上田の別所温泉で有名なのは温泉だけではない。信州の鎌倉と言われるだけあって、お寺めぐりの地としても知られている。特に北向観音・安楽寺・常楽寺を見て回るのが最も基本的なコースになるだろう。国宝や国の重要文化財があるし。
温泉めぐりの一環で別所温泉へ行ったけど、それだけで終わるには惜しいので、ポピュラーなお寺めぐりもしてみた。
だがあまりにも時間的余裕がなさすぎた。例によって駆け足のダイジェスト版スピード見学になってしまった。なんでいつもこうなるの。
無謀な計画ではないはずだ。グーグルマップで調べると、別所温泉駅→北向観音→安楽寺→常楽寺→別所温泉駅の一周コースをただ歩くのに2.5km・34分だって。オッケー、見学時間を加味しても十分やれる。
…と甘い考えでいたら、あいそめの湯を出た時点ですでに10分近くの遅れが発生していた。残り80分。でもまだ大丈夫。駅に隣接する駐車場に展示されていたレトロ車両を撮影するなど、余裕こいていた。
本格的に歩き出すと、多くの観光客の車やバスが止まる将軍塚駐車場の近くに七苦離地蔵尊を発見。
七苦離=ななくり。清少納言「枕草子」で有馬温泉・玉造温泉とともに挙げられた「ななくりの湯」は別所温泉を指す、との説もある。※一般には、ななくりの湯=三重県の榊原温泉とするのが定説。
各外湯については詳細を割愛するが、とにかく大湯への往復で10分のロス。ロスと書くと言葉は悪いが気持ちに余裕がなくなってきたのは確か。ちなみにこの往復の途中に足湯「ななくり」があった。
足湯のそばには湯かけ地蔵。分析書が貼ってあって飲用の文字も見えるれっきとした温泉をお地蔵様にたんまりかけておきました。
北向観音というだけあって北の方角を向いているんでしょう。その方向に目を向けると小ぢんまりとした参道と店舗群。もう食堂で昼ごはんを食べる時間もないから、せいぜい団子とか五平餅とかを買って食べ歩きできればよかったけど、そういう店はないようだ。タピオカも売ってない。
北向観音の境内には市の文化財である愛染カツラの木もある。枝ぶりが見事。
加えて足長の温泉薬師瑠璃殿。ユニークな形だなあ。本当はこういうのをじっくり見なきゃいけないんだが、お寺めぐりは今や超スピードモードに切り替わっていた。写真を撮ってチラッと見たら、はい終了。もったいねー。
安楽寺は変わった形の特徴的な屋根を持つ寺院だった。
だがちょっと待て。真の見どころは奥にあるっぽいぞ。国宝・八角三重塔…だと…? こんなの見ないわけにはいかないじゃないか。拝観料300円を払って奥へ進む。時間大丈夫かなあ。
すぐに見えてきたのは白濁硫黄泉の露天風呂のような池と紅葉。ここからちょっとした登りが始まる。
屋根のつくりが目を引くね。周辺にはさらに登っていける道がついており、上から塔を見下ろすことも不可能ではないのだが、その一帯は墓地になっていて「墓参の方以外はこの先立ち入らないでください」の立て札があったから断念。
立て札の手前ギリギリから撮影したのがこちら。先ほどと違った印象を受けるフォルム。と、この時点で残り35分。油断は大敵。もう行かなければ。
そうして着きました常楽寺。残り25分。安楽寺とは違った意味で特徴的な茅葺き屋根だ。
常楽寺は先ほどの北向観音の本坊である。でも北向観音よりも静かで、人は少なく、店が並ぶ参道もない。いかにもな観光スポットらしくないのが、かえって良いという人もいるだろう。
常楽寺美術館てのもあったけど、さすがに時間が気になってパス。締めは奥にあった石造多宝塔。国の重要文化財だ。写真中央の大きいのがそれ。脇を固めるのは市の文化財・石造多層塔。
はい見学終了。急いで駅へ戻ったら、乗りたい電車の発車15分前に着いた。ちょっと安全側に振りすぎたせいにしても、あまりにも駆け足のお寺めぐりだった。おかげでちゃんと見た気がしない。いかんなあ。
15分くらい乗車したら下之郷駅で下車(当時は台風被害による影響で下之郷が終点)。当駅が朱塗りの神社を思わせるデザインであるように、実際に駅からほど近いところに生島足島神社がある。お寺めぐりと言いながら神社に来ちゃったけど、まあいいや。当時は七五三詣で訪れるファミリーが何組か見られた。
一番人気の自撮りスポットになっていたのが御神橋。渡ることはできません。みなさん盛んに記念撮影しまくっていた。
個人的に印象が強かったのは境内にあった歌舞伎舞台。その中に戦国武将の文書(朱印状・起請文など)が展示されているのだ。写しですが。武田信玄、真田昌幸・信之など自分でも知ってるビッグネームあり
ここの見どころは信州夢殿。奈良法隆寺の夢殿を1/2スケールで模したものだそうだ。中には国の重要文化財・銅造菩薩立像なる観音様の像がある。拝観には予約が必要らしく扉は閉ざされていた。
こうして別所温泉周辺のお寺めぐりを完了。時間が全然足りなかったな…考えが甘かったわ。当エリアには他にもまだまだ寺社があるから、本気で取り組むなら1日がかりを覚悟した方がいい。信州の鎌倉はダテじゃないね。
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温泉めぐりの一環で別所温泉へ行ったけど、それだけで終わるには惜しいので、ポピュラーなお寺めぐりもしてみた。
だがあまりにも時間的余裕がなさすぎた。例によって駆け足のダイジェスト版スピード見学になってしまった。なんでいつもこうなるの。
甘い見積もりでお寺めぐりを開始
ななくりの湯を想起させる七苦離地蔵尊
当初の目論見はこうだ。電車・バス便の兼ね合いで別所温泉に滞在できるのは2時間半。最初の1時間で共同浴場「あいそめの湯」へ行き、別所の湯を体験する。そして残り1時間半をお寺めぐりにあてる。無謀な計画ではないはずだ。グーグルマップで調べると、別所温泉駅→北向観音→安楽寺→常楽寺→別所温泉駅の一周コースをただ歩くのに2.5km・34分だって。オッケー、見学時間を加味しても十分やれる。
…と甘い考えでいたら、あいそめの湯を出た時点ですでに10分近くの遅れが発生していた。残り80分。でもまだ大丈夫。駅に隣接する駐車場に展示されていたレトロ車両を撮影するなど、余裕こいていた。
本格的に歩き出すと、多くの観光客の車やバスが止まる将軍塚駐車場の近くに七苦離地蔵尊を発見。
七苦離=ななくり。清少納言「枕草子」で有馬温泉・玉造温泉とともに挙げられた「ななくりの湯」は別所温泉を指す、との説もある。※一般には、ななくりの湯=三重県の榊原温泉とするのが定説。
つい外湯を見てみたくなってしまい…
歯車が狂いだしたのはここから。お寺だけじゃなく、3箇所あるレトロな外湯もチェックしようと思い立って、寄り道しちゃったのである。まず向かった大湯は当初の予定コースから大きく外れていた。各外湯については詳細を割愛するが、とにかく大湯への往復で10分のロス。ロスと書くと言葉は悪いが気持ちに余裕がなくなってきたのは確か。ちなみにこの往復の途中に足湯「ななくり」があった。
足湯のそばには湯かけ地蔵。分析書が貼ってあって飲用の文字も見えるれっきとした温泉をお地蔵様にたんまりかけておきました。
別所温泉の三大寺:北向観音・安楽寺・常楽寺
北向観音からのスピードアップ
第1のスポット・北向観音に着いた時点で早くも残り60分。誤算すぎィ。こいつはお得意の超スピード見学を発動せざるを得なくなったな。北向観音というだけあって北の方角を向いているんでしょう。その方向に目を向けると小ぢんまりとした参道と店舗群。もう食堂で昼ごはんを食べる時間もないから、せいぜい団子とか五平餅とかを買って食べ歩きできればよかったけど、そういう店はないようだ。タピオカも売ってない。
北向観音の境内には市の文化財である愛染カツラの木もある。枝ぶりが見事。
加えて足長の温泉薬師瑠璃殿。ユニークな形だなあ。本当はこういうのをじっくり見なきゃいけないんだが、お寺めぐりは今や超スピードモードに切り替わっていた。写真を撮ってチラッと見たら、はい終了。もったいねー。
外湯チェックを完了して安楽寺へ
北向観音から安楽寺へ向かう途中で大師湯と石湯を見学して外湯チェックを完了。その代償として安楽寺の石段の前に立った時には残り45分。もうヤバいですって。…これでもかなりの早足で来たんだけどね。安楽寺は変わった形の特徴的な屋根を持つ寺院だった。
だがちょっと待て。真の見どころは奥にあるっぽいぞ。国宝・八角三重塔…だと…? こんなの見ないわけにはいかないじゃないか。拝観料300円を払って奥へ進む。時間大丈夫かなあ。
すぐに見えてきたのは白濁硫黄泉の露天風呂のような池と紅葉。ここからちょっとした登りが始まる。
国宝・八角三重塔あらわる
数分間登っていくといよいよ現れた、これが八角三重塔だ。真の姿は一周ぐるっと回ってみないとわからないけど、まあなんとなく八角形をしているのがわかるだろう。日本に現存する八角塔はここだけだそうだ。屋根のつくりが目を引くね。周辺にはさらに登っていける道がついており、上から塔を見下ろすことも不可能ではないのだが、その一帯は墓地になっていて「墓参の方以外はこの先立ち入らないでください」の立て札があったから断念。
立て札の手前ギリギリから撮影したのがこちら。先ほどと違った印象を受けるフォルム。と、この時点で残り35分。油断は大敵。もう行かなければ。
静かで落ち着いた常楽寺
常楽寺へ向かう途中で塩田平を望む抜けの良い景色が目に飛び込んできた。おおー、こりゃよかですね。時間を気にしつつ、しばし立ち止まる。そうして着きました常楽寺。残り25分。安楽寺とは違った意味で特徴的な茅葺き屋根だ。
常楽寺は先ほどの北向観音の本坊である。でも北向観音よりも静かで、人は少なく、店が並ぶ参道もない。いかにもな観光スポットらしくないのが、かえって良いという人もいるだろう。
気ばかり焦ってしまい…
本堂前には宝船に見立てた形に整えられた「御船の松」がある。紅葉との組み合わせでポイント倍増。常楽寺美術館てのもあったけど、さすがに時間が気になってパス。締めは奥にあった石造多宝塔。国の重要文化財だ。写真中央の大きいのがそれ。脇を固めるのは市の文化財・石造多層塔。
はい見学終了。急いで駅へ戻ったら、乗りたい電車の発車15分前に着いた。ちょっと安全側に振りすぎたせいにしても、あまりにも駆け足のお寺めぐりだった。おかげでちゃんと見た気がしない。いかんなあ。
下之郷の生島足島神社にも行ってみた
七五三ムードあふれる生島足島神社
満足感と敗北感が半々の気分で電車に乗った。別所温泉駅のホームは昔ながらのテイストが旅のロマンをかき立てる一方で、鉄道むすめののぼり旗があったりする。温泉むすめしかり、最近はあらゆるジャンルに「~むすめ」があるな。15分くらい乗車したら下之郷駅で下車(当時は台風被害による影響で下之郷が終点)。当駅が朱塗りの神社を思わせるデザインであるように、実際に駅からほど近いところに生島足島神社がある。お寺めぐりと言いながら神社に来ちゃったけど、まあいいや。当時は七五三詣で訪れるファミリーが何組か見られた。
一番人気の自撮りスポットになっていたのが御神橋。渡ることはできません。みなさん盛んに記念撮影しまくっていた。
個人的に印象が強かったのは境内にあった歌舞伎舞台。その中に戦国武将の文書(朱印状・起請文など)が展示されているのだ。写しですが。武田信玄、真田昌幸・信之など自分でも知ってるビッグネームあり
最後は長福寺の信州夢殿
生島足島神社のお隣りの長福寺にも行ってみた。誰もいない。人の気配なし。猫がいただけ。ここの見どころは信州夢殿。奈良法隆寺の夢殿を1/2スケールで模したものだそうだ。中には国の重要文化財・銅造菩薩立像なる観音様の像がある。拝観には予約が必要らしく扉は閉ざされていた。
こうして別所温泉周辺のお寺めぐりを完了。時間が全然足りなかったな…考えが甘かったわ。当エリアには他にもまだまだ寺社があるから、本気で取り組むなら1日がかりを覚悟した方がいい。信州の鎌倉はダテじゃないね。
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