九州だったら真冬でも雪とか心配しなくていいんじゃないか、という安易な発想で冬の九州温泉めぐりを企てた。最初に目指したのは温泉を抜きにしてもまだ行ったことがなかった長崎県。
その長崎の初入湯は島原半島西側にある海沿いの小浜温泉「湯宿 蒸気家」への立ち寄り入浴。基本的に素泊まり・朝食のみ宿泊・日帰り利用を対象とした宿である。
小浜温泉らしいあつ湯に加え、宿名の通りに温泉の蒸気を利用した蒸し風呂が特徴だ。個人的に熱いのは苦手なんだが結構楽しませてもらいました。
諫早駅から小浜を通る路線はいくつかあるみたい。自分は雲仙・島原行きに乗ったが、口之津・大屋行き、有家行きでもいいようだ。いずれにせよ本数は少ないのでアドリブ危険。
諫早での乗り換え待ち時間を含めて、長崎空港から小浜温泉まで2時間かかった。結構遠いっすね。小浜ターミナル停留所で下車すると、道路の向かいが観光協会の案内所だった。
玄関脇には温泉蒸し釜があった。宿泊客はこの蒸し釜を無料で利用できる。適当に食材を調達して使ってくださいというわけだ。また朝食に出される蒸し料理もここで作られるっぽい。
こういう芸当が可能なのは小浜温泉が源泉温度95~105℃もの相当な高温泉だからだ。含有成分があるから水道水とは違うけど、沸騰した状態で湧き出ている光景をつい想像してしまう。どんだけ~。
脱衣所に入った瞬間からそれっぽい温泉臭が立ち込めており、さっそくセンサーにビビッときた。こいつは本物だぜ。しかし分析書の掲示は見当たらず。小浜温泉で一般的なナトリウム-塩化物泉と思われる。
貴重品は後で100円戻ってくる鍵付きロッカーに入れる。脱いだ服をしまうシンプルな木の棚に鄙び感があるも、洗面台は妙に新しくてきれい。
浴槽は内湯の一つのみ。露天風呂などはない。リゾートというよりは湯治・静養寄りの性格が強そうだから、まあいいでしょう。ハード面はしっかりしており不満はない。壁に富士山、じゃなくて雲仙の山かな、が描かれているのは銭湯的。
さて唯一の浴槽は、ひょうたんを左右真っ二つに割って右半分だけを持ってきたような、“B”の字を寝かせたような形をしている。8名くらいは入れそうな大きさだ。隅っこの一部が浅くなっていて、そこで2名が寝湯できる感じ。
また奥の壁際に沿って数箇所から泡がボコボコと浮き出ていた。ジャグジーとはちょっと違う雰囲気で、見方によってはお湯が沸騰したときに出てくるあぶくに見えなくもない、怖ぇー(実際はもちろん違います)。
浸かってみると熱い。わかっちゃいたけど熱い。析出物がこびりついた湯口へ近づくにつれてどんどん熱くなる。こりゃたまらんと、浅くなった寝湯部分へ退避した。そこなら湯口から遠いし、浅いおかげか、まだなんとかなる温度だったため、ほとんどは寝湯状態で過ごした。
無色透明のお湯をクンクン嗅いでみると微かに硫黄っぽい匂いがする。若干ヌルヌルした感触もあり、先ほどのスッテンコロリンしそうになった滑りやすさにつながる特徴だろう。
個人的に苦手とする熱さを抜きにすればなかなか結構なお点前である。お肌も喜んでおります。ふと見ると早くも指先がしわしわになっていたし、温泉のありがたみは十二分に感じることができる。
木製の個室の扉を開けたら、かなり強い温泉臭を感知したせいで、なぜか東北の秘湯を連想した。なぜかは知らん。
中に入って腰掛けると、下から湯気がもうもうと上ってきた。100℃の源泉を床下に通しているのではなかろうか。じわじわと汗が吹き出してくるが、サウナと違って熱さでひりつくような感じはしない。
なるほどこれが蒸し風呂か。数分後、蒸し釜に入れられた野菜になった気分で個室を出た。心なしか体が軽くなった気がするぞ。再び内湯へ戻り、そしてまた蒸し風呂へ、最後は内湯で締めて、熱い熱い言いながらもしつこく堪能した。
今回の旅行では1箇所を除いてすべてあつ湯だった。しかも熱めの適温どころか、相当なレベルで熱いところばかり。狙ったわけじゃないし、本当はぬる湯が好きなんだけどね…今にして思えば先行きを暗示するような蒸気家のお湯であった。
続いて「炭酸泉」という案内標識につられて現地へゴー。とある一角で唐突に湧いていた。小浜温泉とは全然違う、微かに青みががって白濁した源泉。
試しに軽く口に含んでみたら(すぐにペッと吐き出したが)シュワシュワ感はせず若干の金気臭があったような。温かくはないけど25℃あるかられっきとした温泉だ。小浜温泉とあわせて冷温交互浴できたら最高ですな。
足湯の近くにあったのが大きい蒸し釜。目の前の売店で玉子や野菜を買って入れるみたい。この辺りは海が見えて人がワイワイしていて明るい雰囲気で楽しげだ。
最後に海上露天風呂「波の湯 茜」。堤防から海へせり出すように作られ、波が高い時は休業になってしまうほど海面が近い。
たぶんこんな橘湾の風景が見えるんじゃないかと思う。すぐ近くの場所から撮ってみた。普通に小舟がいるんだけど、風呂がもろ見えじゃないのかな。
てなわけで散策終了。温泉街に小浜ちゃんぽんの店が何軒かあって、一般的な長崎ちゃんぽんとはどう違うのか、食べてみたかった気もするな。
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その長崎の初入湯は島原半島西側にある海沿いの小浜温泉「湯宿 蒸気家」への立ち寄り入浴。基本的に素泊まり・朝食のみ宿泊・日帰り利用を対象とした宿である。
小浜温泉らしいあつ湯に加え、宿名の通りに温泉の蒸気を利用した蒸し風呂が特徴だ。個人的に熱いのは苦手なんだが結構楽しませてもらいました。
小浜温泉「蒸気家」へのアクセス
長崎空港からバスを乗り継ぐ
東京方面から当湯へ向かうとしたら、まず空路で長崎空港へ飛ぶだろう。空港から公共交通機関を利用するとなると、直行する手段はない(たぶん)。いったん長崎県営バスで諫早駅まで行って島鉄バスに乗り換える。諫早駅から小浜を通る路線はいくつかあるみたい。自分は雲仙・島原行きに乗ったが、口之津・大屋行き、有家行きでもいいようだ。いずれにせよ本数は少ないのでアドリブ危険。
諫早での乗り換え待ち時間を含めて、長崎空港から小浜温泉まで2時間かかった。結構遠いっすね。小浜ターミナル停留所で下車すると、道路の向かいが観光協会の案内所だった。
温泉蒸しに適した熱い源泉
そうして右へ顔を向けると、はい、蒸気家。白い湯煙を盛んに吐き出しているのが見える。まさに蒸気の館。玄関脇には温泉蒸し釜があった。宿泊客はこの蒸し釜を無料で利用できる。適当に食材を調達して使ってくださいというわけだ。また朝食に出される蒸し料理もここで作られるっぽい。
こういう芸当が可能なのは小浜温泉が源泉温度95~105℃もの相当な高温泉だからだ。含有成分があるから水道水とは違うけど、沸騰した状態で湧き出ている光景をつい想像してしまう。どんだけ~。
まさに“蒸気家”というべきお風呂
いきなり本物感をアピールするにおい
では入館。一見さんの日帰り入浴には慣れているようで、スムーズな対応をしてもらえたから、こちらもずいぶんと気楽だ。料金は450円。脱衣所に入った瞬間からそれっぽい温泉臭が立ち込めており、さっそくセンサーにビビッときた。こいつは本物だぜ。しかし分析書の掲示は見当たらず。小浜温泉で一般的なナトリウム-塩化物泉と思われる。
貴重品は後で100円戻ってくる鍵付きロッカーに入れる。脱いだ服をしまうシンプルな木の棚に鄙び感があるも、洗面台は妙に新しくてきれい。
ちょっと変わった形の内湯浴槽
浴室ですぐ目につくのは木製の試着室みたいな蒸し風呂2基。こいつは後で体験してみることにしよう。カランは5つ。そういえば滞在中はずっと他の客がいなくて完全な独占タイムだった。やったぜ。浴槽は内湯の一つのみ。露天風呂などはない。リゾートというよりは湯治・静養寄りの性格が強そうだから、まあいいでしょう。ハード面はしっかりしており不満はない。壁に富士山、じゃなくて雲仙の山かな、が描かれているのは銭湯的。
さて唯一の浴槽は、ひょうたんを左右真っ二つに割って右半分だけを持ってきたような、“B”の字を寝かせたような形をしている。8名くらいは入れそうな大きさだ。隅っこの一部が浅くなっていて、そこで2名が寝湯できる感じ。
また奥の壁際に沿って数箇所から泡がボコボコと浮き出ていた。ジャグジーとはちょっと違う雰囲気で、見方によってはお湯が沸騰したときに出てくるあぶくに見えなくもない、怖ぇー(実際はもちろん違います)。
熱いのが苦手な方は寝湯へどうぞ
では入ろう。としたら、いきなり滑って転びかけた。お湯がすごく滑りやすいから注意。浸かってみると熱い。わかっちゃいたけど熱い。析出物がこびりついた湯口へ近づくにつれてどんどん熱くなる。こりゃたまらんと、浅くなった寝湯部分へ退避した。そこなら湯口から遠いし、浅いおかげか、まだなんとかなる温度だったため、ほとんどは寝湯状態で過ごした。
無色透明のお湯をクンクン嗅いでみると微かに硫黄っぽい匂いがする。若干ヌルヌルした感触もあり、先ほどのスッテンコロリンしそうになった滑りやすさにつながる特徴だろう。
個人的に苦手とする熱さを抜きにすればなかなか結構なお点前である。お肌も喜んでおります。ふと見ると早くも指先がしわしわになっていたし、温泉のありがたみは十二分に感じることができる。
自慢の蒸し風呂に潜入
さてお次は試着室、じゃなくて蒸し風呂に入ってみるとするか。ふだんはサウナがあっても興味なくてスルーするんだが、これは体験してみないと。扉の前にはさまざまな注意書きがあって、利用は3分以内というのが特に記憶に残っている。粘りすぎるとやばそうね。木製の個室の扉を開けたら、かなり強い温泉臭を感知したせいで、なぜか東北の秘湯を連想した。なぜかは知らん。
中に入って腰掛けると、下から湯気がもうもうと上ってきた。100℃の源泉を床下に通しているのではなかろうか。じわじわと汗が吹き出してくるが、サウナと違って熱さでひりつくような感じはしない。
なるほどこれが蒸し風呂か。数分後、蒸し釜に入れられた野菜になった気分で個室を出た。心なしか体が軽くなった気がするぞ。再び内湯へ戻り、そしてまた蒸し風呂へ、最後は内湯で締めて、熱い熱い言いながらもしつこく堪能した。
今回の旅行では1箇所を除いてすべてあつ湯だった。しかも熱めの適温どころか、相当なレベルで熱いところばかり。狙ったわけじゃないし、本当はぬる湯が好きなんだけどね…今にして思えば先行きを暗示するような蒸気家のお湯であった。
おまけ:小浜温泉街の散策
炭酸泉が湧いている
蒸気家を出た時点で乗りたいバスまであと50分もある。そこで温泉街を散策してみた。海のそばを通る国道から1本山側に入り、人通りの少ない昭和レトロな町並みの中を歩く。と、小浜神社があった。拝殿の天井に龍の絵があることを当時は知らずにスルーしちゃった。続いて「炭酸泉」という案内標識につられて現地へゴー。とある一角で唐突に湧いていた。小浜温泉とは全然違う、微かに青みががって白濁した源泉。
試しに軽く口に含んでみたら(すぐにペッと吐き出したが)シュワシュワ感はせず若干の金気臭があったような。温かくはないけど25℃あるかられっきとした温泉だ。小浜温泉とあわせて冷温交互浴できたら最高ですな。
海のそばの足湯と露天風呂
海の方へ出ると公園広場が整備されていて、日本一長い足湯があった。大勢の客が鈴なりのところへスマホを向けるのはためらわれたから、端っこの人のいないところを撮影。足湯全体はこの何倍も何倍も長い。足湯の近くにあったのが大きい蒸し釜。目の前の売店で玉子や野菜を買って入れるみたい。この辺りは海が見えて人がワイワイしていて明るい雰囲気で楽しげだ。
最後に海上露天風呂「波の湯 茜」。堤防から海へせり出すように作られ、波が高い時は休業になってしまうほど海面が近い。
たぶんこんな橘湾の風景が見えるんじゃないかと思う。すぐ近くの場所から撮ってみた。普通に小舟がいるんだけど、風呂がもろ見えじゃないのかな。
てなわけで散策終了。温泉街に小浜ちゃんぽんの店が何軒かあって、一般的な長崎ちゃんぽんとはどう違うのか、食べてみたかった気もするな。
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