2018年の暮れも暮れ、前回の関西遠征をもって「今年の温泉めぐりは打ち止め」と思わせてからの最後っ屁をかましたのである。何があったってわけじゃないが、どういうわけか、やぶれかぶれな気分になっていた。こうなりゃ、いっちょ真のラスト一人旅を打ち上げてやるぜ。やけのやんぱち日焼けのなすび。
しかし予算的に遠方やお高めの宿は無理。各駅停車でも耐えられる距離で温泉付きビジネスホテルが充実している甲府へ行くことにした。
道中は観光もせずひたすら温泉めぐり。1泊2日で計5箇所という、自分としてはハードな計画を立てた。その1湯目が甲斐市にある日帰り温泉施設「湯めみの丘」。口コミ評価が高かったので選んだのだが、たしかに泡付きのする優れたお湯であった。スケジュールの都合さえなければ相当長く滞在しただろう。
下りホームの改札を出たら、いったんアンダーパスを通って反対側の北口へ。当時は駅前ロータリーの造成工事中だったな。そこから先は説明不能。スマホの地図アプリを頼ってとしか言いようがない。線路から離れすぎないようにしつつ甲府方面へ戻る感じ。
最短コースは住宅地の細い道を行くから、道なりとはいえ、ナビがないと危ないですよ。序盤のきつい急坂を登りきって振り返ると、雪を頂いた南アルプス峰(たぶん)が見えた。
終盤は要注意。大きな平屋建ての自治会館を左手に見るように、反時計回りにアプローチするのが正統派。逆まわりだと未舗装の土の道になり、最後は墓地を突っ切って行く羽目になる。たどり着くことは可能だが。
道を知っていて早足で歩いても塩崎駅から15分かかる。初訪問の際は時間にかなり余裕をみて行かれることをおすすめする。
晴れていれば駐車場や入口付近から富士山がきれいに見える。鉄塔がちょっと邪魔ですが。
自販機で700円の券を買い入館。男湯女湯へは階段を上がっていくが、その手前に貴重品ボックスと並んで分析書が掲示されていた。位置が高くて読み取りにくいのを頑張って字を追うと「ナトリウム-塩化物泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」とあった。
脱衣所には鍵付きロッカーあり。幅広で背の低いやつと幅狭で背の高いのがあるからお好みでどうぞ。「虫が入るから開放禁止」の張り紙のあるガラス戸の向こうはベランダみたい。タバコを吸えるかは不明。
開店からまだ間もないというのに、すでにそこそこの人数がいた。11名分ある洗い場は常時4,5名がいるような印象。混雑とまでは言わぬが時間帯を考慮すればなかなかの盛況ぶりには違いない。
カランのお湯がちょっとヌルヌルする。もしかしたら温泉? だとしたら贅沢ですな。湯量が相当豊富なんだろうね。その考察を裏付けるように、湯船も大きめに、たくさん用意されている。しかも源泉かけ流しときた。
サウナと水風呂はスキップして、まず手前が5名規模の高温風呂。熱めとはいえ適温の範疇だ。無色透明の湯の中に細かい泡が大量に漂っており、体毛や皮膚にたくさん付着する。実際のところ、自分が試した中で泡付き最強なのが高温風呂だった。温度が高いと泡が抜けちゃうというけど、ここはなぜか高温風呂が泡マックス。
泡付きは好きなので余計にこのクオリティにはおそれいった。泡狙いとあつ湯好きが殺到するんじゃないかと思うけど、必ずしもそんなことはなく、4名くらいが集中するときもあれば、全く誰もいないときもある、変動の大きい湯船。
広さからして露天風呂と並ぶ湯めみの丘のメインコンテンツといえる。奥まった部分が仕切りと傾斜によって4名分の寝湯コーナーにもなっている。また一部は泡が噴き出すジャグジーになっている。中温風呂には常時3~4名がいる感じだった。
高温風呂ほどの泡付きはなくても、入りやすい温度だし広いし、こちらもなかなかのものだ。
その隣が気泡風呂。なんかジャグジーの泡がボコボコしてた。高温風呂へ行けば天然の泡付きを楽しめるので、人工の泡はまあいいかと思ってここはスキップした。調べたら38度のぬる湯だったみたいね。しまった。ぬる湯好きならどうぞ。
その隣が2名規模、でも実際は遠慮が入って1名専用の超高温風呂。湯めみの丘の公式サイトによれば46度だそうな。ちょっとだけ試して「うん、熱い」と認識して出た。湯口にコップが置いてあり、飲泉できる。少量飲んでみたらエグみ苦味はない。
6~7名規模の岩風呂の見た目は内湯と同じ無色透明の源泉がかけ流し。客数は常時3名ってところ。こちらは塩化物泉らしい潮っぽい匂いがふわっとした。入ってみて「おおっ?!」と喜んだのは、体温前後の不感温度だったこと。おじさんの超ストライクゾーンだからね。
熱くもなく冷たくもなく、お湯の存在すら忘れるような浮遊感覚。真冬でもその快感は変わらない。文字通りいつまでも浸かっていられる。この温度帯の温泉に行くといつも1時間は粘るんだけど、今回はスケジュールの都合により露天風呂には15分くらいしかいられなかった。残念。
なお、露天風呂は塀に囲まれているが、中腰になると富士山がくっきり見える。また、山梨の温泉施設へ行くとなぜかよくお目にかかるO短大T名誉教授による解説文の看板が立っていた。「フォッサマグナ」「ガイア」「地球の体液が~」ていうアレ。
後ろ髪を引かれつつ露天風呂を出た後、中温風呂で総合力を確認し、高温風呂で泡付きにニンマリして終了。いやー、総合的なクオリティはかなりのもんですな。あつ湯好きもぬる湯好きも満足できる多彩な温度の浴槽を備え、露天風呂もあるし、高温風呂を筆頭にどこも水準以上の泡付き。当然のごとく源泉かけ流し。いやはやおそろしい。
食事する時間があるなら、あのぬるい露天風呂への入浴に全力投球すべきだったか?…いやしかし、空きっ腹で長時間入浴するのもよろしくないしな。水分も補給しなきゃならんし。この後もう1箇所に立ち寄り入浴することも考えて、リスク回避的態度になっていたのである。もういい歳だしね。
だがもし前後もろもろの事情がなければ、湯めみの丘にもっと長く滞在していただろう。露天風呂には1時間いたかもしれない。
近年の日帰り温泉施設といえば、設備は新しく整っていても、お湯は加水・加温・循環・塩素消毒のフル装備が当たり前、っていうイメージだけど、ここはそのイメージを覆す、非常に価値ある温泉だった。おみそれしました。
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しかし予算的に遠方やお高めの宿は無理。各駅停車でも耐えられる距離で温泉付きビジネスホテルが充実している甲府へ行くことにした。
道中は観光もせずひたすら温泉めぐり。1泊2日で計5箇所という、自分としてはハードな計画を立てた。その1湯目が甲斐市にある日帰り温泉施設「湯めみの丘」。口コミ評価が高かったので選んだのだが、たしかに泡付きのする優れたお湯であった。スケジュールの都合さえなければ相当長く滞在しただろう。
湯めみの丘へのアクセス
塩崎駅から急坂を登る
湯めみの丘の最寄り駅はJR中央本線・塩崎。甲府から下り方向へ2駅先である。特急に乗る予算はなかったので、高尾を7時台に出る各駅停車でえっちらおっちら向かった。車中では本を読んだり居眠りしようかと思っていたけど、なんとなく窓の外を流れる景色を眺めていたら着いちゃった。高尾から2時間20分。下りホームの改札を出たら、いったんアンダーパスを通って反対側の北口へ。当時は駅前ロータリーの造成工事中だったな。そこから先は説明不能。スマホの地図アプリを頼ってとしか言いようがない。線路から離れすぎないようにしつつ甲府方面へ戻る感じ。
最短コースは住宅地の細い道を行くから、道なりとはいえ、ナビがないと危ないですよ。序盤のきつい急坂を登りきって振り返ると、雪を頂いた南アルプス峰(たぶん)が見えた。
双葉JCTが案外近い
中盤では中部横断自動車道をくぐる。ここは中央道と交差する双葉JCTが近い。遠方から車で行くなら双葉スマートICが最寄りとなるだろうか。終盤は要注意。大きな平屋建ての自治会館を左手に見るように、反時計回りにアプローチするのが正統派。逆まわりだと未舗装の土の道になり、最後は墓地を突っ切って行く羽目になる。たどり着くことは可能だが。
道を知っていて早足で歩いても塩崎駅から15分かかる。初訪問の際は時間にかなり余裕をみて行かれることをおすすめする。
まさしく夢見心地で浸かる温泉
富士山がよく見える入口
湯めみの丘の建物はすぐそばに近づくまで、隣りにあるエンジニアリング工業の社屋と一体化しているようにも見え、中でつながっているのか?!と思ってしまったが、もちろんそんなことはない(はず)。晴れていれば駐車場や入口付近から富士山がきれいに見える。鉄塔がちょっと邪魔ですが。
自販機で700円の券を買い入館。男湯女湯へは階段を上がっていくが、その手前に貴重品ボックスと並んで分析書が掲示されていた。位置が高くて読み取りにくいのを頑張って字を追うと「ナトリウム-塩化物泉、低張性、弱アルカリ性、高温泉」とあった。
脱衣所には鍵付きロッカーあり。幅広で背の低いやつと幅狭で背の高いのがあるからお好みでどうぞ。「虫が入るから開放禁止」の張り紙のあるガラス戸の向こうはベランダみたい。タバコを吸えるかは不明。
泡付き最強の高温風呂
浴室に入るなりタマゴ臭がふわっと鼻に入ってきた。その感覚はすぐに消えてしまったけど、しっかりした温泉の匂いだったのは間違いない。いきなりキレのあるパンチを食らってしまったぜ。開店からまだ間もないというのに、すでにそこそこの人数がいた。11名分ある洗い場は常時4,5名がいるような印象。混雑とまでは言わぬが時間帯を考慮すればなかなかの盛況ぶりには違いない。
カランのお湯がちょっとヌルヌルする。もしかしたら温泉? だとしたら贅沢ですな。湯量が相当豊富なんだろうね。その考察を裏付けるように、湯船も大きめに、たくさん用意されている。しかも源泉かけ流しときた。
サウナと水風呂はスキップして、まず手前が5名規模の高温風呂。熱めとはいえ適温の範疇だ。無色透明の湯の中に細かい泡が大量に漂っており、体毛や皮膚にたくさん付着する。実際のところ、自分が試した中で泡付き最強なのが高温風呂だった。温度が高いと泡が抜けちゃうというけど、ここはなぜか高温風呂が泡マックス。
泡付きは好きなので余計にこのクオリティにはおそれいった。泡狙いとあつ湯好きが殺到するんじゃないかと思うけど、必ずしもそんなことはなく、4名くらいが集中するときもあれば、全く誰もいないときもある、変動の大きい湯船。
内湯のメインは中温風呂
その隣に10名以上いける中温風呂。入湯の一発目がここだと「中温ていうか、いつまででも浸かっていられる『ぬる湯』じゃん」と思う温度。でも後述の露天風呂の後に入ると熱めに感じる。広さからして露天風呂と並ぶ湯めみの丘のメインコンテンツといえる。奥まった部分が仕切りと傾斜によって4名分の寝湯コーナーにもなっている。また一部は泡が噴き出すジャグジーになっている。中温風呂には常時3~4名がいる感じだった。
高温風呂ほどの泡付きはなくても、入りやすい温度だし広いし、こちらもなかなかのものだ。
その隣が気泡風呂。なんかジャグジーの泡がボコボコしてた。高温風呂へ行けば天然の泡付きを楽しめるので、人工の泡はまあいいかと思ってここはスキップした。調べたら38度のぬる湯だったみたいね。しまった。ぬる湯好きならどうぞ。
その隣が2名規模、でも実際は遠慮が入って1名専用の超高温風呂。湯めみの丘の公式サイトによれば46度だそうな。ちょっとだけ試して「うん、熱い」と認識して出た。湯口にコップが置いてあり、飲泉できる。少量飲んでみたらエグみ苦味はない。
ぬる湯がサイコーな露天風呂
浴室の一番奥に階段があって、上がると5名分の洗い場。混んでるときはここが狙い目かも。そして扉の向こうが露天風呂。この露天風呂が第2のメインコンテンツだ。6~7名規模の岩風呂の見た目は内湯と同じ無色透明の源泉がかけ流し。客数は常時3名ってところ。こちらは塩化物泉らしい潮っぽい匂いがふわっとした。入ってみて「おおっ?!」と喜んだのは、体温前後の不感温度だったこと。おじさんの超ストライクゾーンだからね。
熱くもなく冷たくもなく、お湯の存在すら忘れるような浮遊感覚。真冬でもその快感は変わらない。文字通りいつまでも浸かっていられる。この温度帯の温泉に行くといつも1時間は粘るんだけど、今回はスケジュールの都合により露天風呂には15分くらいしかいられなかった。残念。
なお、露天風呂は塀に囲まれているが、中腰になると富士山がくっきり見える。また、山梨の温泉施設へ行くとなぜかよくお目にかかるO短大T名誉教授による解説文の看板が立っていた。「フォッサマグナ」「ガイア」「地球の体液が~」ていうアレ。
後ろ髪を引かれつつ露天風呂を出た後、中温風呂で総合力を確認し、高温風呂で泡付きにニンマリして終了。いやー、総合的なクオリティはかなりのもんですな。あつ湯好きもぬる湯好きも満足できる多彩な温度の浴槽を備え、露天風呂もあるし、高温風呂を筆頭にどこも水準以上の泡付き。当然のごとく源泉かけ流し。いやはやおそろしい。
飲食可能な休憩所もあり
湯めみの丘には十分な広さの休憩所があり、飲食もできる。ちょうどお昼時だったので山菜そばをオーダーしてみた。正直特筆すべきものではない普通の軽食そばだったが、一応こういうの。食事する時間があるなら、あのぬるい露天風呂への入浴に全力投球すべきだったか?…いやしかし、空きっ腹で長時間入浴するのもよろしくないしな。水分も補給しなきゃならんし。この後もう1箇所に立ち寄り入浴することも考えて、リスク回避的態度になっていたのである。もういい歳だしね。
だがもし前後もろもろの事情がなければ、湯めみの丘にもっと長く滞在していただろう。露天風呂には1時間いたかもしれない。
近年の日帰り温泉施設といえば、設備は新しく整っていても、お湯は加水・加温・循環・塩素消毒のフル装備が当たり前、っていうイメージだけど、ここはそのイメージを覆す、非常に価値ある温泉だった。おみそれしました。
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