8月下旬に遅めのお盆休みを取ることができたので、まあなんとなくで福島県をターゲットに定めた。鉄道で行ける、夏向きのぬるい温泉はないかと探していたら、磐梯熱海温泉が引っかかった。
それまでまったくのノーマークだったのだが、磐梯熱海温泉には熱めの市営泉とぬるめの組合泉という2種類の源泉があるというではないか。つまり組合泉を提供してる旅館を探せばいいわけだな。
そうして見つけたのが「紅葉館きらくや」。夕食なし、過剰なサービスを排した個人客向けの運営スタイルで、名前の通りに気楽な宿である。肝心の組合泉の風呂は小さいながら源泉かけ流しで予想以上に良かった。
磐梯熱海駅では相当数が下車した。なんだよ、大盛況じゃないか。たまたまどこかの大規模グループとかち合っちゃったのかな。
駅前には足湯コーナーがあり、湯の街通りという温泉街のメインストリートがのびている。その通りに入るとすぐに「湯元元湯」なるレトロな建物があった。
旅館業はもうやめてしまって、すぐそばに併設する共同浴場のみの営業となっており、ぬるい組合泉をたっぷり楽しめるらしい。宿泊先のきらくやで、もしぬる湯の湯船が混雑していてちょっとしか入れなかった場合は湯元元湯を訪れるつもりでいたが、結果的にその必要はなかった。
駅から徒歩数分できらくやに到着。しかし出入口は湯の街通りに面していない。路地を抜けて裏側に回り込まねばならない。裏側には車道と並んで湯けむり緑地と呼ばれる散策路がある。
なお、車で来る場合は最初から裏側の車道を通ってアプローチしないと駐車場に入れないので注意。湯の街通り経由だと当館の駐車場には入れない。
まあいいやとチェックイン。たしかに出迎えや仲居さんの荷物持ちなど仰々しいサービスはなく、ビジネスホテルに近いシンプルな接客。個人的にはそれで十分だ。昔の団体向け旅館の形跡をあちこちに残す館内は、しかしながら各種内装はそれなりに更新されていて、極端にくたびれた感はない。
割り当てられた2階奥の部屋は10畳+広縁的なコーナー。広いし角部屋っぽい。いいね。ファミリー客じゃなくて一人泊のおじさんを入れちゃっていいんですかい?
普通にシャワートイレ・洗面台はあるし、金庫と空の冷蔵庫はあるし、効きの良いエアコンはあるし、WiFiもばっちり。押し入れから布団を出して敷くのはセルフでお願いします。
ガラス窓越しに撮った外の景色がこちら。屋上庭園のようになっていた。また別の面の窓からは先述の散策路と、その向こうに磐越西線の線路が見えた。室内でも時おりガタンゴトンと列車の通過音が聞こえる。
夕食前に1階の大浴場へ行ってみた。貴重品ロッカーの前に温泉むすめ・萩ちゃんのパネルが…何かの企画のキャラのようだけど詳しくは知らない。萩という名前の由来はこのあと判明する。
浴室に入ってすぐ左手に本命の組合泉ぬる湯浴槽があった。詰めて入ってもぎりぎり3名までのサイズ。実際に3人目として割り込むのは気が引ける浴槽には、すでに2名が浸かっていた。ああ、こりゃノーチャンスかもしれないぞ。ぬるいと長湯するから回転率低いだろうしなあ。
ひとまず5つのカランが並ぶ洗い場で体を洗ったりしつつ、ぬる湯槽の様子をうかがう。やがて1名が出ていった好機を逃さず入れ替わりで浸かった。
うおー、つめてー。ゾクゾクするのは体温より低い証拠。しかし慣れてくると冷たさが爽快感に変わる。そして出られなくなる。狙い通りの展開だ。
壁に貼ってあった説明書きによれば、磐梯熱海温泉は「萩姫の湯」と呼ばれる(昔の萩姫伝説に由来するが詳細は割愛)。なるほど、それで温泉むすめが萩ちゃんなわけか。
湯船は小さいが、組合泉を源泉かけ流しで提供しようとすると投入量からしてやむを得ない。30分以上でも浸かっていられる泉質だけど、他に入りたそうな様子の客もいるし、譲り合いの精神を発揮して5分くらいで出た。
さらには露天風呂もある。3名サイズの浴槽に市営泉がチョロチョロと注がれている。季節により加温と書いてあった気がする。当時は内湯メイン浴槽よりも若干ぬるめだった。
消毒の有無はわからぬが塩素臭は気にならず、むしろ単純温泉らしい匂いが前面に出ているし、全体的な浴感は悪くない。組合泉の冷たさが苦手な人はこちらを気に入るだろう。
露天風呂は屋根付きで周囲は塀と植え込み。客の各々が「他に誰も行かないなら自分が行く」という意識で回していた空気感があって、実質的に独占状態でのびのび浸かることができた。
途中からは露天風呂とぬる湯槽を行ったり来たりの繰り返し。
一方で夜遅くと翌朝にトライしたときは誰もぬる湯槽を使おうとせず、ならばと20分×2セットずつを楽しませてもらいました。
壁の2面はガラス張りだけど真っ暗な夜だったので展望を楽しめるのかどうかはよくわからなかった。
ぼっちのおじさんにはオーバースペックだし、そもそもの本命は組合泉だし、貸切風呂はもうこれくらいでいいだろうと適当なところであがった。木の風呂は結局入る機会がなかった。
今回は(2)の館内レストランを利用した。窓際のぼっち席を陣取り、もみじ定食とビールを注文。
スペシャル感で勝負する方向性ではないかわりに気楽。マイペースでいける。お腹パンパンまでいかない量なのもある意味でちょうどいい。なお、窓から見える植え込みは男湯の露天風呂から見えるやつと一緒。もちろん男湯は見えないアングルになっている。
バイキング形式で品数は多くないものの和定食風の組み立てができる。ご飯と味噌汁は別途配膳される。
食後は図書室にてセルフのコーヒーサービスあり。図書室には一般書籍、コミック、新聞などが置いてある。コーヒー飲みつつ新聞読む人が多かったかな。
くどいようだが個人的には組合泉のぬる湯の満足度が高かった。思う存分入れるかどうかは他の客との兼ね合い次第の面はあるけど、ぬるさの爽快感だけでなくクオリティ全般いいので狙ってみたいお湯だ。と萩姫も思っているに違いない。
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それまでまったくのノーマークだったのだが、磐梯熱海温泉には熱めの市営泉とぬるめの組合泉という2種類の源泉があるというではないか。つまり組合泉を提供してる旅館を探せばいいわけだな。
そうして見つけたのが「紅葉館きらくや」。夕食なし、過剰なサービスを排した個人客向けの運営スタイルで、名前の通りに気楽な宿である。肝心の組合泉の風呂は小さいながら源泉かけ流しで予想以上に良かった。
磐梯熱海温泉「紅葉館きらくや」へのアクセス
紅葉館きらくやの最寄り駅はJR磐越西線の磐梯熱海。郡山から15分そこらで着いてしまう。おお便利。そのせいか知らんが、2両編成の列車は観光客でぎっしり。お盆の混雑ピークを外したつもりが全然あきまへん。磐梯熱海駅では相当数が下車した。なんだよ、大盛況じゃないか。たまたまどこかの大規模グループとかち合っちゃったのかな。
駅前には足湯コーナーがあり、湯の街通りという温泉街のメインストリートがのびている。その通りに入るとすぐに「湯元元湯」なるレトロな建物があった。
旅館業はもうやめてしまって、すぐそばに併設する共同浴場のみの営業となっており、ぬるい組合泉をたっぷり楽しめるらしい。宿泊先のきらくやで、もしぬる湯の湯船が混雑していてちょっとしか入れなかった場合は湯元元湯を訪れるつもりでいたが、結果的にその必要はなかった。
駅から徒歩数分できらくやに到着。しかし出入口は湯の街通りに面していない。路地を抜けて裏側に回り込まねばならない。裏側には車道と並んで湯けむり緑地と呼ばれる散策路がある。
なお、車で来る場合は最初から裏側の車道を通ってアプローチしないと駐車場に入れないので注意。湯の街通り経由だと当館の駐車場には入れない。
ひと通りの装備は揃ってる、すごしやすい部屋
駐車場の一角にワンちゃんがいますねー。名前はまーくん。メジャーリーグで活躍しそう。看板やホームページを見る限り、当館のマスコットキャラは猫のようだが…。まあいいやとチェックイン。たしかに出迎えや仲居さんの荷物持ちなど仰々しいサービスはなく、ビジネスホテルに近いシンプルな接客。個人的にはそれで十分だ。昔の団体向け旅館の形跡をあちこちに残す館内は、しかしながら各種内装はそれなりに更新されていて、極端にくたびれた感はない。
割り当てられた2階奥の部屋は10畳+広縁的なコーナー。広いし角部屋っぽい。いいね。ファミリー客じゃなくて一人泊のおじさんを入れちゃっていいんですかい?
普通にシャワートイレ・洗面台はあるし、金庫と空の冷蔵庫はあるし、効きの良いエアコンはあるし、WiFiもばっちり。押し入れから布団を出して敷くのはセルフでお願いします。
ガラス窓越しに撮った外の景色がこちら。屋上庭園のようになっていた。また別の面の窓からは先述の散策路と、その向こうに磐越西線の線路が見えた。室内でも時おりガタンゴトンと列車の通過音が聞こえる。
好みに応じて使い分ける、きらくやのお風呂
磐梯熱海=萩ちゃん
紅葉館きらくやの浴場は2箇所ある。- 1階…一般大浴場(男湯、女湯)
- 4階…貸切風呂(木の風呂、石の風呂)
夕食前に1階の大浴場へ行ってみた。貴重品ロッカーの前に温泉むすめ・萩ちゃんのパネルが…何かの企画のキャラのようだけど詳しくは知らない。萩という名前の由来はこのあと判明する。
組合泉ぬる湯槽を求めて
男湯の脱衣所はそれほど広くない。3名以上が居合わせる場面はなかったが、もしあればごちゃついて感じるだろう。掲示された分析書の市営泉は「アルカリ性単純温泉」、組合泉は「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、低温泉」だった。浴室に入ってすぐ左手に本命の組合泉ぬる湯浴槽があった。詰めて入ってもぎりぎり3名までのサイズ。実際に3人目として割り込むのは気が引ける浴槽には、すでに2名が浸かっていた。ああ、こりゃノーチャンスかもしれないぞ。ぬるいと長湯するから回転率低いだろうしなあ。
ひとまず5つのカランが並ぶ洗い場で体を洗ったりしつつ、ぬる湯槽の様子をうかがう。やがて1名が出ていった好機を逃さず入れ替わりで浸かった。
うおー、つめてー。ゾクゾクするのは体温より低い証拠。しかし慣れてくると冷たさが爽快感に変わる。そして出られなくなる。狙い通りの展開だ。
予想以上のクオリティ
お湯の見た目は無色透明で湯の花は見られず。若干ヌルヌルした感触があり、時間がたつと微細な泡が二の腕などに付くように見える。そしてお湯をすくって鼻を近づけると微タマゴ臭がする。さすが源泉かけ流し、いいお湯だ。壁に貼ってあった説明書きによれば、磐梯熱海温泉は「萩姫の湯」と呼ばれる(昔の萩姫伝説に由来するが詳細は割愛)。なるほど、それで温泉むすめが萩ちゃんなわけか。
湯船は小さいが、組合泉を源泉かけ流しで提供しようとすると投入量からしてやむを得ない。30分以上でも浸かっていられる泉質だけど、他に入りたそうな様子の客もいるし、譲り合いの精神を発揮して5分くらいで出た。
適温の市営泉が提供される内湯と露天風呂
続いてメインの内湯浴槽へ。こちらは5名サイズ。加温・循環ありの市営泉が湯口からドボドボと贅沢に投入されていた。お湯は無色透明で予想通りにやや熱めの適温。ぬる湯槽の上がり湯、もしくは冷温交互浴の片棒として利用すると良さそう。さらには露天風呂もある。3名サイズの浴槽に市営泉がチョロチョロと注がれている。季節により加温と書いてあった気がする。当時は内湯メイン浴槽よりも若干ぬるめだった。
消毒の有無はわからぬが塩素臭は気にならず、むしろ単純温泉らしい匂いが前面に出ているし、全体的な浴感は悪くない。組合泉の冷たさが苦手な人はこちらを気に入るだろう。
露天風呂は屋根付きで周囲は塀と植え込み。客の各々が「他に誰も行かないなら自分が行く」という意識で回していた空気感があって、実質的に独占状態でのびのび浸かることができた。
途中からは露天風呂とぬる湯槽を行ったり来たりの繰り返し。
ぬる湯をどれだけ堪能できるかは運次第
さて、自分が本命視していたぬる湯槽については、じっくり堪能できるかどうかはその時の運次第。夕方のときはぬる湯のなんたるかを「わかってらっしゃる方」が自分を含めて平均3名いて、微妙な駆け引きと気遣いをもって細かく出入りを繰り返す必要があった。一方で夜遅くと翌朝にトライしたときは誰もぬる湯槽を使おうとせず、ならばと20分×2セットずつを楽しませてもらいました。
貸切風呂に一人で入る奴
夕食後には4階の貸切風呂へ行き、たまたま空いていた石の風呂を利用した。洗い場は2名分。4名サイズの石風呂に市営泉が投入されている。万人向けの適温のお湯。ファミリー客、とくに小さいお子様連れはこちらが本命なんだろう。壁の2面はガラス張りだけど真っ暗な夜だったので展望を楽しめるのかどうかはよくわからなかった。
ぼっちのおじさんにはオーバースペックだし、そもそもの本命は組合泉だし、貸切風呂はもうこれくらいでいいだろうと適当なところであがった。木の風呂は結局入る機会がなかった。
きらくや館内で完結することも可能な食事
夕食はレストランを利用してみた
紅葉館きらくやに夕食付きプランはない。(1)外で食べる、(2)館内レストランを利用する、(3)「やど弁」という弁当付きプランを利用する、のいずれかとなる。今回は(2)の館内レストランを利用した。窓際のぼっち席を陣取り、もみじ定食とビールを注文。
スペシャル感で勝負する方向性ではないかわりに気楽。マイペースでいける。お腹パンパンまでいかない量なのもある意味でちょうどいい。なお、窓から見える植え込みは男湯の露天風呂から見えるやつと一緒。もちろん男湯は見えないアングルになっている。
朝食バイキングサービスあり
夕食はないが朝食サービスはある。館内レストランが朝食会場だ。7時半すぎに行ったら結構混んでいて窓際のぼっち席に入れず。一人泊の客がそこそこいるみたいですな。バイキング形式で品数は多くないものの和定食風の組み立てができる。ご飯と味噌汁は別途配膳される。
食後は図書室にてセルフのコーヒーサービスあり。図書室には一般書籍、コミック、新聞などが置いてある。コーヒー飲みつつ新聞読む人が多かったかな。
一人旅にも向く気楽さがいいね
きめ細かな接客、会席料理が食べきれないほど出てくる夕食、バラエティ豊富なバイキング、広い広い風呂・とくに巨大な展望露天風呂。そういった要素を求めないのであれば、お手頃価格で気楽に泊まれる当館は候補になる。くどいようだが個人的には組合泉のぬる湯の満足度が高かった。思う存分入れるかどうかは他の客との兼ね合い次第の面はあるけど、ぬるさの爽快感だけでなくクオリティ全般いいので狙ってみたいお湯だ。と萩姫も思っているに違いない。
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