超高速に挑戦…古代ロマンの遺跡見学 - 吉野ヶ里歴史公園

吉野ヶ里歴史公園
春の九州旅行で佐賀の温泉に行く際、温泉と関係なく観光で訪れてみたいところがあった。吉野ヶ里遺跡である。べつに歴史好き・古代ロマン派ってわけじゃないんだけど、なんとなく押さえておきたい気分だった。

遺跡を含むエリア一帯は吉野ヶ里歴史公園として整備されている。だが計画を立てる際に詳細を調べていくと、どうやっても旅のスケジュールにうまく収まらない。広すぎて見学時間が足りないのだ。

どうしてもあきらめきれず、得意技=超スピード・ダイジェスト見学作戦を発動して、強引に計画に組み入れた。おかげで観光なんだか通り過ぎただけなんだか、よくわからないことになってしまったが、まあよしとしよう。

吉野ヶ里公園駅から吉野ヶ里歴史公園までの歩き

遺跡まで往復するだけでも1時間

吉野ヶ里歴史公園の最寄り駅はわかりやすい、JR長崎本線・吉野ヶ里公園。(新)鳥栖駅と佐賀駅の中間あたりだ。しかし話はそう簡単ではない。駅から公園の入口まで徒歩15分以上も離れているのだ。

しかも園内はやたら広く、本命の遺跡があるところまでだと、駅からわき目もふらずに歩いても30分はかかる。つまり何もせず単に往復するだけで1時間。いろいろ見て回るには2時間以上ほしい。

にもかかわらず、自分が前泊地の原鶴温泉・延命館をチェックアウトして久大本線・筑後吉井から久留米と鳥栖を経由して吉野ヶ里公園駅に着いたのは、11時10分。後のスケジュールの都合で12時18分発の列車に間に合うように戻らなくてはいけなかった。無茶振りもいいとこ。

可能ならレンタサイクルがいいかも

来た以上はやるしかない。一息入れる間もなく駅の北口を出発。
吉野ヶ里公園駅
麦畑が広がるのどかな風景の中を都会の通勤客をも凌ぐ早歩きで吉野ヶ里公園を目指す。なんとか10分程度で公園東口まで達することができた。この時点で息切れし始める。
吉野ヶ里歴史公園東口
実は駅でレンタサイクルを借りることもできた。でも貸し出しの手続きや精算で余計に時間を取られるおそれがあったし、別な帰り道の腹案もあってやめておいた。


吉野ヶ里歴史公園の超スピード見学

北内郭:主祭殿と期間限定公開の斎堂

先の東口から5分ほど奥へ進んだところが真の入場ゲート。入場料460円なり。入って川を渡ると、草むらにイノシシの群れが現れた! イノシシは様子を見ている…ドラクエかよ。
イノシシ像
園内ガイドを見るとやっぱりものすごく広い。順路に沿って見ていく余裕はない。古代歴史ロマンを最も感じられそうな北内郭と北墳丘墓にフォーカスして、ギアを一段上げて歩き出した。この時点で蒸し暑くなってくる。

11時35分、北内郭に到着。ここには復元された高床式の住居や主祭殿がある。
北内郭 主祭殿
主祭殿内部の2階・3階は当時の儀礼の様子を再現した展示になっている。
主祭殿の内部
また斎堂という建物は期間限定で内部を公開していたので、急な刻み梯子を登って中を覗かせてもらった。なんかの敷物とかがありました。
北内郭 斎堂
他にも見学対象はあったけど優先度を考えてスルー。うーん、せっかく来たのになんだかもったいないなあ、なんて心が揺らいでしまっては乗るべき列車を逃す。予定していた温泉めぐりをあきらめる羽目にもなりかねない。心を鬼にして北内郭を後にした。

北墳丘墓:吉野ケ里遺跡のハイライト

北内郭に限らず、園内には復元された住居や倉が各所に点在していて、その多くは中に入ることができるのだが、なにしろ時間がない。チラチラと横目に見ながら次なるスポット・北墳丘墓を目指した。

道中はこんな感じの甕棺がごろごろ置いてある。遺跡の墓地にこういう棺が埋まってたということかな。中には割れてるのもあった。
甕棺
11時42分、北墳丘墓前に到着。歴代の王の墓だそうだ。古墳のはしりというか、ちょっとした丘になっている。
北墳丘墓
ただ丘を眺めるだけと侮るなかれ。裏へ回り込むと、丘の内部が現代的な展示ドームになっていた! なんじゃこりゃあ。
北墳丘墓の内部
中央部はモノホンの発掘跡でしょう。吉野ヶ里遺跡のハイライトといえる。惜しむらくは展示物や解説をじっくり見る・読む余裕がなかったこと。全体をぱっと見て、「おおー、すごーい。…さて行くか」程度のことしかできなかった。

南内郭:櫓の上であらためて感じる公園の広さ

11時45分、もう帰り始めないとまずい。園内を巡回するバスを利用すれば時間を節約できそうに思えるのだが、この差し迫った状況で初物はリスクが大きい。一番正確に時間が読めるのは自分の足である。

北内郭を通り過ぎて、最後に南内郭へちょっとだけ立ち寄った。ここには竪穴式住居と櫓がある。櫓の中には実際に登れるのもある。
南内郭 竪穴式住居と櫓
そのうちの一つに登ってみた。さすがに見晴らしがいいし、とんでもなく広い公園だとあらためて実感。西の方を撮影したのがこれ。これでも全体のごくごく一部である。
櫓から見た吉野ヶ里歴史公園

時間との戦い…策に溺れた帰路

秘策・神埼駅コース

11時53分、もう戻らないとホンマにあかん。いや、もう早歩きくらいじゃ間に合わないかもしれない。そこで腹案を実行に移した。

当公園の東口の最寄りが吉野ヶ里公園駅である一方、西口の最寄りは隣の神埼駅。西口→神埼駅の方が東口→吉野ケ里公園駅よりも近いとの情報、加えて神埼であれば当初計画より3分遅い12時21分までに着けばいいことから、神埼コースを選んだ。さっき初物はリスキーと言ってたのに…。

西口寄りのエリアは普通の芝生の広場が広がっていた。大勢のファミリーがいたけどまだまだ余裕ある広さ。
吉野ヶ里公園 西の芝生広場
この広場を抜けるのに時間を要してしまい、西口を出たのが12時4分。まずい。焦りとともにギアをトップに上げてずんずん進む。農耕地の狭い小路に迷い込んで時間をロスする危険を避けるべく、国道34号を通って駅南口へ達する遠回りコースを選んだため、余計に苦しかった。

結局は吉野ヶ里公園駅コースで良かった

後で調べたら農耕地を直線的に進んで駅北口を目指す最短ルートで問題なかったし、そっちの方がはるかに楽だった。それ以前に南内郭からだったら吉野ヶ里公園駅の方が近かった…そんなのS・A・G・A・佐賀、公表してねぇ。

12時15分に神埼駅に着いたんで結果オーライだったものの、晴天の下を無理な早歩き(一部小走り)でカバーしたせいで汗びっしょり。息荒くハーハーゼーゼーいってるし、どうみても怪しい不審者である。いやんなっちゃうよ。
神埼駅
しかも佐賀駅でバスに乗り換える都合から強引なスケジュールを組んだのに、肝心のバスの到着が遅れて、結局は40分後に来る次の列車でもバスに乗れてたというおまけ付き。いやんなっちゃうよ。

いつか見たいと思っていた吉野ケ里遺跡を見られただけでもよしとするか。