題ないようにアングルとタイミングを見計らって撮影するとこのような外観。スマホの電源はここでオフ。
小屋の外に年季の入った手書きの掲示があって、「純重炭酸土類泉、緊張性、低張、高温泉、中性」とあった。神経痛の湯だから適応症はリウマチ性疾患・神経痛・関節炎。源泉温度は49.1℃。
小屋に入ると、木の棚にかごが並ぶだけの脱衣所。床はすのこ敷きだったし、曖昧な記憶ながら洗面台はなかったんじゃないかな。いやあシンプルで素朴だなあ。一応トイレはあります。
勝手なアウェー感でパニックになる奴
浴室へ進むと3~4名の先客が「おやっ?!」という視線を向けてきた、気がする。そこにアウェー感を覚えたのがスイッチとなって脳みその認知機能が歪んでしまったようだ。どこで「かけ湯」をすべきかが認識できずプチパニックに。焦って手前にあった小さい貯湯槽に注がれるお湯を受けようとしたら、「それ、水!」と声がかかった。あー、これは水風呂なんですね。失礼しました。
ローカルルールがあるかもしれないから周りをよく観察しなきゃ、なんてもう気にせず、開き直って奥の主浴槽から汲み出してかけ湯した。熱うー。かなり熱いぞ。こりゃあ入るのに心の準備が必要だ。
熱さ・金気臭・析出物が尋常でない
4~5名サイズの主浴槽には青白く半濁りの独特な色合いを見せるお湯が満たされていた。浸かってみるとやっぱり熱い。半端なく熱い。先の紫尾温泉・神の湯も結構な熱さだったけど、ここも負けないくらいに熱い。温度以外で印象が強かったのは、とてつもない金気臭。何もしなくても漂ってくるし、お湯をすくって鼻を近づければすさまじいことになる。うっかり何度も嗅いでしまうのは中毒性があるんじゃないかと思い込みたくなるほど。これはすごい。
源泉かけ流しで浴槽からあふれたお湯は床じゅうに広がり、その析出物で床の上には千枚田模様ができているところもあった。床の上にトド寝するとお湯の熱さが緩和されて気持ちいいだろうなと思ったら、実際にやってる人がいたのは、さもありなん。
プチパニックが収まって落ち着いて観察すれば、入口のあたりに洗い場らしき蛇口が確認できた。記憶によれば少し離れて別の蛇口(?)が壁から生えていて「胃腸の湯」の札が付いてたような。飲泉か、あるいはちょろっとだけ浴びられるということだろうか。※記憶違い・見間違いの可能性もあり。
気持ちの良い冷温交互浴にハマる
大変いいお湯であるのは明らかに感じ取れる。なので熱いからと10分やそこらで出てしまうのはもったいないよな~、どうしようと考えて、先ほどの水風呂でクールダウンに挑戦してみた。1名サイズの水風呂には誰も入ろうとしない。では遠慮なく。冷てー。こっちはこっちで容赦のない冷たい水。ゆっくり体を沈めていってどうにか胸の下あたりまで浸かれた。肩までは無理。
慣れてくれば、じっとしている限りは大丈夫だ。水風呂で10分粘って再び主浴槽へ…おお! アツクナーイ! 気持ちいいぞ。冷温交互浴の魔力が炸裂した。あつ湯5分→水風呂10分→あつ湯5分→水風呂10分…何回転でもできそうな勢い。
おかげさまで、あの熱い温泉でまさかの50分滞在。熱さでのぼせたからではなく、そろそろ空港へ行かなきゃと時間が気になったから仕方なく出ることにしたほどハマった。
おじさんの神経痛は「神経を逆なでされるようなトホホな出来事が日々多すぎて心が痛い」だから、当湯の効能は正直よくわからないが、一つだけはっきりした入浴効果がある。風呂上がりから体が焦げ臭い。硫化水素型の濃厚硫黄泉じゃないのに、なぜか焦げ臭い。帰りの機内でプンプン匂わせてたかもしれぬ。すまんす。
おまけ:坂本龍馬ゆかりの塩浸温泉
妙見温泉の前に塩浸温泉龍馬公園に行ってみた。温泉に入るつもりはなく、観光気分でチラ見したいだけ。かの坂本龍馬が新婚旅行で訪れた地だそうだ。駐車場から橋を渡った川の対面が現地であるが、駐車場側からすでに龍馬風呂と名付けられた湯船の跡らしきものが見える。龍馬夫妻が入った露天風呂ってことじゃないかな。
現地には川面まで下りていける道や「坂本龍馬 お龍 新婚湯治碑」がある。他には資料館、足湯など。
しかしこの日は休業日だった。承知の上でうろうろしている数組の観光客の他には誰もいない。塩浸温泉の浴場施設にも人の気配はない。
まあチラ見するだけのつもりだったし、こんなもんでいいだろう。心はいつも温泉ぜよ!
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