旅の最後に鬼怒川温泉「仁王尊プラザ」の実力を垣間見た件

鬼怒川仁王尊プラザ
鬼怒川温泉といえば誰もが知る一大温泉地である。最近は盛っているところと寂れたところと二極化が激しいとも聞くが、自分はそもそも鬼怒川温泉に行ったことがなかった。一人旅だと敷居が高そうだし。

しかし温泉めぐりをするようになって、いろいろ情報を調べていると、鬼怒川では「鬼怒川仁王尊プラザ」という宿の泉質がいいとの評判が目について興味を持った。

そんな2019年の梅雨入り時、グループ旅行で鬼怒川上流エリアを訪れることになったので、仁王尊プラザへの立ち寄り入浴を提案したところ、最終日の帰路にて実現の運びとなった。

鬼怒川仁王尊プラザへのアクセス

ようは鬼怒川温泉へ行けばいいわけだから、特段説明の必要もあるまい。車なら日光宇都宮道路を今市ICで下りて国道121号を北上する。途中で121号の本道とバイパス(鬼怒川有料道路)とに別れる三叉路があるけど、本道を行くべし。バイパスへ進むと鬼怒川温泉街をバイパスしてしまう。

東武ワールドスクウェア駅の手前あたりで踏切を渡って枝道に入る。あとは道なりに1~2分で着く。

実際の我々は前泊した湯西川温泉・平の高房をチェックアウトした後、水陸両用バスに乗って川治ダムを見学する湯西川ダックツアーに参加してから、国道121号を南下する形でアプローチした。

鉄道利用の場合、東武ワールドスクウェア駅ではなく小佐越駅から徒歩12分と案内されている。前者だと朝・夜は全列車が停車せず通過するとか、駅を出て踏切を渡るためにいったん当館と反対方向へ歩かなければならないとかで、間違いのもとになるからだろうか。


ちょっとユニークな仁王尊プラザのつくり

4箇所あるお風呂

仁王尊プラザを初めて見たときの印象は「白い低層マンション」。あんまりホテルや旅館ぽくないなあ、と思いつつ中に入って日帰り入浴券を買った。700円。

フロントで受けた説明によると、当館で利用できるお風呂は4箇所。すべて源泉かけ流し。

・内湯
・岩石露天風呂
・屋形船露天風呂
・舞台の湯

このうち舞台の湯は鬼怒川の流れに最も近い場所にあって景色は良さそうだが、混浴であり、水着・湯浴み着を義務付けられている。我々はとりあえずパス。

屋外レジャーを楽しめる裏庭エリア

いったん1フロア分下りて裏庭へ出てから内湯前のロッカーに荷物を入れた。しかしスケジュールの都合により内湯そのものはパス。内湯の向かい側にある岩石露天風呂もパス。屋形船露天風呂に集中することにした。

屋形船露天風呂へは裏庭を突っ切っていくのだが、BBQというか野外飲みを楽しんでるグループはいるし、猫ちゃんは何匹もいるし。
裏庭にいる猫
釣り堀があるし、鴨が泳いでいるし。
釣り堀につながる池を泳ぐかも
施設名の通りに仁王像が立っているし。
仁王尊プラザの仁王像
なんだかユニークで不思議な場所である。もちろんなんの不都合もなく、のどかでまったりした雰囲気があって大変結構。その不思議空間を通って屋形船露天風呂の男湯がある木造小屋へと入っていった。


お湯良し・景色良しの屋形船露天風呂

屋形船に注がれるぬる湯

小屋の中はいたってシンプル。簡素な脱衣所から扉なしですぐ浴室につながっている。浴室というか、まんま船の形をした湯船がでーんと置いてある空間。掲示された分析書には「単純温泉、アルカリ性、低張性、温泉」とあった。

ここに洗い場はない。とにかく屋形船に源泉を注いで浴槽にしている空間があるのみ。したがって船の定員くらいの人数が入れる湯船ということになる。見たところ10名規模かな。丁寧にかけ湯をしてから、いざ突撃。

お湯は無色透明。浸かってみたところ、はっきりとぬるい。40℃を切るくらいだろうか。自分好みのレンジである。これならじっくり楽しめそうだ。

好条件を揃えた良質の湯

お湯をすくって鼻を近づけるとほのかに硫黄臭がする。いいですねー。しかもアルカリ性のおかげか若干ヌルヌルした感触もある。美肌の湯とか美人の湯とかいって宣伝できるやつだ。

温泉に入りまくった旅行の最後でも、やっぱり温泉は気持ちいいですな、と気分良く浸かっていると、腕やお腹のところに小さい泡がびっしりと付着しているのに気づいた。おお、泡付きもすごいじゃないか。

ぬるい+硫黄臭+ヌルヌル+泡付き+源泉かけ流しという好条件を揃えた名湯は少ないながらもいくつか体験してきたが、当湯もその仲間に入れられるだろう。やはり世間の評判はダテじゃなかった。

川下りする船とコミュニケーションできる

頭上は透明な波板の屋根で覆われ、明るく、かつ雨をしのげる。脱衣所と反対側は金網フェンス越しに眺望が開けている。鬼怒川と峡谷風の岩壁が見えた。上流の奥鬼怒温泉郷や湯西川温泉、ダム群や龍王峡を通ってきた水がここにあるわけか…この旅行で訪れた各地が思い出されて感慨深い。

そういえば実際の屋形船が川下りをするところが見られますと張り紙してあった気がする。記されていた時刻頃になると遠くから歓声が近づいてきた。来たな。

湯船から身を乗り出して下方の鬼怒川を覗き込むと、ちょうど船が通過中だった。この時はラフティングボートだったが。若者(学生?)の団体が複数の船に分散して乗っていた。

向こうが「おーい」と手を振ってきたので、こちらも手を振って返した。ちなみに川と当露天風呂の中間くらいの位置に上述の舞台の湯がある。こうした鬼怒川とのコミュニケーションを楽しむなら舞台の湯が一番だろう。屋形船露天風呂から見下ろせる範囲では、舞台の湯には最初から最後まで誰もいなかったから、あれはやっぱり我々に手を振ったんだろうなあ。

あと時おりポォーッという機関車の汽笛が聞こえた。下今市駅と鬼怒川温泉駅を結ぶSL大樹なる観光列車が運行されてるから、たぶんそれだ。いいロケーションにある、いい温泉、仁王尊プラザ。さすがですな。

内湯と岩石露天風呂を偵察

帰りにちょっと見るだけ見ていこうと、内湯へ行ってみた。内湯だけど岩風呂っぽくなっていて4名サイズ。カランは4つ。この時は無人だった。

ついでに岩石露天風呂も。何名か入っていたため邪魔しちゃ悪いとすぐに引っ込んだが、10名サイズとみた。目隠しの塀があるため鬼怒川は見えないと思う。

裏庭の不思議空間にはちょっと戸惑ったけど(でも楽しそう)、お湯は間違いなくいい。旅の最後を良泉で締めることができて満足である。