梅雨入り時期に鬼怒川上流域を訪ねるグループ旅行が企画された。その最初の見学先となったのが龍王峡。鬼怒川温泉から少し上流へ遡ったところに位置する峡谷である。
当日は運良く晴れてくれたおかげで緑の眩しい川沿いの景色を楽しむことができた。いよいよ夏が来やがったかとボヤきたくなる暑さにはまいったが。
予備知識がなくてメリハリの付け方がわからずペース配分を間違えたこと、後の計画の都合により見学時間のお尻が決まっていたことから、最大の見どころを軽く流す感じになってしまった。いつかリベンジ戦があるかもしれない。
駐車場がガラガラなのは、まあ平日の朝だからね。駐車場のすぐそばには野岩鉄道の龍王峡駅があった。東京方面から鉄道で来るなら東武鉄道と野岩鉄道を乗り継ぐか、あるいは両社直通する特急リバティを利用することになる。
この場所から龍王峡をめぐる遊歩道が始まっている。普通ならここが見学のスタート地点だ。たとえば20分ですませたければ虹見橋までの往復、1時間ほどかけられるならむささび橋までの周回コース、3時間以上のハイキングOKなら終点の川治湯元駅まで、などいろいろなコース設定が可能。
そこで一計を案じたメンバーによれば白岩までバスなら5分程度で行けるらしい。調べると、ちょうどうまいタイミングでバス便が設定されていた。ナイス。決まり。こうして龍王峡入口から白岩までバスで移動した。
白岩で下車した時点で残り時間100分。ゆっくり景色を楽しみながら遊歩道を駐車場まで戻っていっても余裕あるな。よしよし。と、この時はたかをくくっていたのだった…。
このあたりは鬼怒川の流れがヘアピンカーブを描いており、カーブの内側でニョキッと突き出した格好になる陸地部分が白岩半島と呼ばれる。名前の正式な由来はわからないけど、岩が白っぽいのかね、こんな風に。
半島の付け根から先端部へ向けて歩いていくと急に開けた河原が現れた。道中で岩が白く見えたのは光の反射の加減だったのか、河原で間近に見る岩はそんなに白くない。
それはさておき、清涼感のある川と新緑と空の青が爽やかな気分にさせてくれる。涼しげな風のおかげで駐車場で感じた暑さはいくらか軽減されているようだ。我々の他に誰もいないってのも良かった。しばし河原でまったりと佇んだ。
龍王峡のうち、このあたりの区間は紫龍峡という名前がついている。なんででしょうね。基本的には川面のずっと上、崖の途中に遊歩道が通っており、川との間には木の枝が結構密集していて峡谷に対する視界はそれほどオープンではない。
時おり垣間見える岩の上部にクレーターのような穴が空いていることがある。かめ穴というそうだ。穴には水が溜まっていることが多い。肉眼で見るにはいいが、かめ穴だとはっきりわかるような写真を取るのは地形的に難しい。
続いては柱状節理。六角形の柱をくっつけたような形をした岩だ。過去には函館の道南金剛で見たな。柱が斜めに傾いたやつなら十日町の清津峡にあったっけ。
遊歩道の足元もまさに柱状節理の一部らしく、角ばった硬い岩が路面のあちこちに顔を出していて、歩きにくいったらありゃしない。上り下りもあるから歩速は平地と比べてガクッと落ちる。
お次は大観。名前からして絶好のビューポイントってことでしょう。おお、たしかに見晴らしがいい。
絶妙な地形のおかげで川を横からでなく真上から見ている感じになる。あー、こんなにいい景色なのに、じっくり見ている余裕がない…。気づけば残り時間は30分ほどになっていた。やばい、ここからは巻きでいきます。
最大の見せ場だけあって峡谷を遠くまで見通すことができ、かつ近いところは迫力を感じながらディテールまで観察できる。こりゃすげーわ。
上流側の景色が最高だけど下流側もなかなかのもの。
本当はむささび橋にじっくり時間をかけるべきだった。ペース配分を間違えたー。はい皆さん見ましたね・写真撮りましたね・じゃあ行きますよって感じで終了。あああー残念なり。
対岸には滝も見える。しかしもう構ってる時間はない。適当にチラ見して先を急ぐ。途中で2回ほど蛇と遭遇したけど華麗にスルー。
そうしてついに駐車場から近い虹見橋まで戻ってきた。冒頭の写真に示した通り、虹見橋からの眺めも大変結構なものである。ここのポイントは下流側に虹見の滝が見えることだろう。名前からして条件が合えば落水のところに虹がかかるんだろうね。
以上で龍王峡見学を終了。片道バスの白岩コースで2時間をきっちり使い果たし、しかも不足気味だったとは予想外。あるメンバーは紅葉の季節にリベンジしたいと言っていた。
紅葉シーズンは下手をすると激混みに巻き込まれてウンザリさせられそうだけど、作戦を練ってうまく立ち回れば最高の絶景を堪能できるに違いない。今回の下見(?)でその点は間違いないと思った。
【この旅行に関する他の記事】
当日は運良く晴れてくれたおかげで緑の眩しい川沿いの景色を楽しむことができた。いよいよ夏が来やがったかとボヤきたくなる暑さにはまいったが。
予備知識がなくてメリハリの付け方がわからずペース配分を間違えたこと、後の計画の都合により見学時間のお尻が決まっていたことから、最大の見どころを軽く流す感じになってしまった。いつかリベンジ戦があるかもしれない。
龍王峡へのアクセス
車でも鉄道でも行きやすい
今回はメンバーのひとりが出してくれた車での移動。早朝のうちに東北道へ入り、日光宇都宮道路・今市IC→国道121号を経由して(途中にあった有料道路=鬼怒川有料道路と龍王峡ラインは時短のために両方とも利用した…ETCには対応してなかった…)、龍王峡駐車場に到着。駐車場がガラガラなのは、まあ平日の朝だからね。駐車場のすぐそばには野岩鉄道の龍王峡駅があった。東京方面から鉄道で来るなら東武鉄道と野岩鉄道を乗り継ぐか、あるいは両社直通する特急リバティを利用することになる。
この場所から龍王峡をめぐる遊歩道が始まっている。普通ならここが見学のスタート地点だ。たとえば20分ですませたければ虹見橋までの往復、1時間ほどかけられるならむささび橋までの周回コース、3時間以上のハイキングOKなら終点の川治湯元駅まで、などいろいろなコース設定が可能。
バスによる片道ショートカット作戦
スケジュールの都合により我々が滞在可能なのは2時間。遠すぎず近すぎずで最適な折り返し地点となるべき片道1時間弱のあたりには、これといった見どころがないようだった。白岩というスポットが片道1時間とされているけど、白岩まで往復するにはあまりに時間制限ギリギリでリスキーだ。そこで一計を案じたメンバーによれば白岩までバスなら5分程度で行けるらしい。調べると、ちょうどうまいタイミングでバス便が設定されていた。ナイス。決まり。こうして龍王峡入口から白岩までバスで移動した。
白岩で下車した時点で残り時間100分。ゆっくり景色を楽しみながら遊歩道を駐車場まで戻っていっても余裕あるな。よしよし。と、この時はたかをくくっていたのだった…。
第1部:紫龍峡
川のそばでまったりできる白岩半島
バス停のある国道から遊歩道まではひたすら下り坂。熊出没注意の看板にビビりつつも特に野生動物を目にすることもなく無事に遊歩道へ合流できた。このあたりは鬼怒川の流れがヘアピンカーブを描いており、カーブの内側でニョキッと突き出した格好になる陸地部分が白岩半島と呼ばれる。名前の正式な由来はわからないけど、岩が白っぽいのかね、こんな風に。
半島の付け根から先端部へ向けて歩いていくと急に開けた河原が現れた。道中で岩が白く見えたのは光の反射の加減だったのか、河原で間近に見る岩はそんなに白くない。
それはさておき、清涼感のある川と新緑と空の青が爽やかな気分にさせてくれる。涼しげな風のおかげで駐車場で感じた暑さはいくらか軽減されているようだ。我々の他に誰もいないってのも良かった。しばし河原でまったりと佇んだ。
点々と見えるかめ穴
適度に満足したところで出発。半島の先端から付け根に戻ってすぐのところに何かの施設があった。大量の放水の真上を渡る足場がスリル満点。龍王峡のうち、このあたりの区間は紫龍峡という名前がついている。なんででしょうね。基本的には川面のずっと上、崖の途中に遊歩道が通っており、川との間には木の枝が結構密集していて峡谷に対する視界はそれほどオープンではない。
時おり垣間見える岩の上部にクレーターのような穴が空いていることがある。かめ穴というそうだ。穴には水が溜まっていることが多い。肉眼で見るにはいいが、かめ穴だとはっきりわかるような写真を取るのは地形的に難しい。
第2部:青龍峡
峡谷の中の峡谷・兎はね
かめ穴スポットから先の区間は青龍峡と呼ばれる。まず見えてきたのが兎はねという、川幅が非常に狭くなっている場所だ。兎の跳躍で渡れるくらいに狭いってことだろう。比喩的な意味で。続いては柱状節理。六角形の柱をくっつけたような形をした岩だ。過去には函館の道南金剛で見たな。柱が斜めに傾いたやつなら十日町の清津峡にあったっけ。
遊歩道の足元もまさに柱状節理の一部らしく、角ばった硬い岩が路面のあちこちに顔を出していて、歩きにくいったらありゃしない。上り下りもあるから歩速は平地と比べてガクッと落ちる。
大観は絶好のビューポイント
余裕たっぷりだったはずの残り時間がみるみるなくなっていくのを感じつつ、お次は五光岩。巨大なスプーンでえぐったような形で岩に穴が空いていて、かつては底に溜まった水の色が、見る時の条件次第で五通りに変化したそうだ。お次は大観。名前からして絶好のビューポイントってことでしょう。おお、たしかに見晴らしがいい。
絶妙な地形のおかげで川を横からでなく真上から見ている感じになる。あー、こんなにいい景色なのに、じっくり見ている余裕がない…。気づけば残り時間は30分ほどになっていた。やばい、ここからは巻きでいきます。
第3部:白龍峡
最大の見どころ=むささび橋
大観の少し先に最大のクライマックス・むささび橋がある。龍王峡はここを境に白龍峡と呼ばれる区間になる。最大の見せ場だけあって峡谷を遠くまで見通すことができ、かつ近いところは迫力を感じながらディテールまで観察できる。こりゃすげーわ。
上流側の景色が最高だけど下流側もなかなかのもの。
本当はむささび橋にじっくり時間をかけるべきだった。ペース配分を間違えたー。はい皆さん見ましたね・写真撮りましたね・じゃあ行きますよって感じで終了。あああー残念なり。
湿地帯から虹見橋へ
むささび橋を渡ってから西岸の遊歩道を進むと木道が設置された湿地帯になった。ほう、これはこれは。対岸には滝も見える。しかしもう構ってる時間はない。適当にチラ見して先を急ぐ。途中で2回ほど蛇と遭遇したけど華麗にスルー。
そうしてついに駐車場から近い虹見橋まで戻ってきた。冒頭の写真に示した通り、虹見橋からの眺めも大変結構なものである。ここのポイントは下流側に虹見の滝が見えることだろう。名前からして条件が合えば落水のところに虹がかかるんだろうね。
時間が足りないとは予想外
虹見橋を渡って対岸に移動し、最後に寄ったのが五龍王神社。旅の無事をお祈りしておいた。ここは先ほどの虹見の滝が背後に見える、観瀑台的なロケーションでもある。以上で龍王峡見学を終了。片道バスの白岩コースで2時間をきっちり使い果たし、しかも不足気味だったとは予想外。あるメンバーは紅葉の季節にリベンジしたいと言っていた。
紅葉シーズンは下手をすると激混みに巻き込まれてウンザリさせられそうだけど、作戦を練ってうまく立ち回れば最高の絶景を堪能できるに違いない。今回の下見(?)でその点は間違いないと思った。
【この旅行に関する他の記事】
- 八丁の湯を“もう一丁”…思い出を追って再訪した奥鬼怒の秘湯
- 周遊しやすい鬼怒川上流4ダム見学がなかなか面白い
- 囲炉裏料理の源泉湯宿が奏でる平家物語 - 湯西川温泉 平の高房
- ダム見学なら水陸両用バスで行く湯西川ダックツアー
- 旅の最後に鬼怒川温泉「仁王尊プラザ」の実力を垣間見た件