夏から秋へと季節は移り、暦の上では激混みでも文句は言えない休日に、一人で岐阜遠征を試みた。温泉宿に2泊して早くも最終日。ちょっとした気まぐれで三重県の湯の山温泉まで足を伸ばすことにした。もはや岐阜関係ない。
御在所岳を見学した後で立ち寄ったのが湯の山温泉「湯元 グリーンホテル」。ネットで調べると、お湯がいいとなかなかの好評価だったので、行くならここだと当たりを付けていたのだ。
当ホテルは湯の山温泉街から3キロも離れているにもかかわらず、たくさんのお客さんが来ていた。2種類の源泉による黄緑色のお湯は激熱からぬるめまで、客の好みを幅広くカバー。万人向けのチューニングだからみんな来ちゃうよね。
前泊地の養老温泉・ホテルなでしこを出発し、美濃高田駅から養老鉄道に乗って終点の桑名へ出る。桑名近辺には長島温泉という有名どころがあるけど、今回は涙を飲んでスルー。
桑名から近鉄に乗り換えて四日市へ、そこでまた乗り換えた支線の終点が湯の山温泉駅だ。美濃高田から2時間近く。思いつきの寄り道というにはいささか遠すぎた。
周辺は湯の山温泉街ではなく、企業の研修・保養施設が集まるエリアで、新湯の山温泉とも称するようだ。
グリーンホテルの駐車場はやたらとたくさんある。少なくとも第5まであるのは確認した。これらが満車になって全員が大浴場へ詰めかけたら大変なことになるぞ。
脱衣所に2種類の源泉に関する説明板が掲げてあり、3号泉(アルカリ性単純温泉)と4号泉(弱アルカリ性単純温泉、低張性、低温泉)があった。ロッカーは100円入れて後で戻ってくるやつと100円いらずのとが混じっている。
自動ドアの向こうが浴室。休日だからにしてもなかなかの盛況ぶり。洗い場は16名分あるから空きがなくて困ることはない。全体に古さはなく、きれいで快適に利用できる。
まず「源泉風呂」の札が目についた3号泉の内湯にトライ。2名で一杯になる小さな岩風呂で、透明な湯がかけ流しにされていた。泉質面ではこいつが一番期待できるってことだろうか。
期待とともにいざ入湯…ぐあああちい。激熱の部類だ。いくら源泉風呂でもぬる湯党には厳しい熱さ。1分も耐えられなかった。まあ一応は源泉を体験した。ここはこんなものでいいだろう。
ややぬるめのお湯は気持ちいい。40℃とみた。はっきり湯の花とは断言できぬが、小さい粒状のものが漂っているようにも見える。折悪しく鼻が変調をきたしてグズグズいい出していたために匂いの特徴は感知できなかった。
泡付き・ヌルヌル感も特になし。でもとにかく総合的な感触は良い。ゆっくりと浸かってみたい湯船であった。なお、一部では、ぼこぼこと泡が噴き出してジャグジー風になっている。
2つある露天風呂のうち奥の方から試すことにした。奥にあったのは3号泉の広い広い岩風呂。30名は余裕でいける。開放的な露天風呂のイメージそのまんまの中に見える人間はわずかに2~3名。こりゃ結構なり。
お湯は黄色味を含まないクリアな薄緑色。先の4号泉内湯とは少し違った印象を与える。では入ろう…あちい。うーむ、内湯の激熱源泉風呂に比べればずっとましだが、適温よりやや熱めは自分の好みのレンジ外。
長湯はせず、岩に腰掛けたり湯に戻ったりしながらしばらく過ごして終了。熱めがOKな人には、露天風呂らしい露天風呂で人口密度も低めだし、満足度は高いんじゃないかな。
ここは露天版の源泉風呂。クリアな黄緑色のお湯がかけ流しにされていた。内湯版源泉風呂と比べると常識的な適温といえる。41℃とみた。お湯が無色でなく色づいているのも、もしかしたら適温に冷ます間に熟成が進んだためかもしれない。
見た目といい感触といい、自分のセンスだと内湯の4号泉と同じように感じられ、はっきりした違いはわからなかった。でも露天+源泉とくればいやでも人気を集める。人口密度は今回の中では最も高くて、割り込んでいくのがためらわれる局面もあった。
客の年齢層は若手からシニアまでいろいろ。同世代の数名がつるんで来ているパターンが多い。ファミリーは全然いなかった。
グリーンホテルの場所的に、字面通りの湯の山温泉を体験したと言えるのか微妙なところではあるし、寅さんの足跡をたずねて来たはずじゃなかったのかとか、いろいろ思うところはあるけど、細けえことはいいんだよ。
湯の山温泉駅周辺にはアクアイグニスというお洒落っぽい温泉と食の複合施設がある。いかにも人気を集めていそうな競合を相手に、グリーンホテルもなかなかの健闘を見せているようだった。やはりここのお湯のファンがついているんだと思う。
バスが終点直前に通る「かもしか大橋」は絶景要素もある新しい橋だった。終点に着くとすぐ目の前がロープウェイ乗り場。そこそこ長い行列ができていたけど8人乗りゴンドラが次々来るから待ち時間は10分程度ですんだ。
これほど高度のある空中散歩は記憶にない。急峻な山は岩が突き出した独特な形をしており、岩の上を這う豆粒のように小さな登山者の姿が見えたりして面白い。
ロープウェイの終点・山上公園駅のまわりは芝生の丘状になっていてファミリーの遊び場になっていた。展望台から北アルプスや富士山が見えることがあるとのこと。この日は曇って何も見えず。
ここからさらにリフトに乗って「本当の山頂」まで行ける(下の写真は帰りのリフト乗り場からロープウェイ駅方向を撮ったもの)。
岩の向こうは断崖絶壁で足元を支える地面がないように見えるし、岩そのものが不安定に積み上がっただけの存在に見える。でも岩の上で仁王立ちしている人とかいるんですけど…。自分もへっぴり腰で近くへ行ってみたら、うん、やばいっす。山の東尋坊と呼びたい。
ロープウェイとリフトで往復3000円は痛い出費だったが、記憶に残る恐怖の岩場の見物&体験料だと思うことにしよう。
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御在所岳を見学した後で立ち寄ったのが湯の山温泉「湯元 グリーンホテル」。ネットで調べると、お湯がいいとなかなかの好評価だったので、行くならここだと当たりを付けていたのだ。
当ホテルは湯の山温泉街から3キロも離れているにもかかわらず、たくさんのお客さんが来ていた。2種類の源泉による黄緑色のお湯は激熱からぬるめまで、客の好みを幅広くカバー。万人向けのチューニングだからみんな来ちゃうよね。
湯の山温泉・グリーンホテルへのアクセス
寅さんも訪れた湯の山温泉
岐阜遠征のはずが最後は三重。だってしょうがないのである。「男はつらいよ フーテンの寅」(シリーズ第3作)の舞台となったのが湯の山温泉なんでね。寅さんのロケ地巡りを趣味とするわけじゃないが、いつか行ったるでとは思っていた。岐阜まで来たら三重は隣。これはもう行くしかないでしょう。前泊地の養老温泉・ホテルなでしこを出発し、美濃高田駅から養老鉄道に乗って終点の桑名へ出る。桑名近辺には長島温泉という有名どころがあるけど、今回は涙を飲んでスルー。
桑名から近鉄に乗り換えて四日市へ、そこでまた乗り換えた支線の終点が湯の山温泉駅だ。美濃高田から2時間近く。思いつきの寄り道というにはいささか遠すぎた。
保養所エリアにあるホテル
駅に着くと、まずロープウェイで御在所岳山頂に登った。下山後に訪れたグリーンホテルは湯の山温泉駅から徒歩10分ほど。もし駅からロープウェイ行きバスに乗るならば、1つ目の保養所前停留所を下車して徒歩数分だ。周辺は湯の山温泉街ではなく、企業の研修・保養施設が集まるエリアで、新湯の山温泉とも称するようだ。
グリーンホテルの駐車場はやたらとたくさんある。少なくとも第5まであるのは確認した。これらが満車になって全員が大浴場へ詰めかけたら大変なことになるぞ。
2種類の源泉を提供する大浴場
内湯源泉風呂は激熱
フロントで650円を払い、階下の大浴場を目指す。館内に流れる音楽が昭和のグループサウンズだったのが印象的だ。客の年齢層は高そうだな。脱衣所に2種類の源泉に関する説明板が掲げてあり、3号泉(アルカリ性単純温泉)と4号泉(弱アルカリ性単純温泉、低張性、低温泉)があった。ロッカーは100円入れて後で戻ってくるやつと100円いらずのとが混じっている。
自動ドアの向こうが浴室。休日だからにしてもなかなかの盛況ぶり。洗い場は16名分あるから空きがなくて困ることはない。全体に古さはなく、きれいで快適に利用できる。
まず「源泉風呂」の札が目についた3号泉の内湯にトライ。2名で一杯になる小さな岩風呂で、透明な湯がかけ流しにされていた。泉質面ではこいつが一番期待できるってことだろうか。
期待とともにいざ入湯…ぐあああちい。激熱の部類だ。いくら源泉風呂でもぬる湯党には厳しい熱さ。1分も耐えられなかった。まあ一応は源泉を体験した。ここはこんなものでいいだろう。
4号泉の内湯はぬるめでGood
次に隣の4号泉の内湯へ。こちらは20名以上いけそうな広いタイル張りの浴槽。クリアな黄緑色のお湯で満たされていた。源泉云々をアピールしていないから、循環消毒なり加温なりしていると思う。ややぬるめのお湯は気持ちいい。40℃とみた。はっきり湯の花とは断言できぬが、小さい粒状のものが漂っているようにも見える。折悪しく鼻が変調をきたしてグズグズいい出していたために匂いの特徴は感知できなかった。
泡付き・ヌルヌル感も特になし。でもとにかく総合的な感触は良い。ゆっくりと浸かってみたい湯船であった。なお、一部では、ぼこぼこと泡が噴き出してジャグジー風になっている。
広々とした露天の岩風呂は熱め
お次は露天エリアへ。出てすぐのところに飲泉所があったから、チョロチョロ落ちる湯をコップに入れて飲んでみた。まずくはない。1日2杯までとの注意書きにしたがって飲み過ぎには注意。2つある露天風呂のうち奥の方から試すことにした。奥にあったのは3号泉の広い広い岩風呂。30名は余裕でいける。開放的な露天風呂のイメージそのまんまの中に見える人間はわずかに2~3名。こりゃ結構なり。
お湯は黄色味を含まないクリアな薄緑色。先の4号泉内湯とは少し違った印象を与える。では入ろう…あちい。うーむ、内湯の激熱源泉風呂に比べればずっとましだが、適温よりやや熱めは自分の好みのレンジ外。
長湯はせず、岩に腰掛けたり湯に戻ったりしながらしばらく過ごして終了。熱めがOKな人には、露天風呂らしい露天風呂で人口密度も低めだし、満足度は高いんじゃないかな。
人気ナンバーワンの露天源泉風呂
続いて手前にあった3号泉の小さめの露天風呂へ。屋根付きの円形タイル張り浴槽に木の縁が取り付けられている。大きさは6名までってところ。ここは露天版の源泉風呂。クリアな黄緑色のお湯がかけ流しにされていた。内湯版源泉風呂と比べると常識的な適温といえる。41℃とみた。お湯が無色でなく色づいているのも、もしかしたら適温に冷ます間に熟成が進んだためかもしれない。
見た目といい感触といい、自分のセンスだと内湯の4号泉と同じように感じられ、はっきりした違いはわからなかった。でも露天+源泉とくればいやでも人気を集める。人口密度は今回の中では最も高くて、割り込んでいくのがためらわれる局面もあった。
客の年齢層は若手からシニアまでいろいろ。同世代の数名がつるんで来ているパターンが多い。ファミリーは全然いなかった。
なかなかの健闘ぶり
各風呂を行ったり来たりしながら1時間くらいで出た。自分の好みだと4号泉の内湯と露天の源泉風呂が良かった。単にぬるい方の2つをあげただけとも言える。グリーンホテルの場所的に、字面通りの湯の山温泉を体験したと言えるのか微妙なところではあるし、寅さんの足跡をたずねて来たはずじゃなかったのかとか、いろいろ思うところはあるけど、細けえことはいいんだよ。
湯の山温泉駅周辺にはアクアイグニスというお洒落っぽい温泉と食の複合施設がある。いかにも人気を集めていそうな競合を相手に、グリーンホテルもなかなかの健闘を見せているようだった。やはりここのお湯のファンがついているんだと思う。
おまけ:御在所岳に登ってみた
高さと地形が印象的なロープウェイ
ろくに下調べもしないで来たため、とんだ思い違いをしていた。近鉄湯の山温泉駅を出るとすぐ温泉街が広がっており、ちょっと歩けば御在所ロープウェイ乗り場がある、と決めつけていたのだ。実際の湯の山温泉街とロープウェイは駅から3.5キロも先の山の中腹にあった。バス利用必須。バスが終点直前に通る「かもしか大橋」は絶景要素もある新しい橋だった。終点に着くとすぐ目の前がロープウェイ乗り場。そこそこ長い行列ができていたけど8人乗りゴンドラが次々来るから待ち時間は10分程度ですんだ。
これほど高度のある空中散歩は記憶にない。急峻な山は岩が突き出した独特な形をしており、岩の上を這う豆粒のように小さな登山者の姿が見えたりして面白い。
ロープウェイの終点・山上公園駅のまわりは芝生の丘状になっていてファミリーの遊び場になっていた。展望台から北アルプスや富士山が見えることがあるとのこと。この日は曇って何も見えず。
ここからさらにリフトに乗って「本当の山頂」まで行ける(下の写真は帰りのリフト乗り場からロープウェイ駅方向を撮ったもの)。
山頂の個人的ハイライト「恐怖の岩場」
本当の山頂である望湖台からは鈴鹿の山々を一望でき、伊吹山や琵琶湖までも見えるそうだ。この日は曇ってだめだった。しかし個人的な最強の見どころを発見。一番奥の奥にある「恐怖の岩場」だ。岩の向こうは断崖絶壁で足元を支える地面がないように見えるし、岩そのものが不安定に積み上がっただけの存在に見える。でも岩の上で仁王立ちしている人とかいるんですけど…。自分もへっぴり腰で近くへ行ってみたら、うん、やばいっす。山の東尋坊と呼びたい。
ロープウェイとリフトで往復3000円は痛い出費だったが、記憶に残る恐怖の岩場の見物&体験料だと思うことにしよう。
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