高評価の濃ゆい温泉が張りめぐらす観音バリア - 百観音温泉

百観音温泉
年が明けて2020年になった。コロナとは関係ない諸般の事情により、年明けしばらくは泊りがけの温泉旅行はお休み。ただ何もしないのもつまらないから、せめて日帰り温泉へ行くことにした。手軽さとプチ旅行気分を両立させる絶妙な距離感の場所はどこだ。

あった。その存在を知って以来ずっと気になっていた埼玉県久喜市の百観音温泉である。お湯に対する評価がすごく高いもんでね。そういう人気スパは週末なんか特に激混みじゃないの~? と及び腰だったが、そんなこと言ってたら永久に行けなくなってしまう。やるなら今しかねぇ。※この頃はまだ外出自粛ムードではなかった。

実際混んではいたけど窮屈とまではいかず、濃ゆい温泉を楽しんだ。暖冬にしては真冬らしい寒さの日で熱めのお湯にマッチしていたのもちょうど良かった。

百観音温泉へのアクセス

百観音温泉の最寄り駅はJR宇都宮線の東鷲宮。久喜のひとつ隣だから東武伊勢崎線から乗り換えた方が便利な人もいるだろう。

久喜といえば2年半前に「森のせせらぎ なごみ」という別の日帰り温泉へ行ったことがある。あそこも良かったなあ。久喜はいい温泉が出るんですな。うらやましい。

東鷲宮で下車したら西口を出る。自分はスマホのナビを見ながら歩いたものの、迷うような道ではないし、本当に近い。5分もすれば着いてしまう。え、もう着いちゃったの、ってなもんだ。

駅からアプローチすると入館前に通過するのが駐車場に隣接する観音堂。当湯の名前の由来になったお堂ですかね。観音様が百体収められてるとか。
観音堂
その隣には野菜の直売所があった。それに団子屋さんもあるという口コミを読んでいたから正直、朝昼兼用で団子を食べるつもりであてにしてたんだけど、閉店しちゃったみたいね。結局この日は別の場所で朝昼晩兼用の食事になってしまった。


パンチの効いた内湯

小銭のご用意を

さて入館。受付で下足箱の鍵と引き換えに腕輪をもらう。休日料金850円。中で100円玉を使うことになるから小銭の確認を。たとえば貴重品ロッカーはあとで戻ってくるタイプの100円投入式だ。

受付と簡単なお土産コーナーと整体室と食事処からなるスペースは決して広いわけではなく、むしろコンパクトにまとまった雰囲気。と見せておいて風呂場は広いからご安心を。

2階は休憩処や貸切風呂があるようだけど行かなかったのでよくわからない。

最高評価の泉質と湯使い

男湯・女湯は定期的に入れ替えがある模様。この日は菩薩の湯と名付けられた手前の方が男湯だった。脱衣所前に温泉の売り文句が掲示されており、かけ流し・豊富な湯量・自噴が謳われていた。当館近くの道路にあった看板もこんな感じだし。
百観音温泉の看板
泉質は「含ヨウ素-ナトリウム-塩化物強塩温泉、高張性、弱アルカリ性、高温泉」とのこと。加水・加温なし、消毒あり、炭酸泉以外は循環なし。あと日本温泉協会の泉質と湯使いに関する審査項目すべてで最高の5つ星評価なんだって。詳しくは理解できてないが、なんかすごそう。

脱衣所にはあとで100円戻るタイプの鍵付きロッカーが並ぶ。ここでどうしても100円玉が必要になるわけね。ぱっと見たところやはり客は多め。午前のうちに着くように来てこの客入りなら盛況といってよかろう。

アブラ香る内湯

浴室に入るなり、独特の匂いに包まれた。これはアブラ臭ってやつじゃないか。いきなりの先制パンチ来たか。これほど匂うならお湯は相当濃ゆそうだね。

全般にピカピカに新しいわけではないが古くさいわけでもなく普通の範疇。洗い場は19名分。本気の混雑ピークでどうなるかはさておき、当時の様子だと十分に余裕はある。

内湯のメイン浴槽は6~7名サイズのあつ湯。たしか43℃だったかな。この日は特に寒さ厳しく、すっかり体の芯まで冷え切っていたおじさんは、ぬる湯好きだったわりに結構いい感じで楽しめた。

特徴豊かな濃厚本格温泉

黄褐色をしたお湯を通して浴槽の底はうっすら見える程度。茶色い粒のような湯の花が舞っている。おおこりゃ本格的だ。お湯の肌触りは水道水の沸かし湯と違って引っかかるようなところがなく微妙にぬるっとしている。

匂いを嗅ぐとしっかり温泉らしい印象がある。濃厚な塩化物泉の匂いなんだけど、なんというか、カビ臭さの余韻が残る。なんだこれはと嗅いでいるうちにクセになってきそうでやばい。ほどほどにしておきましょう。

隣には5~6名サイズのジェット風呂。熱さは若干おとなしくなっている。ジェット狙いなのか適温がいいのか、こちらの方がメイン内湯よりも浸かってる人数が多い。ジェットの勢いは強すぎずで泡が細かいのはいいね。

他にサウナと水風呂があったけどスルー。


多彩でレベル高い露天風呂

温泉を加えた炭酸泉が人気

露天風呂が多彩だ。外に出てすぐ目の前に2名サイズの半身浴風呂。先客がいたのでスルーしたら結局入る機会はなかった。そして段を上がったところには3名サイズの立ち湯。どれどれ入ってみるか。

…しまったああああ! よく見たら46℃って書いてあるわ。あちいーーー。立って入ってもやっぱり熱いものは熱い。那須湯本の鹿の湯じゃないんだから、46℃は厳しすぎるぞ。30秒もたずに退散。

立ち湯から見下ろせる10名サイズの岩風呂が気になって次はそこへゴー。この風呂だけお湯がほんのり黄色いけど透明に近い。その正体は温泉を加えた炭酸泉だった。なるほど。

炭酸泉はどこでも人気で、ご多分に漏れずここも満員御礼に近い状態。どうにか末席に加わると、おお、ぬるくてチョーいい感じ。炭酸の泡もなんか効きそうだし、温泉が加わっているしで、すぐに出るべき理由が見つからない。30分近くも粘ってしまった。

いい感じで馴染んでしまった岩風呂

人気は炭酸泉に譲るとしても主役は奥の方にある岩風呂(晴天風呂)だろう。12名くらいは余裕でいけるサイズ。41℃のお湯だから比較的粘りやすい。とはいえ本当は時々休憩を挟みつつ浸かるべきだろうけど、なぜだか10分連続でも平気だった。濃ゆそうな温泉にしては出た後にめまいもしなかったし。

うまい具合に自分の体質と体調にマッチする泉質だったんですかね。こりゃいいやと調子に乗って晴天風呂と内湯メインを行ったり来たり、熱めの高張性温泉を相手に、ぬる湯好きとは思えぬ所業を繰り広げてしまった。

最後に、露天エリアの一番奥には7名分の寝ころび湯もある。試しに寝ころんでみた。背中を流れるお湯は熱すぎずぬるすぎずでなかなかいい感じである。まあ風が冷たくて仰向けになった腹側は寒いわけですが。

なるほど納得の好温泉

百観音温泉。たしかに良好かつ本格的な温泉で、高評価を与える人が多いのも頷ける。熱めで濃ゆいのに、上がった後にのぼせた感じになったり、ぐったりすることがなかったのが不思議だ。むしろ体が軽くなって快活な気分に満ちてきたのだった。あれは一体なんだったのか。

週末でも午前に行ったおかげか、客は多めながら嫌になるほどの混雑ではなかったのも良し。好印象のまま帰ることができた。すべては百観音様のご利益ってことで。


おまけ:鷲宮神社へ行ってみた

久喜まで来てあっさり帰るのもしゃくにさわるから、鷲宮神社へ行ってみた。関東最古の大社とのこと。詳しくは知らぬがマンガ・アニメ作品「らき☆すた」の聖地でもあるらしい。

百観音温泉からだと徒歩30分くらい。せっかく温まった体がまた冷えてしまう…。と恐れていたら、お肌に残る温泉成分が観音バリアとなって守ってくれたおかげで(?)意外と大丈夫だった。で、着きました。
鷲宮神社
まだ初詣風味が残る境内には若者グループの姿がそこそこ目立つ。らきすた効果かな。そしてこれが拝殿。今年こそは温泉以外の仕事面などでもいいことがあるようにと祈念しておいた。まじ頼んます。※“いいこと”どころか世界規模で大変な事態になっているのはご存じの通り。ひでえや…。
鷲宮神社 拝殿
神社内には八幡神社や稲荷社といった小さな社がいくつもあるが、すべてを回る気力はなく、最後に本殿をチラ見してミッションコンプリート。
鷲宮神社 本殿
帰りは最寄りの東武伊勢崎線・鷲宮駅まで徒歩10分。朝から飲まず食わずで我ながらよくやったよ。と自己満足にて終了。