長崎県の温泉といえば真っ先に雲仙温泉が思い浮かぶ。火山性を意識させる、地獄谷から湧き出る白濁硫黄泉と聞けば、どうしても行ってみたくなるってもんだ。
しかし一人旅で泊まろうとすると、特に休前日は、おひとりさまウエルカム&お高すぎない宿の空室を見つけるのはハードル高め。今回は雲仙小地獄温泉という、狭義の雲仙温泉とは微妙に違う場所にある「青雲荘」を利用させてもらった。
お湯は大変よろしかった。熱いけど。夜のイベントの送迎もしてくれて、なかなかサービス頑張ってますな。
自分はもちろん前者。小浜で途中下車して小浜温泉「蒸気家」へ立ち寄り入浴した後、あらためて雲仙行きのバスに乗った。
小浜はいかにも海の街って感じだが、バスはここから急に山道を進み始め、ぐんぐんと標高を上げていく。海の小浜&山の雲仙という強力タッグ。なんとなく熱海&箱根を連想してしまった。
登りだしてから30分ほどで当館最寄りの小地獄入口停留所が近づいてきた。だがあえて一つ先の「お山の情報館」で下車。雲仙地獄の見学を先にすませてから、歩いて小地獄入口まで戻って来た。
やがてやや開けた場所へ出てきた。やけに人々の活気が感じられる脇道へと入っていくと、小地獄温泉館なる日帰り施設があった。
雰囲気ばっちりの建物と人々が吸い込まれていく様子から、いい温泉に違いないと興味をそそられたが、もう16時半だ。青雲荘の風呂でゆっくりしたかったので残念ながらパス。
青雲荘は小地獄温泉館のすぐ近く、坂を下ったところにあった。5階建てのわりと大規模な施設である。駐車場もすごく広い。
チェックインの際、今夜は花火イベントがある旨を案内された。希望者はフロント前の名簿に記入しておいてほしいとの由。せっかく雲仙まで来たし、まあ行くよね。イベントの様子は別記事で。
館内は新しく洗練された雰囲気でケチのつけようがない。しいて言うなら全館の規模に対してエレベータが1基しかなくて長く待たされやすいのが難点か。ちなみにロビーはこんな感じ。
お土産コーナーもございます。
空の冷蔵庫あり、電子式の金庫あり。シャワートイレ・洗面台あり。すべてが21世紀水準で快適そのもの。浴衣のかわりに用意されていた作務衣は、フリーサイズとラージサイズの2つ。ネット環境についてはフリーWiFiあり。スマホのアンテナは、自分の機種はばっちり立っていた。
今回は駐車場側の部屋だから、ベランダに出て見える景色はこのような感じ。右手の建物は別の旅館で、そこからもっと右奥の、写真から切れちゃってるところに小地獄温泉館がある。
内湯は手前が男湯、奥が女湯で男女の入れ替えはない。さて…やっぱり明るいうちに露天風呂に行っておこうか。21時で終わりらしいし、入れるうちに入っとかないと。ずーっと奥まで進んで、いったん外へ出ると露天風呂棟がある。
こちらの棟は木の素材感が強調され、より洒落た雰囲気が漂う。夕方も翌朝も左が男湯だったから入れ替えはないようだ。脱衣所では100円いらずの鍵付きロッカーを利用する。掲示された分析書には「単純硫黄温泉、低張性、弱酸性、高温泉」とあった。
お湯は見事なまでに白く濁ってる。数センチ先がもう見えないくらいだから相当なもんだ。さらに細かい白い粒状の湯の花が大量に舞っている。甘酒のアレをもっと細かく砕いてばらまいた感じ。
てっきり地獄谷でたっぷり嗅がされたタマゴ臭・硫化水素臭が強いのかと思ったら、そうでもなかった。無臭ではないけど比較的アクの少ない、お上品な匂いである。これならたいがいの人は大丈夫でしょう。
慣れてくれば浴感を楽しむ余裕も出てくる。源泉かけ流しの白濁硫黄泉はありがたみが違うね。ふと指先を見たら、旅立ち前にかなり短く切ったはずの爪がもうはっきりわかるくらいに伸びていた(爪の先の白い部分が不自然なスピードで成長)。なんじゃこりゃあ。
ちなみに湯船に浸かりながら絶景が見えるかという意味での眺望は期待しすぎない方がいい。先ほどの4名分の洗い場がある方へ行けば山の斜面が見える程度。良い温泉だからお湯に集中しましょう。
休前日の夕方で客は5~6名。空いてはいないけど嫌になる混雑でもない。翌朝6時台は2~3名でお湯は若干透明度が増していた。
浴室内に洗い場は15名分。唯一の浴槽は余裕で向かい合わせになれて20名いけるサイズ。一方の端には打たせ湯が2本。他方の端には2名分の寝湯区画あり。
お湯そのものは露天風呂と一緒。熱いのも一緒。いい湯だけど長湯できないのだけが惜しい。加水していいから、ぬるくした小さい浴槽があれば交互に入る楽しみもあったかもなー、と勝手なことを考えてしまった。
入浴後はお肌すべすべ。
スターティングメンバーがこれ。このところ我が胃袋が急激にシュリンクしていたので、炭酸でお腹が膨れることを警戒してビールを避けて日本酒にした。
途中で出てきた茶碗蒸しになんかプリプリしたものが入ってるなと思ったら、フカヒレ中華あんかけだった。そして洋食風に仕立てた寒ブリのグリルとそばの入った鴨すき。
締めのご飯は島原半島米。いやー満腹。普通に考えてとても食べ切れない量の料理をドカーンと出してくる旅館は少なくない。それらと比べるとここは控えめ、とはいえ十分である。これ以上は苦しくなっちゃうからちょうどいい。
用意された料理のバリエーションは可もなく不可もなくといったところ。一応、米とパンのどちらの組み立てもできる。朝はそんなに食べないからと思いつつ取ってきたのがこれ。
島原たまごは新鮮な美味しさを味わってほしいからか、生で提供されてた。旅行先だと可能であればお粥を選んでしまうのは、なぜなんだぜ。胃にやさしそうだからかな。おいしくいただいて最後にコーヒーで終了。
ぬるい熱いはおいとくと、お湯はたしかにすばらしかった。一人で気軽に泊まれたし、いいんじゃないでしょうか。夜の花火イベントの送迎もしてくれたし。
このさい小地獄と謙遜することもあるまい。もう大地獄でいいよ。それがだめなら超地獄とかオルタナティブ地獄とかシンギュラリティ地獄はどうか。デン助もきっと賛同してくれるだろう。
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しかし一人旅で泊まろうとすると、特に休前日は、おひとりさまウエルカム&お高すぎない宿の空室を見つけるのはハードル高め。今回は雲仙小地獄温泉という、狭義の雲仙温泉とは微妙に違う場所にある「青雲荘」を利用させてもらった。
お湯は大変よろしかった。熱いけど。夜のイベントの送迎もしてくれて、なかなかサービス頑張ってますな。
雲仙小地獄温泉「青雲荘」へのアクセス
海から山への急変化
東京方面から公共交通機関で雲仙温泉へ行くには、羽田 or 成田空港→長崎空港→(バス)諫早→(バス)雲仙、のルートになると思う。鉄系の方は諫早→(島原鉄道)島原港→(バス)雲仙にするかもしれない。自分はもちろん前者。小浜で途中下車して小浜温泉「蒸気家」へ立ち寄り入浴した後、あらためて雲仙行きのバスに乗った。
小浜はいかにも海の街って感じだが、バスはここから急に山道を進み始め、ぐんぐんと標高を上げていく。海の小浜&山の雲仙という強力タッグ。なんとなく熱海&箱根を連想してしまった。
登りだしてから30分ほどで当館最寄りの小地獄入口停留所が近づいてきた。だがあえて一つ先の「お山の情報館」で下車。雲仙地獄の見学を先にすませてから、歩いて小地獄入口まで戻って来た。
近くの小地獄温泉館も良さげ
青雲荘は小地獄入口から800m・徒歩10分ほど離れている。一本道だから迷うようなことはない。道幅は狭くて歩道が整備されているわけでもなく、車は時々通るけど他に歩いている者もなく、茂みから野生動物が出てきそうな雰囲気。九州に熊はいないというからまあいいか。やがてやや開けた場所へ出てきた。やけに人々の活気が感じられる脇道へと入っていくと、小地獄温泉館なる日帰り施設があった。
雰囲気ばっちりの建物と人々が吸い込まれていく様子から、いい温泉に違いないと興味をそそられたが、もう16時半だ。青雲荘の風呂でゆっくりしたかったので残念ながらパス。
青雲荘は小地獄温泉館のすぐ近く、坂を下ったところにあった。5階建てのわりと大規模な施設である。駐車場もすごく広い。
安心感のあるきれいなホテル
洗練された雰囲気の館内
玄関前には看板犬・デン助の置物が。かつて当館に実在した兄弟犬がモデルとのこと。好物は、でん六豆、なわけはない。チェックインの際、今夜は花火イベントがある旨を案内された。希望者はフロント前の名簿に記入しておいてほしいとの由。せっかく雲仙まで来たし、まあ行くよね。イベントの様子は別記事で。
館内は新しく洗練された雰囲気でケチのつけようがない。しいて言うなら全館の規模に対してエレベータが1基しかなくて長く待たされやすいのが難点か。ちなみにロビーはこんな感じ。
お土産コーナーもございます。
最新鋭で快適な部屋
割り当てられた部屋は5階のツイン洋室。一人で利用する分には十分すぎるほどに広い。照明はリモコンで調光できるやつだった。最近こういうの多いね。空の冷蔵庫あり、電子式の金庫あり。シャワートイレ・洗面台あり。すべてが21世紀水準で快適そのもの。浴衣のかわりに用意されていた作務衣は、フリーサイズとラージサイズの2つ。ネット環境についてはフリーWiFiあり。スマホのアンテナは、自分の機種はばっちり立っていた。
今回は駐車場側の部屋だから、ベランダに出て見える景色はこのような感じ。右手の建物は別の旅館で、そこからもっと右奥の、写真から切れちゃってるところに小地獄温泉館がある。
小地獄の恵みを存分に楽しめる大浴場
洒落た露天風呂棟
さっそく温泉に入りましょう。青雲荘の大浴場は1階にある。日帰り客の割合が結構高そうに見える。問題なさそうなアングルから入口付近を撮ってみた。ここでスマホの電源オフ。内湯は手前が男湯、奥が女湯で男女の入れ替えはない。さて…やっぱり明るいうちに露天風呂に行っておこうか。21時で終わりらしいし、入れるうちに入っとかないと。ずーっと奥まで進んで、いったん外へ出ると露天風呂棟がある。
こちらの棟は木の素材感が強調され、より洒落た雰囲気が漂う。夕方も翌朝も左が男湯だったから入れ替えはないようだ。脱衣所では100円いらずの鍵付きロッカーを利用する。掲示された分析書には「単純硫黄温泉、低張性、弱酸性、高温泉」とあった。
見事なまでの白濁湯
露天風呂には洗い場が6名分。右手の角を曲がった先にも4名分あり。細長い形をした岩風呂は、向かい合わせに入るとやや余裕なく感じるから片側だけに並ぶとすると、10名サイズかな。お湯は見事なまでに白く濁ってる。数センチ先がもう見えないくらいだから相当なもんだ。さらに細かい白い粒状の湯の花が大量に舞っている。甘酒のアレをもっと細かく砕いてばらまいた感じ。
てっきり地獄谷でたっぷり嗅がされたタマゴ臭・硫化水素臭が強いのかと思ったら、そうでもなかった。無臭ではないけど比較的アクの少ない、お上品な匂いである。これならたいがいの人は大丈夫でしょう。
なかなかシビアな熱さ
あと覚悟はしていたものの熱い。先に体験した小浜温泉もたいがい熱いが、ここも負けないくらいに熱い。湯口付近は特に熱い。なるべく湯口の近くで新鮮な源泉を…なんて温泉通を気取ってる場合じゃないぞと速攻で湯尻へ移動した。真冬で良かった。慣れてくれば浴感を楽しむ余裕も出てくる。源泉かけ流しの白濁硫黄泉はありがたみが違うね。ふと指先を見たら、旅立ち前にかなり短く切ったはずの爪がもうはっきりわかるくらいに伸びていた(爪の先の白い部分が不自然なスピードで成長)。なんじゃこりゃあ。
ちなみに湯船に浸かりながら絶景が見えるかという意味での眺望は期待しすぎない方がいい。先ほどの4名分の洗い場がある方へ行けば山の斜面が見える程度。良い温泉だからお湯に集中しましょう。
休前日の夕方で客は5~6名。空いてはいないけど嫌になる混雑でもない。翌朝6時台は2~3名でお湯は若干透明度が増していた。
広くて打たせ湯がある内湯
露天風呂の帰りと夜寝る前に内湯へ行ってみた。和モダン風のお洒落感は露天風呂に譲るが、こちらも決して古びてはいない。午前の一部時間帯を除いていつでも利用できるのと広いのはいいですね。浴室内に洗い場は15名分。唯一の浴槽は余裕で向かい合わせになれて20名いけるサイズ。一方の端には打たせ湯が2本。他方の端には2名分の寝湯区画あり。
お湯そのものは露天風呂と一緒。熱いのも一緒。いい湯だけど長湯できないのだけが惜しい。加水していいから、ぬるくした小さい浴槽があれば交互に入る楽しみもあったかもなー、と勝手なことを考えてしまった。
入浴後はお肌すべすべ。
しっかり味わって楽しめる食事
ちょうどいい塩梅の夕食
今回のプランだと食事は朝夕とも2階のレストラン「エーデルワイス」で。夕食はあらかじめ決まった席に案内された。両隣のグループとひと続きになってるテーブルは、ぼっちの精神力を試されそうだったけど、夕食時間がずれてたみたいで両隣とも不在。助かったぜ。スターティングメンバーがこれ。このところ我が胃袋が急激にシュリンクしていたので、炭酸でお腹が膨れることを警戒してビールを避けて日本酒にした。
途中で出てきた茶碗蒸しになんかプリプリしたものが入ってるなと思ったら、フカヒレ中華あんかけだった。そして洋食風に仕立てた寒ブリのグリルとそばの入った鴨すき。
締めのご飯は島原半島米。いやー満腹。普通に考えてとても食べ切れない量の料理をドカーンと出してくる旅館は少なくない。それらと比べるとここは控えめ、とはいえ十分である。これ以上は苦しくなっちゃうからちょうどいい。
島原の食材が並ぶ朝食
朝は自由席のバイキング形式。7時からやっている。7時15分くらいに行ったらガラガラ、しかし30分くらいすると団体さんがドヤドヤっとやって来て人口密度が急増した。参考までに。用意された料理のバリエーションは可もなく不可もなくといったところ。一応、米とパンのどちらの組み立てもできる。朝はそんなに食べないからと思いつつ取ってきたのがこれ。
島原たまごは新鮮な美味しさを味わってほしいからか、生で提供されてた。旅行先だと可能であればお粥を選んでしまうのは、なぜなんだぜ。胃にやさしそうだからかな。おいしくいただいて最後にコーヒーで終了。
ぬるい熱いはおいとくと、お湯はたしかにすばらしかった。一人で気軽に泊まれたし、いいんじゃないでしょうか。夜の花火イベントの送迎もしてくれたし。
このさい小地獄と謙遜することもあるまい。もう大地獄でいいよ。それがだめなら超地獄とかオルタナティブ地獄とかシンギュラリティ地獄はどうか。デン助もきっと賛同してくれるだろう。
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