度肝を抜かれた、広大な温泉パラダイス - 登別温泉 第一滝本館

登別温泉 第一滝本館 日帰り用入口
登別温泉の立ち寄り入浴についてネットで調べてみると、第一滝本館というホテルの名前がよく目につく。登別の、少なくとも風呂という切り口に関しては、相当な存在感を誇っているようだ。

浴場の広さと浴槽の数がとにかく圧倒的らしい。ということで興味を持ったので、夏の北海道旅行のラストを第一滝本館への立ち寄り入浴で締めることにした。

…いやあすごかった。なにあの規模感。多彩な泉質に加え、あつ湯からぬる湯まで各種取り揃えた選択肢の多さは感動的。ここは温泉の宝石箱や~。

登別温泉「第一滝本館」へのアクセス

駐車場に入れるかどうかが勝負

第一滝本館は登別温泉街のメインストリート沿いにあるから迷いようがない。地獄谷の入口からかなり近いところにある。

旅の最終日、登別へやってきた我ら一行は地獄谷・大湯沼の見学を終え、いよいよ最後のイベントに臨むべく、まさに当館に入らんと欲す。地獄谷からあまりに近いんで「ここでいいんだっけ?」と確信が持てず一度通り過ぎてしまったが。

駐車については危ういところだった。当館の立ち寄り客用の駐車場はあまり広くなく、すでに満車だったのである。「満車の際はお隣の地獄谷駐車場をご利用ください」と書いてあった記憶があるけど、地獄谷駐車場はついさっきまで車を止めていたんでね。駐車料金500円をまた払うのもばかばかしい。

どうしようと迷いかけたその時、当館の駐車場から1台、2台と車が出ていって空きができたから、すかさず後釜のポジションを確保して事なきを得た。ラッキー。

あまりにも巨大なホテル

第一滝本館はでかい。半端なくでかい。いくつかの棟からなるようだが、どこからどこまでが当館で、どこからがお隣さんのホテルなのか皆目わからない。もしかすると見えてる範囲全てが第一滝本館なのかもしれない。

冒頭の写真は日帰り入浴客向けの出入口であって、当館全体からすれば氷山の一角にすぎない。当時はなぜかボーッとしていて写真をほとんど撮ってなかった。面白みはないけどせめて玄関の写真だけでも。
玄関
日帰り入浴の料金は2000円。ただし16時を過ぎると1500円になる。我々はちょうど16時きっかりに入館して1500円。狙って歩速を調整したのはここだけの話。

玄関の先には飲泉場がある。人だかりができていて撮影はできず。そこからさらに廊下を歩き、エスカレーターに乗り、エレベーターに乗り、広い館内のどこだかわからなくなったところに大浴場があった。
第一滝本館 館内

風呂の数と種類に圧倒される大浴場

把握しきれないほどの多種多様な泉質

温泉の分析書は大浴場に着くまでの途中の廊下に掲示されてたと思う。数がたくさんあって覚えきれません。それに各分析書と各風呂の名前プレートの対応関係が合ってない気がする。

男湯の受付ではタオルとバスタオルを手渡された。ほう、さすがお高めの価格設定だけあってタオル系は付いてくるのね。

脱衣所はやけに広い。服をしまう木製の鍵付きロッカーの他、貴重品ロッカーもある。2つのウォーターサーバーも設置され、一方は黒っぽい色がついていたから、お茶かな。飲んでないからわからん。

とにかくだだっ広い浴室

では噂に聞こえた広ーい浴室へ突入しまーす。おおおお、本当に広いぞ。一見ではとても把握しきれない。まず左手に洗い場。何名分かなんてもう数えてらんない。とにかくたくさんだ。

一番手前というか浴室のセンターというか、その位置に八角形をした大浴槽がある。お湯は透明で芒硝泉という札がかかっていた。後日の調べによれば「酸性・含鉄(II,III)-ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉、酸性、低張性、高温泉」。

浸かってみると適温。酸性度はここが最も強いそうだが浴感はよろしい。結構好きかも。なお、基本的にどの浴槽も加水ありの源泉かけ流しで、広さも十分だから何名サイズとかはいちいち書かない(覚えきれないし)。

地獄谷の景色が迫る大浴槽

1時間ちょっとしかいられないんで、次々と浴槽を移っていくことにした。左手奥にある隠れ家風の檜風呂には食塩泉の札が。後日調べでは「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、中性、低張性、高温泉」。あつ湯と書いてあったので、ぬる湯派の自分はパス。

その隣にまたも食塩泉。なんとなくパス。食塩泉はもし余裕があったら入ることにして後回しにしてたら、結果的にちゃんと入らないまま終わってしまった。

その向かいは硫黄泉。「酸性・含硫黄・鉄(II,III)-単純温泉(硫化水素型)、低張性、酸性、高温泉」とのこと。硫黄がやや香る白っぽい濁り湯になっており、温泉気分が盛り上がる。ややぬるめなのも好み。

窓際に大きめの食塩泉浴槽。一瞬だけ浸かってみたら適温だった。ここの売りは窓越しに見える地獄谷の景色。下の写真は地獄谷第2展望台で撮ったものだけど、こんな感じの景色がどーんと迫ってくる中で温泉に入れる。
登別地獄谷

ぬるめの酸性緑ばん泉は気に入った

だがまだまだ浴槽は尽きない。先へ進もう。お次は酸性緑ばん泉。「酸性・含硫黄-単純温泉(硫化水素型)、低張性、酸性、高温泉」とのことだが、字面でいえば先ほどの硫黄泉の分析書の方が緑ばん泉っぽい気がしなくもない。

ここのお湯は硫黄泉と違って濁りは弱くて透明に近い。体温程度のぬるさであり、夏にぴったりの気持ちよさでいくらでも長湯できそうだった。自分のストライクゾーンのやつだ。しかしここに留まるわけにはいかない。

お次は重曹泉の丸い浴槽。いったいいくつ泉質があるのよ。「ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-塩化物・炭酸水素塩泉、中性、低張性、高温泉」だって。お湯は透明で適温。

その奥にまた硫黄泉。あつ湯と書いてあったからパスした。


下のフロアにもたくさんの風呂が…

加水なしの源泉露天風呂・金蔵の湯

さて、こうして上階フロアの各浴槽はひと通り体験した(少なくとも見た)。そう、上に書いたことはまだ全体のほんの一部にすぎない。大浴場は2フロアにわたっており、まだ上階側の風呂しか回っていない。なんちゅう広さだ。

ここからはどんどん省きますね。階段を伝って下のフロアへおりていくと、歩行湯、打たせ湯、寝湯、気泡湯、サウナと水風呂なんかがあったけどすべてパス。まず先に露天エリアへと出ていった。

露天エリアには3つの浴槽がある。そのうちふたつは適温らしき食塩泉と熱めの硫黄泉。どちらも広いから、露天風呂目当ての人々が集まってきても全然余裕あり。自分は硫黄泉にちょっとだけ浸かって「うん、熱いね」ですぐ終了。

残りのひとつが本命だ。金蔵の湯と名付けられた酸性緑ばん泉で、2名規模の小さな浴槽ながら、加水なしの源泉かけ流し。初代滝本金蔵が浸かった湯船を再現したとの触れ込みだし、スペシャル感があるね。ただし熱め。

やみつきになる、スーパーぬる湯の硫黄泉

よし金蔵の湯まで堪能した。残り時間は好きなやつに集中しよう、ということで上階の酸性緑ばんぬる湯で粘ろうとしたら、同行メンバーがやって来て「下階に超ぬるい湯があるよ」と教えてくれた。えっ?! 見逃してました。ぜひとも行かねば。

下階の寝湯の手前に4名規模の硫黄泉浴槽があった。浸かってみると…おおお超ぬるい。冷たいといってもいいくらい。ざぶーんとは入れず、ゆっくり少しずつ体を沈めなければならないレベル。

最初は冷たくても慣れるとむしろ爽快。やみつきになって出られなくなる。しかも自分の地元近場にはない白濁硫黄泉だからね。こりゃあいいや。ここを見落として体験せずに帰ったら間違いなく後悔していた。教えてもらってよかった。

(補足)翌年に再訪したところ、ここの硫黄泉はぬるくない適温になっていた。それが本来の温度で、スーパーぬるかったのはたまたま特殊な状況だったんだろう。

評判に違わぬ満足感と新たな野望

こうして残り時間を、下階硫黄超ぬる湯→上階酸性緑ばんぬる湯→上階芒硝泉のローテーションに専念した。いやあ満足満足。

浴室が2フロアあるうえにどでかいから、露天でなくても開放感たっぷりで気分がいいし、利用者が多くても浴槽の数と広さがあるから全然窮屈に感じない。おみそれしました。

やっぱり評判になってるところは素直に行ってみるもんですな。おっさん特有の変な反骨心を起こして避けるなんてことをしなかったのは正解だった。新千歳空港へ向かう車内では同行メンバーが「今度は泊まりで行ってみたい」と野望を口にした。思わず料金プランとか調べちゃったよ。

実際、そういう野望を抱かせるに十分な、スケールのでかい衝撃体験であったのは間違いない。