伊豆には滝の見どころがいっぱいある。代表的なのが半島中央部・天城峠を挟んで南北に位置する浄蓮の滝と河津七滝(ななだる)。春の伊豆グループ旅行の2日目にこれらの滝を見てまわった。傘が必要なあいにくの天候だったけど、まあまあどうにかなった。
あまりにもベタな観光地だから、正直なところあまり期待してなかった。どうせ俗っぽいところなんでしょうと斜に構えて臨んだら、もちろん人はそこそこ多かったけど、予想を裏切ってナイスな場所だった。
本記事は懐疑派から肯定派へ華麗に転身した男の、魂の記録である。
東京方面から浄蓮の滝を直接目指す場合も、新東名経由で月ヶ瀬ICというところまで高速道路で行けるから、かなり便利だ。
まだ午前の早い時間なのに浄蓮の滝駐車場はそこそこ埋まってた。団体の大型バスを含めて車が次々やって来るあたり、さすが定番スポットといえよう。駐車場前にはレストハウス兼お土産屋が整備されている。
浄蓮の滝といえば石川さゆりの名曲「天城越え」。おじさんの頭の中は早くもこの曲が無限ループを始めていた。うわあ止まらないよ。山が燃えちゃって燃えちゃって、どうしようもねーわ。
階段を下って下って5分くらいで観瀑スポットに到着。当然ながら写真撮影にいそしむ人が多い。なんといっても姿形に美しさというか華がある。
落差とか幅とか水の勢いでは語れない、人の目を惹きつける何かがあるね。落ちた水は修善寺方面へ北上して狩野川となる。その流れに沿ってちょっとだけ歩くと、わさび畑にぶつかった。
伊豆といえばわさび。こんな場所でも作っているとはね、と感心しながら駐車場へ戻る。しかし行きが下りってことは、帰りはひたすら上りなわけで、結構足にきた…。見学所要時間は30分弱。
さっそく7つの滝を見学しに行こう。メインの通りに植えられた木は河津桜か。もう見頃は終わって葉が出てしまっているけど、まだ何とかいけてる木もあった。
まず最初の滝は大滝(おおだる)。こいつだけ駐車場を挟んで他の滝と反対方向にある。天城荘という旅館の脇を抜けて観瀑台へ。
おお、なかなかの落差と迫力だ。しかしこれ以上滝壺へ近づくことはできない。滝壺付近には天城荘の露天風呂が作られており、入浴客しか立ち入れないのである。この露天風呂は滝見学客から丸見えのため、入浴する際は水着の着用を義務付けられている。水着レンタルあり。
浄蓮の滝とは反対に、落ちた水は河津川として南下していく。大滝は七滝のうちで最大落差かつ最も下流に位置する。
ここは2つの沢がY字状に合流する場所で、出合滝とは別の沢の方も滝っぽくなっていた。合流地点のあたりの道には「河津川起点」の標識が立っている。
お次はカニ滝。沢の流れが平坦で安定していて滝などなさそうな場所にひょっこり登場する。
規模はおそらく最も小さい。かわりにかなり近くまで寄ることができる。岩がカニの甲羅のように見えるでしょうか。
はい、初景滝に着きました。滝の前に伊豆の踊子関連と思われる銅像が設置されている。小説を読んだことがないため特別な感慨はなかったが、滝を背景にした姿はなかなかサマになっている。
滝そのものはこんな感じ。規模は中くらい。主要な筋が3つあるように見える。
七滝遊歩道の最初の看板に「まず平坦な道で行ける初景滝から見ましょう」的なことが書いてあった。たしかに大滝・出合滝・カニ滝は滝へ近づき、そして戻るために階段を上り下りする必要があるから、足腰の弱ったお年寄りなんかは早々に挫折してしまう可能性がある。まず初景滝を見に行って、余力と相談しながら他の滝を検討するのがよいだろう。
我々はひるむことなく奥へと進んだ。そうして次の蛇滝に到着。規模は小さめ。
蛇の由来は滝口へ上ってみた方がよくわかる。はい、蛇のウロコです。
蛇滝の先には緩やかに波打った、いささか変わった形状の吊り橋がある。河津踊子滝見橋というそうだ。わりと新しい感じ。
落ちる途中の水のしぶきの様子が、ちょっと節ができているようにも見えて、エビの尻尾といえなくもない。カニだのエビだの、甲殻類好きが命名したんだろうか。
エビ滝の地点からすでに最後の滝がちらちら見える。
かつては地獄谷と呼ばれていたとのこと。滝壺のあたりが地獄の釜ってことなのかな。釜滝には勢いを感じる。付近には観瀑台が整備されており、釜の底を覗き込むアングルでじっくり見学できる。また周囲には見事な柱状節理の岩が見える。
ふー、七滝コンプリートしたぜ。さらに先は下田街道へ連なる道が続くが、あまりにも果てしない上り階段を見たら心を折られた。まあ最初から釜滝で引き返す予定だったし。
時間や体力の都合で片道分の歩きだけでどうにかしたい場合は、水垂という停留所までバスで行き、釜滝から見学をスタートすると遊歩道をずっと下り基調のまま七滝をクリアしていける。
期待してないなんて言っちゃって、浄蓮さん・七滝さん、どうもすいませんでした。絶景としての実力を認めた後も脳内は石川さゆりがエンドレス。ループ橋どころじゃない天城越えのエンドレスループだ。きっとここへ来るたびこうなるんだろうな。もはや天城越えというより天城声ですわ。
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あまりにもベタな観光地だから、正直なところあまり期待してなかった。どうせ俗っぽいところなんでしょうと斜に構えて臨んだら、もちろん人はそこそこ多かったけど、予想を裏切ってナイスな場所だった。
本記事は懐疑派から肯定派へ華麗に転身した男の、魂の記録である。
天城越えの前に待つ名瀑・浄蓮の滝
多くの人が訪れる定番スポット
旅の2日目。船原温泉「山あいの宿うえだ」をチェックアウトした我ら一行の車は国道136号から414号(下田街道)に入った。浄蓮の滝までは20分ほどで着く。泊まった旅館がちょうどいい場所にあったね。東京方面から浄蓮の滝を直接目指す場合も、新東名経由で月ヶ瀬ICというところまで高速道路で行けるから、かなり便利だ。
まだ午前の早い時間なのに浄蓮の滝駐車場はそこそこ埋まってた。団体の大型バスを含めて車が次々やって来るあたり、さすが定番スポットといえよう。駐車場前にはレストハウス兼お土産屋が整備されている。
浄蓮の滝といえば石川さゆりの名曲「天城越え」。おじさんの頭の中は早くもこの曲が無限ループを始めていた。うわあ止まらないよ。山が燃えちゃって燃えちゃって、どうしようもねーわ。
予想を超えるビューティフルな滝
くらくら燃える火を鎮めるかのように降り注ぐ雨。傘をささずに頑張るのは無理なレベル。できれば温存したかった折り畳み傘を渋々開いて、滝へ続く下り基調の遊歩道を歩き出すと、まもなく遠くの方に滝の姿がちらっと見えだした。おっ、思ってたよりいい感じだぞ。階段を下って下って5分くらいで観瀑スポットに到着。当然ながら写真撮影にいそしむ人が多い。なんといっても姿形に美しさというか華がある。
落差とか幅とか水の勢いでは語れない、人の目を惹きつける何かがあるね。落ちた水は修善寺方面へ北上して狩野川となる。その流れに沿ってちょっとだけ歩くと、わさび畑にぶつかった。
伊豆といえばわさび。こんな場所でも作っているとはね、と感心しながら駐車場へ戻る。しかし行きが下りってことは、帰りはひたすら上りなわけで、結構足にきた…。見学所要時間は30分弱。
河津七滝(前半)…比較的歩きやすい初景滝まで
滝壺付近に露天風呂を持つ大滝
浄蓮の滝を出発して下田街道を20分ほど南下すると河津七滝に着く。途中で有名な河津七滝ループ橋を通るから、それも観光要素の一つになるだろう。滝見学で車を止めるなら七滝観光センター駐車場が広くて無料で場所的にも便利。さっそく7つの滝を見学しに行こう。メインの通りに植えられた木は河津桜か。もう見頃は終わって葉が出てしまっているけど、まだ何とかいけてる木もあった。
まず最初の滝は大滝(おおだる)。こいつだけ駐車場を挟んで他の滝と反対方向にある。天城荘という旅館の脇を抜けて観瀑台へ。
おお、なかなかの落差と迫力だ。しかしこれ以上滝壺へ近づくことはできない。滝壺付近には天城荘の露天風呂が作られており、入浴客しか立ち入れないのである。この露天風呂は滝見学客から丸見えのため、入浴する際は水着の着用を義務付けられている。水着レンタルあり。
浄蓮の滝とは反対に、落ちた水は河津川として南下していく。大滝は七滝のうちで最大落差かつ最も下流に位置する。
かわいい出合滝とカニ滝
残りの滝へは駐車場から上流側に向かう。お次は出合滝(であいだる)。規模は小さい。ここは2つの沢がY字状に合流する場所で、出合滝とは別の沢の方も滝っぽくなっていた。合流地点のあたりの道には「河津川起点」の標識が立っている。
お次はカニ滝。沢の流れが平坦で安定していて滝などなさそうな場所にひょっこり登場する。
規模はおそらく最も小さい。かわりにかなり近くまで寄ることができる。岩がカニの甲羅のように見えるでしょうか。
伊豆の踊子テイストの初景滝
お次の初景滝までは少し歩く。道の脇に並んでいたお店などは次第になくなって静かな雰囲気になってきた。雨の降り方もだんだんおとなしくなってきたようだ。傘がなくても我慢できなくはない。はい、初景滝に着きました。滝の前に伊豆の踊子関連と思われる銅像が設置されている。小説を読んだことがないため特別な感慨はなかったが、滝を背景にした姿はなかなかサマになっている。
滝そのものはこんな感じ。規模は中くらい。主要な筋が3つあるように見える。
七滝遊歩道の最初の看板に「まず平坦な道で行ける初景滝から見ましょう」的なことが書いてあった。たしかに大滝・出合滝・カニ滝は滝へ近づき、そして戻るために階段を上り下りする必要があるから、足腰の弱ったお年寄りなんかは早々に挫折してしまう可能性がある。まず初景滝を見に行って、余力と相談しながら他の滝を検討するのがよいだろう。
河津七滝(後半)…上り坂がきつくなる釜滝まで
蛇滝と蛇のように波打つ河津踊子滝見橋
足腰に弱点を抱える方々にとって、初景滝より奥は残念ながら諦めざるを得まい。きつめの上り階段が続くからである。上流へと遡るには、滝が現れるごとにその落差分だけ、階段などで高度を稼いでいかなければならないのだ。先の初景滝より上流側はその試練が露骨に立ちはだかる。我々はひるむことなく奥へと進んだ。そうして次の蛇滝に到着。規模は小さめ。
蛇の由来は滝口へ上ってみた方がよくわかる。はい、蛇のウロコです。
蛇滝の先には緩やかに波打った、いささか変わった形状の吊り橋がある。河津踊子滝見橋というそうだ。わりと新しい感じ。
カニ・ヘビとくればエビ滝
お次はエビ滝。沢をまたぐように吊り橋が架かっており、吊り橋の上から滝の正面を捉えることができる。下の写真の手前に見えるやつがエビ滝。落ちる途中の水のしぶきの様子が、ちょっと節ができているようにも見えて、エビの尻尾といえなくもない。カニだのエビだの、甲殻類好きが命名したんだろうか。
エビ滝の地点からすでに最後の滝がちらちら見える。
最後は地獄谷の釜滝
いよいよ最後の釜滝。落差は大滝に次いで大きい。かつては地獄谷と呼ばれていたとのこと。滝壺のあたりが地獄の釜ってことなのかな。釜滝には勢いを感じる。付近には観瀑台が整備されており、釜の底を覗き込むアングルでじっくり見学できる。また周囲には見事な柱状節理の岩が見える。
ふー、七滝コンプリートしたぜ。さらに先は下田街道へ連なる道が続くが、あまりにも果てしない上り階段を見たら心を折られた。まあ最初から釜滝で引き返す予定だったし。
所要時間は1時間じゃちときついかも
観光センターの駐車場を出発して大滝を見つつ釜滝まで往復すると、急いでも1時間といったところ。写真を撮ったり各滝をじっくり見学するには1時間半は欲しい。時間や体力の都合で片道分の歩きだけでどうにかしたい場合は、水垂という停留所までバスで行き、釜滝から見学をスタートすると遊歩道をずっと下り基調のまま七滝をクリアしていける。
期待してないなんて言っちゃって、浄蓮さん・七滝さん、どうもすいませんでした。絶景としての実力を認めた後も脳内は石川さゆりがエンドレス。ループ橋どころじゃない天城越えのエンドレスループだ。きっとここへ来るたびこうなるんだろうな。もはや天城越えというより天城声ですわ。
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