春が来た。河津桜は終わったがソメイヨシノにはまだまだ早い、そんな頃に行われた伊豆へのグループ旅行。アクセスの良さがかえって災いして、いつでも行けるからいいやと敬遠されがちなポジションの伊豆。久しぶりだ。
旅の1湯目は伊豆の国市にある日帰り施設「源泉 駒の湯荘」。ぬるい温泉が好きな我ら一行にぴったりの、ぬる湯の名湯である。
いやー、大変に気持ちの良い温度ですぐ眠りに誘われる。最も温度が低いと思われる露天風呂の一番奥の浴槽に入れなかったのは残念だけど、十分にぬる湯を堪能した。
我々は道中が順調すぎて開店前に着いてしまいそうだったため、道の駅・伊豆ゲートウェイ函南に立ち寄ってから現地へ向かった。この道の駅はスマートな雰囲気を持っており、隣にはわさび工場や明太子工場(かねふくめんたいパーク)もあって、なかなか興味深い。
駒の湯荘に至る最後の1キロほどは、対向車がいるとちょっとしんどい細道となり、最後の最後の数百メートルは市街地の道ではなく山道といってよい。
ちなみに、当館は自分が以前お世話になった畑毛温泉・大仙家(ここのぬる湯も大変すばらしい)から1.5キロくらいしか離れていない。このあたりは貴重なぬる湯天国なのだ。
いくつもの部屋がありそうに見える2階建ての建物は、もともと旅館だった頃の名残だろう。当時の名前は「駒の湯 源泉荘」。…ん? 日帰り専門としてリニューアルされた現在が「源泉 駒の湯荘」だから…カレーライスとライスカレーみたいなもんか。
さてさて、中の自販機で入場券を購入。券は3種類あって、1時間450円・3時間700円・1日1000円。あと19時以降400円ってのもある。せっかくのぬるい温泉なんで、じっくり長湯を楽しみたい我々は、3時間券を買った。
フロントのそばに無料の貴重品ロッカーあり。元客室っぽい部屋が並ぶ廊下を抜けて、まずは休憩室、続いて露天風呂への扉、一番奥の行き止まりに内湯への扉があった。
浴室に入るとモワッと温泉の匂い。さっそく源泉かけ流しをアピールしてきたか。いいぞいいぞ。カランは5つで最初のうちはガラ空きだった。
弧を描くような湾曲状に5つのタイル張り浴槽が並んでいる。両端の2つが4名くらい入れるサイズで温度は内湯の中で一番低い。体温と同じくらいの不感温度じゃないかと思う。個人的にはもうここ専門でいい。
まず最奥のやつに入ってみた。おー、ぬるくて気持ちいい。お湯の見た目は無色透明。匂いは最初にモワッと感じた、なんと呼ぶのかわからんが温泉特有のアレがはっきりと主張してくる。
この湯船だけ、穏やかなジャグジーというか、控えめな感じでボコボコと泡を立たせる仕掛けがあった。大変結構なぬる湯だから、30分でも1時間でも粘ることはできたけど、どうにも露天風呂が気になってしまい、10分くらい浸かっていったん切り上げた。
張り紙によれば一番奥が最もぬるいように思われたので大変に期待したのだが、なんと、お湯を張っていないではないか。えー残念。後日、駒の湯荘のホームページを確認すると、12月から3月は休止にするそうだ。なんてこったい。
仕方なく「本日の薬湯」に浸かった。この日は桜湯だった。桜の主張は強すぎることなく源泉の個性を十分に残してあって結構なり。温度はぬるめの適温といったところで不感温度よりは上。でも休憩なしでずっと浸かっていられる。ずいぶんと粘ったと思う。
露天エリアは周囲を木々に囲まれており、もし晴れていれば清々しい森林浴っぽい気分も味わえて最高だったかもしれない。まあ、極上のぬる湯っていうだけで十分ですがね。
幸せなひとときを過ごし、入館から70分を経過した頃に、いったんランチ休憩を取ることにして露天風呂を後にした。すでに肌はすべすべ。
先に書いた休憩室とは別に、食事のできる休憩スペースがあった。座卓の区画とテーブルの区画がある。我々はテーブル席へ。
注文したメニューができると呼び出しがかかる。待ちに待った山菜そばがこれ。正直普通な感じではあったけど、おいしくいただきました。
先客と我らを合わせてすでに4名が浸かっているので湯船は満員御礼状態。皆じっとして動かず、まるでお湯の中で瞑想しているかのようだ。自分も目を閉じていたら、浮遊感と満腹感の効果ですぐ眠りに落ちた。
ウトウトする→頭がカクっと垂れる→口や鼻が湯に接触する→はっと目が覚める→いかんいかん→しかしおそろしく気持ち良い→ウトウト…の極楽ループであっという間に30分が過ぎた。
源泉駒の湯荘は、内湯と露天風呂の各々はそれほど大きくなくても、あれだけ浴槽数があればトータルでかなりの収容力になる。提供温度もバラエティに富んでいるから、各自の好みに応じて適度にバラけてくれて、特定の浴槽に客が集中することもない。
ネットの評判が上々だから行ってみたけど、たしかにいい温泉だった。とくにあの極楽ループはやみつきになるね。こいつは脱帽だ。
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旅の1湯目は伊豆の国市にある日帰り施設「源泉 駒の湯荘」。ぬるい温泉が好きな我ら一行にぴったりの、ぬる湯の名湯である。
いやー、大変に気持ちの良い温度ですぐ眠りに誘われる。最も温度が低いと思われる露天風呂の一番奥の浴槽に入れなかったのは残念だけど、十分にぬる湯を堪能した。
源泉駒の湯荘へのアクセス
東京方面から源泉駒の湯荘へ車で行くなら新東名が便利。長泉沼津ICで伊豆縦貫道に入り、大場・函南ICで下りるルートなら、大半をいわゆる高速道路だけでカバーできてしまう。あとは一般道を5~6キロ進むだけ。我々は道中が順調すぎて開店前に着いてしまいそうだったため、道の駅・伊豆ゲートウェイ函南に立ち寄ってから現地へ向かった。この道の駅はスマートな雰囲気を持っており、隣にはわさび工場や明太子工場(かねふくめんたいパーク)もあって、なかなか興味深い。
駒の湯荘に至る最後の1キロほどは、対向車がいるとちょっとしんどい細道となり、最後の最後の数百メートルは市街地の道ではなく山道といってよい。
ちなみに、当館は自分が以前お世話になった畑毛温泉・大仙家(ここのぬる湯も大変すばらしい)から1.5キロくらいしか離れていない。このあたりは貴重なぬる湯天国なのだ。
前半戦:露天風呂を中心に源泉を味わう
日帰り温泉として生まれ変わった施設
そぼ降る雨の中を駒の湯荘の前に立つ。いくつもの部屋がありそうに見える2階建ての建物は、もともと旅館だった頃の名残だろう。当時の名前は「駒の湯 源泉荘」。…ん? 日帰り専門としてリニューアルされた現在が「源泉 駒の湯荘」だから…カレーライスとライスカレーみたいなもんか。
さてさて、中の自販機で入場券を購入。券は3種類あって、1時間450円・3時間700円・1日1000円。あと19時以降400円ってのもある。せっかくのぬるい温泉なんで、じっくり長湯を楽しみたい我々は、3時間券を買った。
フロントのそばに無料の貴重品ロッカーあり。元客室っぽい部屋が並ぶ廊下を抜けて、まずは休憩室、続いて露天風呂への扉、一番奥の行き止まりに内湯への扉があった。
5つの浴槽からなる内湯
手始めに内湯へゴー。脱衣所に掲示された分析書には「アルカリ性単純温泉、低張性、アルカリ性、温泉」とあった。露天風呂へ行かれる方は服を着て・裸で行かないように、との注意書きが目を引く。よい子はやっちゃだめよ。浴室に入るとモワッと温泉の匂い。さっそく源泉かけ流しをアピールしてきたか。いいぞいいぞ。カランは5つで最初のうちはガラ空きだった。
弧を描くような湾曲状に5つのタイル張り浴槽が並んでいる。両端の2つが4名くらい入れるサイズで温度は内湯の中で一番低い。体温と同じくらいの不感温度じゃないかと思う。個人的にはもうここ専門でいい。
大変結構なぬるいお湯
端から一段内側にあたる2つの浴槽は3名サイズ。温度はもうちょっと高めになる。真ん中にあたる浴槽が2名サイズで一番小さく、温度は一番高い。まず最奥のやつに入ってみた。おー、ぬるくて気持ちいい。お湯の見た目は無色透明。匂いは最初にモワッと感じた、なんと呼ぶのかわからんが温泉特有のアレがはっきりと主張してくる。
この湯船だけ、穏やかなジャグジーというか、控えめな感じでボコボコと泡を立たせる仕掛けがあった。大変結構なぬる湯だから、30分でも1時間でも粘ることはできたけど、どうにも露天風呂が気になってしまい、10分くらい浸かっていったん切り上げた。
気になる露天風呂へ突撃
服を着て廊下を経由して露天風呂へ。こちらには4つの浴槽がある。一番手前に2名規模のあつ湯、すぐ隣にもうちょっと大きなサイズのぬる湯、それらからあふれたお湯が伝い流れる階段を下った先にある薬湯。一番奥に打たせ湯を兼ねた浴槽。張り紙によれば一番奥が最もぬるいように思われたので大変に期待したのだが、なんと、お湯を張っていないではないか。えー残念。後日、駒の湯荘のホームページを確認すると、12月から3月は休止にするそうだ。なんてこったい。
仕方なく「本日の薬湯」に浸かった。この日は桜湯だった。桜の主張は強すぎることなく源泉の個性を十分に残してあって結構なり。温度はぬるめの適温といったところで不感温度よりは上。でも休憩なしでずっと浸かっていられる。ずいぶんと粘ったと思う。
緑に囲まれた極上ぬる湯
やがて他のお客さんがドヤドヤっと桜湯へやって来たので場所を譲り、ぬる湯槽へ移動した。ここの不感温度は我らにとって願ったり叶ったり。雨にも負けずに居座り続けた。露天エリアは周囲を木々に囲まれており、もし晴れていれば清々しい森林浴っぽい気分も味わえて最高だったかもしれない。まあ、極上のぬる湯っていうだけで十分ですがね。
幸せなひとときを過ごし、入館から70分を経過した頃に、いったんランチ休憩を取ることにして露天風呂を後にした。すでに肌はすべすべ。
後半戦:瞑想と夢見心地の中で
いったん昼食休憩
食事の注文はフロントで。自分は山菜きのこそばにした。こういうところに来ると、なぜか山菜そばを選んでしまうのは、前世が山菜だったのかね。他にはカレー・親子丼・牛カルビ丼など。先に書いた休憩室とは別に、食事のできる休憩スペースがあった。座卓の区画とテーブルの区画がある。我々はテーブル席へ。
注文したメニューができると呼び出しがかかる。待ちに待った山菜そばがこれ。正直普通な感じではあったけど、おいしくいただきました。
あまりに気持ち良い極楽ループ
45分ほどの休憩を挟んで再び内湯へ行った。今度は一番手前のぬる湯槽で粘る作戦だ。ここはジャグジー的な仕掛けもなく完全にぬるい源泉のみで勝負している。その意気や良し。まさに狙いすましたかのような体温に等しい温度のおかげで、お湯の存在をまったく感じさせない。あるのはふわふわした浮遊感だけ。先客と我らを合わせてすでに4名が浸かっているので湯船は満員御礼状態。皆じっとして動かず、まるでお湯の中で瞑想しているかのようだ。自分も目を閉じていたら、浮遊感と満腹感の効果ですぐ眠りに落ちた。
ウトウトする→頭がカクっと垂れる→口や鼻が湯に接触する→はっと目が覚める→いかんいかん→しかしおそろしく気持ち良い→ウトウト…の極楽ループであっという間に30分が過ぎた。
長湯を楽しむ条件が揃った名湯
もう永遠にこのままでいたいくらい。しかし次の予定がある。名残り惜しいが休憩込みで2時間半の入浴体験を終えた。なお、浸かってみたどの浴槽でも、すぐに指先がしわしわになった。そして入浴後の肌のすべすべ感が半端ない。単純温泉といえども侮れない。源泉駒の湯荘は、内湯と露天風呂の各々はそれほど大きくなくても、あれだけ浴槽数があればトータルでかなりの収容力になる。提供温度もバラエティに富んでいるから、各自の好みに応じて適度にバラけてくれて、特定の浴槽に客が集中することもない。
ネットの評判が上々だから行ってみたけど、たしかにいい温泉だった。とくにあの極楽ループはやみつきになるね。こいつは脱帽だ。
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