由布院温泉と別府温泉郷の中間地点に濃ゆそうな温泉を見つけた。伽藍岳の中腹に位置する「塚原温泉 火口乃泉」。卓越した成分の濃さに加えて、火口のそばというロケーションがいかにもディープで興味をそそる。
夏のグループ旅行で大分県を訪れた際、由布院から別府への移動途中に塚原温泉に寄ってみた。期待通りの強烈なお湯はしかし、入ってみると結構よくなじむ感じ。だからといって長く浸かりすぎない方がいいと思うけど。
またここでは火口を見学することができる。もくもくと白煙を上げる地獄の風景は単独の観光スポットとしても訪れる価値がある。塚原温泉は温泉も火口も良くて当たりだった。
この日は晴れたり曇ったり雨がぱらついたり変わりやすい天気。由布岳も雲を被っている時間が多かったが、たまたまきれいに晴れた瞬間を捉えた。
由布岳は木が生えてなくて草原状になっている明るい緑と、森の深い緑にくっきり分かれている。ちょっと変わった光景である。
どんどん道が狭くなっていくが長い距離じゃないし何とかなる。草木も生えない白~黄~赤茶色の砂礫に覆われた山肌がところどころに現れ始めた頃、狭霧台から約20分で塚原温泉に到着。
駐車場から正面入口を背にして撮った写真がこれ。火口という言葉が似合う雰囲気にだいぶ近づいてきた。
内湯棟の前には塚原温泉の由来を書いた看板が立ち、あわせて温泉成分の濃厚さをアピールしていた。たしか「鉄イオン含有量=日本1位、アルミニウムイオン含有量=日本2位、酸性度の高さ=日本2位」だったかな。
塚原温泉のホームページによれば泉質は「酸性-含硫黄・鉄・アルミニウム-カルシウム-硫酸塩泉、酸性、低張性、高温泉」だそうである。それを源泉かけ流しにしてるんだから楽しみだ。前日に作っちゃった擦り傷に効きそうで期待できる。
利用料は内湯が500円、露天風呂が600円という別料金方式。スケジュールと予算の都合で今回は露天のみとし、火口見学料200円をあわせた800円を払って入場。
ここに洗い場はない。水の出る蛇口がひとつだけあって「蛇口を開きすぎると貯水タンクが危うくなるから慎重に使え」的な注意が書いてあった。
岩風呂は四方のうち三方を脱衣所や塀に囲まれ、残りの一方が開けている(ただし植え込みあり)。パノラマ景色というよりは山の木々を見る感じになる。BGMは野鳥の鳴き声だ。
詰めれば10名以上いけそうな岩風呂には淡いクリアな緑色を呈したお湯が満ちている。ジュースやカクテルにあってもおかしくなさそうな色だ。草津の白旗源泉や湯畑で見た緑色に似ていると思った。
感触もそんなに過激なものではない。たとえば酸性度が日本で2番めだからピリピリ来るのかなと思っていたら、意外と当たりは柔らかい。ツンデレ温泉だ。とはいえ、まったく何の作用もないわけじゃない。先に述べた擦り傷の箇所だけは(おそらく酸性が強いために)結構しみた。それだけ効いてるってことだろうけど。
お湯の中では白い微粒子がたくさん漂っていた。また、お湯をすくって鼻を近づけると、フワーッと硫黄ぽい匂いがしてきた…ん? 待て待て、これ硫黄じゃないかも…どっちかいうと金属じゃないか。この日は以後ずっと、手のひらをクンクンすると金属の臭いがしたから、たぶん金気臭だ。
まあそれにしてもいいお湯だ。濃ゆい温泉だから入りすぎはかえって良くないとわかっていても、なんだか出るのがもったいない気がして去りがたい。当初は「過激な温泉をちょろっと体験できればいいや」くらいのイロモノ的な目で見ていたが、とんでもない思い違いであった。関係各位にお詫び申し上げます。
ややきつい坂を上っていくと開けた場所に出てきた。でもまだゴールじゃない。
分岐の起点から5分くらいで火口のあるところまで来た。あちこちから白い煙が上っている。
道の終点から火口を見る。これより中は立入禁止で近づけない。火口部分のヤバそうな湯だまりが「火口乃泉」ってわけだ。
塚原温泉・火口乃泉。いやあすごい。おそれいりました。もし将来また由布院や別府へ来ることがあれば、間違いなく再訪するだろうな。これほどの隠し玉を有していたなんて、別府・由布院エリアは懐が深いぜ。
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夏のグループ旅行で大分県を訪れた際、由布院から別府への移動途中に塚原温泉に寄ってみた。期待通りの強烈なお湯はしかし、入ってみると結構よくなじむ感じ。だからといって長く浸かりすぎない方がいいと思うけど。
またここでは火口を見学することができる。もくもくと白煙を上げる地獄の風景は単独の観光スポットとしても訪れる価値がある。塚原温泉は温泉も火口も良くて当たりだった。
塚原温泉・火口乃泉へのアクセス
由布院のビューポイント狭霧台へ
旅の2日目。我ら一行は由布院温泉・御宿なか屋を出発してレンタカーで別府方面を目指した。まずは10分ほどのところにある狭霧台で小休止。由布院の町を一望できるビューポイントだ。この日は晴れたり曇ったり雨がぱらついたり変わりやすい天気。由布岳も雲を被っている時間が多かったが、たまたまきれいに晴れた瞬間を捉えた。
由布岳は木が生えてなくて草原状になっている明るい緑と、森の深い緑にくっきり分かれている。ちょっと変わった光景である。
伽藍岳の懐へ
狭霧台を出て次に向かうは塚原温泉。鶴見岳と由布岳の間に挟まれた道路を進み、高速道路にぶつかったら側道をしばし並走、塚原温泉の看板に従って伽藍岳の方へ入っていく。どんどん道が狭くなっていくが長い距離じゃないし何とかなる。草木も生えない白~黄~赤茶色の砂礫に覆われた山肌がところどころに現れ始めた頃、狭霧台から約20分で塚原温泉に到着。
駐車場から正面入口を背にして撮った写真がこれ。火口という言葉が似合う雰囲気にだいぶ近づいてきた。
塚原温泉の入浴体験記
成分濃厚な温泉
当湯は近年よくある日帰り温泉施設のスタイル…大きなコンクリートの建物の中に休憩所と内湯と露天風呂を備える…ではない。そういう立地じゃないし。最初に目につくのは受付事務所棟と内湯棟。どちらも小さな平屋造りだ。内湯棟の前には塚原温泉の由来を書いた看板が立ち、あわせて温泉成分の濃厚さをアピールしていた。たしか「鉄イオン含有量=日本1位、アルミニウムイオン含有量=日本2位、酸性度の高さ=日本2位」だったかな。
塚原温泉のホームページによれば泉質は「酸性-含硫黄・鉄・アルミニウム-カルシウム-硫酸塩泉、酸性、低張性、高温泉」だそうである。それを源泉かけ流しにしてるんだから楽しみだ。前日に作っちゃった擦り傷に効きそうで期待できる。
利用料は内湯が500円、露天風呂が600円という別料金方式。スケジュールと予算の都合で今回は露天のみとし、火口見学料200円をあわせた800円を払って入場。
露天風呂を満たすカクテルのようなお湯
砂利道をほんのちょっとだけ歩けば家族風呂・女性用露天・男性用露天の各小屋が並んでいる場所に着く。男性用露天の扉を開けると、すぐ右手に脱衣所、正面にお目当ての岩風呂があった。誰もいないから独占だ。ここに洗い場はない。水の出る蛇口がひとつだけあって「蛇口を開きすぎると貯水タンクが危うくなるから慎重に使え」的な注意が書いてあった。
岩風呂は四方のうち三方を脱衣所や塀に囲まれ、残りの一方が開けている(ただし植え込みあり)。パノラマ景色というよりは山の木々を見る感じになる。BGMは野鳥の鳴き声だ。
詰めれば10名以上いけそうな岩風呂には淡いクリアな緑色を呈したお湯が満ちている。ジュースやカクテルにあってもおかしくなさそうな色だ。草津の白旗源泉や湯畑で見た緑色に似ていると思った。
意外性ある柔らかい感触
さあいよいよ入湯。火口というワードから、グツグツと煮えたぎるような熱さを想像してしまうが、入ってみるとそんなに熱く感じない。ぬる湯ではないけど適温といえる。感触もそんなに過激なものではない。たとえば酸性度が日本で2番めだからピリピリ来るのかなと思っていたら、意外と当たりは柔らかい。ツンデレ温泉だ。とはいえ、まったく何の作用もないわけじゃない。先に述べた擦り傷の箇所だけは(おそらく酸性が強いために)結構しみた。それだけ効いてるってことだろうけど。
お湯の中では白い微粒子がたくさん漂っていた。また、お湯をすくって鼻を近づけると、フワーッと硫黄ぽい匂いがしてきた…ん? 待て待て、これ硫黄じゃないかも…どっちかいうと金属じゃないか。この日は以後ずっと、手のひらをクンクンすると金属の臭いがしたから、たぶん金気臭だ。
白い沈殿物が積もる湯船の底
他の特徴としては底にうっすら積もった白い堆積物。湯の花的な白微粒子が沈殿したものじゃないかと思われる。結露した窓ガラスと同様に、浴槽の底に手をつくと手形のような跡が残る。歩くと足形が残る。お尻をつくと…以下略。まあそれにしてもいいお湯だ。濃ゆい温泉だから入りすぎはかえって良くないとわかっていても、なんだか出るのがもったいない気がして去りがたい。当初は「過激な温泉をちょろっと体験できればいいや」くらいのイロモノ的な目で見ていたが、とんでもない思い違いであった。関係各位にお詫び申し上げます。
塚原温泉の火口見学記
すっかり満足して露天風呂は終了。続いて火口見学へ。露天各小屋の手前から分岐する道がある。ややきつい坂を上っていくと開けた場所に出てきた。でもまだゴールじゃない。
分岐の起点から5分くらいで火口のあるところまで来た。あちこちから白い煙が上っている。
道の終点から火口を見る。これより中は立入禁止で近づけない。火口部分のヤバそうな湯だまりが「火口乃泉」ってわけだ。
塚原温泉・火口乃泉。いやあすごい。おそれいりました。もし将来また由布院や別府へ来ることがあれば、間違いなく再訪するだろうな。これほどの隠し玉を有していたなんて、別府・由布院エリアは懐が深いぜ。
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