西伊豆といえば定番の観光地が堂ヶ島。奇勝の続く海岸線が客を呼ぶ観光スポットである。西伊豆は初めてじゃないし、過去に訪れたことがあっても全然おかしくないのだが、なぜだか記憶にない。ザ・定番なのに行ってないなんてことがあるのかなあ。
そんな疑問にもはや意味はない。このたびのグループ旅行の帰りに立ち寄ることになったから。過去はどうあれ主観的には初訪問だ。新鮮な驚きをもって見学できたのはむしろ幸いであった。
そしてまた海に沈む夕日で知られる黄金崎にも行ってみた。夕日には早すぎる時間帯だったけど、こちらもなかなか面白い。車を降りてからたくさん歩き回らなくてすむコンパクトさがいいですね。
西伊豆町に入り、とある標識が目に留まった。一色枕状溶岩。我々の絶景アンテナがビビッと反応した。「行ってみようか」「行ってみましょう」…はい決まり。標識に従って県道59号へ入る。並行する川の上流方向へ10分ほど進んでから右折。最後の数百メートルの道は狭い。
目的地に数台の車を止める簡易的なスペースはある。大勢が押しかける想定で整備されておらず、ここが満車だと詰んでしまうが、このときは他に誰も来ていなかった。
大昔、このあたりが海の底だった頃、流れ出した溶岩がチューブ状になって積み重なった結果できあがったとのこと。へー。
我ら素人は学術的価値がわからず秘境感・スケール感・インスタ映え感だけで「良さ」を判断してしまう。そういう目で見られてしまうと、ここはちょっと気の毒かもしれないね。
そもそもが観光地然とした場所ではなく、周辺に休憩所や売店といった類いはない。ここはそういうポジションでいいんだと思う。我々もさくっと見てさくっと立ち去った。
あたりを見回すが、やっぱり蘇ってくる記憶は一切ない。もう初めて来たってことでいいや(本当に初めてかもしれない)。おお、あれが遊覧船か。奥に見える島の様子は宮城の松島に似ているな。
遊覧船の座席は前部・中央部・後部の3パートに分かれており、爽快に風を受けながら左右とも広く見られるのは後部である。ただし救命胴衣を着用する必要がある。我々はのんびり行動しすぎて後部を取れなかった。
次善の策で押さえた前部は救命胴衣不要の屋外デッキ。視界は座る席によって右か左かの片側に偏る。中央部は屋内式で、雨の時・極度に寒い時・お年寄り向けの場所。
陸地側は片平なぎさが出てきそうな印象的な崖が続く。
よーく目を凝らすと崖の上に小屋らしきものが見える。あれは沢田公園露天風呂という温泉だ。すんごいロケーションだな。見学しに行った話は後ほど。
船はゆっくりと洞窟内を進んでいった。洞窟中央の天井は抜け落ちて、陽光が差し込んでいる。
ああ、だから天窓洞なのか。なおかつ水と光の加減で青の洞窟に見えるってわけか。このときも結構いい雰囲気だったと思う。絶好のインスタ映えチャンスだ。
だがしかし。たかたかし。温泉に入りまくったおじさんの指先はすっかりカサカサになっていた。スマホのカメラアプリを起動してシャッターボタンをタップするも反応しない! よりによってこんな時にィィィ! うるおいィィィ!
変なタイミングに限って反応しやがって、まともに撮れず。最大限にうまくいった1枚がこれ。
あーあ、スマホと格闘してるうちに終わっちゃったよ。こんなことなら液晶画面ばっかり見てないで、せめて自分の目にしっかり焼き付けておけばよかった。しかも後日、画面上の表示ボタンをタップするかわりに音量ボタンでもシャッターを切れることがわかった。あーそういう仕様だったの…。
トンボロロ トンボロボロロ~♪ しょうもない替え歌を脳内に流しつつ先を急ぐと、先ほどの天窓洞を上から覗き込む場所へ出てきた。見下ろす青の洞窟もなかなかの絶景だ。今度こそ落ち着いて撮影に成功。
駐車場に着いてみたら他に客の姿はない。こりゃあ独占確定か?! しかし受付も無人。なんだ定休日か。天国から地獄へ突き落とされた気分だった、がっくり。せめて写真だけでも撮っておくか。
定休日で誰もいないし、外観の撮影なら差し支えないでしょう。塀で隔てられた手前側が男湯で奥が女湯。湯船から見える景色はこんな感じだと思われる。
営業中であれば町外からの観光客は600円で入浴することができる。岩風呂が一つあるだけで洗い場はないようだ。温泉に浸かれる展望台であって、一般的な風呂のつもりで行くところではない。後述の黄金崎と同じく、晴れた日の夕刻はさぞかし感動的な眺めだろうね。
ようは崖なんだけど、今までと違って地肌がやけに黄色い。展望台の向かいに見える崖は全体が馬の姿に見えるため、馬ロックと呼ばれている。パワースポットということにもなっているらしい。
どうです、馬でしょう。よく見ると馬の背のあたりにも展望所があるし、もっと奥には長い階段と高台(富士見の丘)があるではないか。よし行ってみよう。
馬の背から海を望む。サンセットというにはまだ早いし、夕刻になったとしても雲が邪魔かもね。すっきり晴れていれば相当すばらしい夕日を拝めるであろうことは想像に難くない。
もともと黄色い地肌に夕日が当たると地名通りの黄金色に輝くんだろう。なるほどね。とすれば馬ロックは見事な栗毛になっちゃうんじゃないかな。いや栃栗毛か。
以上で西伊豆観光は終了。この日だけでも晴れてくれてよかったですわ。雨だったら魅力半減のところばかりだったからね。って西伊豆だけにあてはまる話じゃないが。
多くの観光客の目が河津桜に集まる頃(正確にはもう見頃は終わっていたが)、あえて河津を避けて中伊豆と西伊豆にフォーカスした計画を立てたのは、ほぼ混雑知らずでスムーズにまわれたし、目の付け所が良かったと思う。自画自賛にて総括。
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そんな疑問にもはや意味はない。このたびのグループ旅行の帰りに立ち寄ることになったから。過去はどうあれ主観的には初訪問だ。新鮮な驚きをもって見学できたのはむしろ幸いであった。
そしてまた海に沈む夕日で知られる黄金崎にも行ってみた。夕日には早すぎる時間帯だったけど、こちらもなかなか面白い。車を降りてからたくさん歩き回らなくてすむコンパクトさがいいですね。
急きょ決まった一色枕状溶岩への立ち寄り
西伊豆町の内陸部にあるジオサイト
早春の伊豆旅行最終日。雨続きの旅も最後になってようやく晴れた。松崎町から車で伊豆の西海岸を通って東京方面に帰る計画で、朝のうちに大沢温泉「大沢荘 山の家」に立ち寄り入浴し、あとは海沿いの観光スポットを適当に見ていくだけとなった。西伊豆町に入り、とある標識が目に留まった。一色枕状溶岩。我々の絶景アンテナがビビッと反応した。「行ってみようか」「行ってみましょう」…はい決まり。標識に従って県道59号へ入る。並行する川の上流方向へ10分ほど進んでから右折。最後の数百メートルの道は狭い。
目的地に数台の車を止める簡易的なスペースはある。大勢が押しかける想定で整備されておらず、ここが満車だと詰んでしまうが、このときは他に誰も来ていなかった。
大昔の溶岩流の跡
駐車場付近の道路の片側が岩の崖になっており、それが一色枕状溶岩らしい。まあたしかに横から見た枕っぽい形状がそこかしこに見えますな。大昔、このあたりが海の底だった頃、流れ出した溶岩がチューブ状になって積み重なった結果できあがったとのこと。へー。
我ら素人は学術的価値がわからず秘境感・スケール感・インスタ映え感だけで「良さ」を判断してしまう。そういう目で見られてしまうと、ここはちょっと気の毒かもしれないね。
そもそもが観光地然とした場所ではなく、周辺に休憩所や売店といった類いはない。ここはそういうポジションでいいんだと思う。我々もさくっと見てさくっと立ち去った。
青の洞窟ほか、見どころいっぱい堂ヶ島
洞窟めぐり遊覧船は後部座席が狙い目
お次は最大の見どころにして王道のスポット、堂ヶ島。洞窟めぐり遊覧船の乗り場に近い無料駐車場が空いていたので車を止めた。お向かいは加山雄三ミュージアム。あたりを見回すが、やっぱり蘇ってくる記憶は一切ない。もう初めて来たってことでいいや(本当に初めてかもしれない)。おお、あれが遊覧船か。奥に見える島の様子は宮城の松島に似ているな。
遊覧船の座席は前部・中央部・後部の3パートに分かれており、爽快に風を受けながら左右とも広く見られるのは後部である。ただし救命胴衣を着用する必要がある。我々はのんびり行動しすぎて後部を取れなかった。
次善の策で押さえた前部は救命胴衣不要の屋外デッキ。視界は座る席によって右か左かの片側に偏る。中央部は屋内式で、雨の時・極度に寒い時・お年寄り向けの場所。
崖につぐ崖をめぐる
いざ出航。「洞窟めぐりコース」の船は下の写真のような小島を縫うように進む、20分のクルージング。陸地側は片平なぎさが出てきそうな印象的な崖が続く。
よーく目を凝らすと崖の上に小屋らしきものが見える。あれは沢田公園露天風呂という温泉だ。すんごいロケーションだな。見学しに行った話は後ほど。
幻想的な青の洞窟(天窓洞)内部に潜入
さあいよいよメーンイベント、青の洞窟(天窓洞)と呼ばれる幻想的な風景に突入するぞ。スマホを片手にわくわくしながら洞窟の奥に視線をズームイン。船はゆっくりと洞窟内を進んでいった。洞窟中央の天井は抜け落ちて、陽光が差し込んでいる。
ああ、だから天窓洞なのか。なおかつ水と光の加減で青の洞窟に見えるってわけか。このときも結構いい雰囲気だったと思う。絶好のインスタ映えチャンスだ。
だがしかし。たかたかし。温泉に入りまくったおじさんの指先はすっかりカサカサになっていた。スマホのカメラアプリを起動してシャッターボタンをタップするも反応しない! よりによってこんな時にィィィ! うるおいィィィ!
変なタイミングに限って反応しやがって、まともに撮れず。最大限にうまくいった1枚がこれ。
あーあ、スマホと格闘してるうちに終わっちゃったよ。こんなことなら液晶画面ばっかり見てないで、せめて自分の目にしっかり焼き付けておけばよかった。しかも後日、画面上の表示ボタンをタップするかわりに音量ボタンでもシャッターを切れることがわかった。あーそういう仕様だったの…。
遊歩道から見る青の洞窟とトンボロ現象
遊覧船の後、近くの高台の遊歩道をぶらぶらしてたら、ある地点で陸地と小島の間に白波が立っているのが見えた。そこだけ極端に浅くなっているのだ。干潮時には砂州が現れることもあるそうだ(トンボロ現象)。トンボロロ トンボロボロロ~♪ しょうもない替え歌を脳内に流しつつ先を急ぐと、先ほどの天窓洞を上から覗き込む場所へ出てきた。見下ろす青の洞窟もなかなかの絶景だ。今度こそ落ち着いて撮影に成功。
沢田公園露天風呂の空振り体験
お次は遊覧船で見た沢田公園露天風呂へ行ってみた。さぞかしすばらしい絶景風呂なんだろう。わくわくしてきた。駐車場に着いてみたら他に客の姿はない。こりゃあ独占確定か?! しかし受付も無人。なんだ定休日か。天国から地獄へ突き落とされた気分だった、がっくり。せめて写真だけでも撮っておくか。
定休日で誰もいないし、外観の撮影なら差し支えないでしょう。塀で隔てられた手前側が男湯で奥が女湯。湯船から見える景色はこんな感じだと思われる。
営業中であれば町外からの観光客は600円で入浴することができる。岩風呂が一つあるだけで洗い場はないようだ。温泉に浸かれる展望台であって、一般的な風呂のつもりで行くところではない。後述の黄金崎と同じく、晴れた日の夕刻はさぞかし感動的な眺めだろうね。
心を折られた浮島海岸の坂道
お次は堂ヶ島の北に位置する浮島海岸。ここは割愛します。展望台まで行こうと遊歩道を進んでいったが、延々と先の見えない登り坂(ぬかるんで歩きにくい)に心を折られて途中で引き返した、とだけ言っておこう。駐車場に近い奇岩の風景はよかった。黄金色に輝くジオサイト・黄金崎
パワースポットになっている馬ロック
最後はさらに北上して黄金崎。アプローチ道路の最奥にある駐車場からちょっと階段を上れば展望台。絶景にありつくまでのアクセスがいいので大型観光バスもちょいちょいやって来る。ようは崖なんだけど、今までと違って地肌がやけに黄色い。展望台の向かいに見える崖は全体が馬の姿に見えるため、馬ロックと呼ばれている。パワースポットということにもなっているらしい。
どうです、馬でしょう。よく見ると馬の背のあたりにも展望所があるし、もっと奥には長い階段と高台(富士見の丘)があるではないか。よし行ってみよう。
馬の背から海を望む。サンセットというにはまだ早いし、夕刻になったとしても雲が邪魔かもね。すっきり晴れていれば相当すばらしい夕日を拝めるであろうことは想像に難くない。
もともと黄色い地肌に夕日が当たると地名通りの黄金色に輝くんだろう。なるほどね。とすれば馬ロックは見事な栗毛になっちゃうんじゃないかな。いや栃栗毛か。
富士見の丘で富士山見えず
それから頑張って階段を上り、富士見の丘へ到達した。しかし雲の多い天気で富士山は影も形も見えず。手ぶらでは帰れないからと、わざと陸地の方を撮影してみた。こちらはこちらで独特の味がある。以上で西伊豆観光は終了。この日だけでも晴れてくれてよかったですわ。雨だったら魅力半減のところばかりだったからね。って西伊豆だけにあてはまる話じゃないが。
多くの観光客の目が河津桜に集まる頃(正確にはもう見頃は終わっていたが)、あえて河津を避けて中伊豆と西伊豆にフォーカスした計画を立てたのは、ほぼ混雑知らずでスムーズにまわれたし、目の付け所が良かったと思う。自画自賛にて総括。
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