別府の明礬温泉といえば泉質の良さに定評がある。また周辺の自然環境や温泉街情緒の味わい深さという面でも人気が高い。加えて特徴的な湯の花小屋が並ぶ光景は一見の価値あり。セールスポイントには事欠かない。
そんな明礬“らしさ”を一度に体験できる日帰り温泉施設が「みょうばん湯の里」である。夏の終わりのグループ旅行で訪れてみた。
温泉成分が濃い! めっちゃ効いた。風呂から上がった後もしばらく思考回路が停止状態、ボーッとしてまともな会話もできず、幽体離脱したみたいだった。湯めぐりしすぎてベストコンディションでなかったとはいえ、あれはすごかった。
我ら一行はレンタカーに乗り込んで前泊地のさわやかハートピア明礬を出発し、いったん鉄輪地区へ行って地獄めぐりのいくつかを見学してから、再び明礬地区に戻ってきた。
まずは地獄蒸しプリンで有名な岡本屋売店へ。駐車場から眺める景色が良い。扇状地を思わせる傾斜が広がる先に別府市街と別府湾、手前には巨大なアーチ型の別府明礬橋。
売店のテーブル席で名物地獄蒸しプリンをいただく。コーヒー味というのを注文してみた。お味は、うん、コーヒーですね。大人向けの苦味がグッド。温泉(殊に硫黄)を思わせる風味がするわけではないので念のため。
岡本屋売店から湯の里までは100メートルほど。
その先には湯の花を採取する湯の花小屋が並んでいる。独特の三角屋根をした藁葺き小屋である。無料で見学が可能。
小屋の中は中央が通路になっていて、通路脇で湯の花を作っている。白っぽいゴツゴツした塊がモコモコっと盛り上がっている様子。あらかじめ敷き詰めておいた青粘土に、地中から噴き出る温泉ガスが作用して生成した、湯の花の結晶だ。
そんな湯の花小屋がびっしりと密集する様には圧倒される。明礬温泉ならではの光景だ。
ちなみに藁葺き小屋が柵に囲まれて一列に並ぶ区画は貸し切りの家族風呂。湯の花小屋の中にいるかのような気分で温泉に入れるという、オツな演出ですな。
見学エリアとはまた違った雰囲気で、素朴感あふれるエントランス。600円を払って入場。
男湯の方へ進むと、左手に脱衣所、右手に内湯小屋、正面に露天風呂があった。脱衣所にはジャニーズのタレント(おじさんにはわからん、すまん)が熊本大分をPRするポスターと、バラエティー番組・イッテQでシンフロなる企画のロケをしたときの写真が貼ってあった。
また分析書によれば「酸性-含硫黄-単純温泉、酸性、低張性、高温泉」とのこと。実際入ってみるとこの字面以上に濃ゆい。もちろん源泉かけ流し。
温度は適温。ちょっとした硫黄感はあれど、後述する露天風呂に比べると地味なのは否めない。派手な特徴と温泉の良さは必ずしも比例しないが、ついつい派手な方へ引き寄せられてしまうのはしょうがないね。にんげんだもの。みつを。
お湯は乳白色でわずかに青みが混じる、美しさを感じさせる色。濁りが強くて浴槽の底は全く見えない。入ってみよう…あら残念、熱い。ぬる湯派なので長くじっくり浸かれないのは惜しい。酸性泉にあんまり長く入るのはいかがなものか、ってのはあるとしても。
まあいい。熱いなりに楽しませてもらおう。湯船に入ったり出たりを繰り返しながら明礬温泉を味わったのだった。お湯そのものは王道の濁り湯といった感じで文句のつけようがない。さすがの貫禄を誇っているようだった。
露天風呂が高台にあるとはいえ、湯に浸かったまま下界の大パノラマが目に映るわけではない。しかし湯船を出れば期待するような景色がカラン越しに広がっているのを確認できる。下界だけでなく、高台をも見下ろす近隣の緑の山々とか、遠くにうっすらと見える山の影を含めて、この眺めは湯の里が持つ上質なコンテンツといえよう。
そうこうするうちに体全体に脱力感が出てきた。熱さでのぼせたのではなさそうだ。何度も出入りを繰り返すうちに温泉がじわっと効いてきたようだ。指先を見るとしわしわができ始めていた。
そのお客さんが気の毒だったのは(反面我々がラッキーだったのは)、ちょうど入れ替わりのタイミングでバケツをひっくり返したような激しい通り雨に見舞われたこと。我々は急いで車へ逃げ込んだ。この雨じゃ露天風呂どころじゃないだろうな。
雨が落ち着くまで次の計画を練りつつ車内で待っていると、だんだん頭がぼーっとしてきた。メンバーとの会話でまともに受け答えできてる自信がない。全身の筋肉が緩んで力が入らない。以前に滑川温泉に入った後の状況をさらにパワーアップした感じ。やっぱり濃ゆい温泉にガツンとやられたのに違いない。
当初の計画では、この日あと1箇所に立ち寄り入浴するつもりだったけど、話し合って取りやめた。そこの利用料が想定よりお高かったからというだけでなく、ひどいグッタリ感ですっかり戦意喪失したことも大きい。なんというパワー。おそるべし湯の里。
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そんな明礬“らしさ”を一度に体験できる日帰り温泉施設が「みょうばん湯の里」である。夏の終わりのグループ旅行で訪れてみた。
温泉成分が濃い! めっちゃ効いた。風呂から上がった後もしばらく思考回路が停止状態、ボーッとしてまともな会話もできず、幽体離脱したみたいだった。湯めぐりしすぎてベストコンディションでなかったとはいえ、あれはすごかった。
みょうばん湯の里へのアクセス
みょうばん湯の里は多くの旅館が立ち並ぶ明礬温泉街の一角にある。JR別府駅からだとバスで30分くらい。同温泉街の中心部に泊まる人なら旅館から歩いていけるだろう。我ら一行はレンタカーに乗り込んで前泊地のさわやかハートピア明礬を出発し、いったん鉄輪地区へ行って地獄めぐりのいくつかを見学してから、再び明礬地区に戻ってきた。
まずは地獄蒸しプリンで有名な岡本屋売店へ。駐車場から眺める景色が良い。扇状地を思わせる傾斜が広がる先に別府市街と別府湾、手前には巨大なアーチ型の別府明礬橋。
売店のテーブル席で名物地獄蒸しプリンをいただく。コーヒー味というのを注文してみた。お味は、うん、コーヒーですね。大人向けの苦味がグッド。温泉(殊に硫黄)を思わせる風味がするわけではないので念のため。
岡本屋売店から湯の里までは100メートルほど。
まずは湯の花小屋を見学
湯の里で真っ先に目につく、冒頭の写真に示した建物は食堂とおみやげコーナー。結構本格的だから道の駅的な使い方ができるんじゃないかな。その先には湯の花を採取する湯の花小屋が並んでいる。独特の三角屋根をした藁葺き小屋である。無料で見学が可能。
小屋の中は中央が通路になっていて、通路脇で湯の花を作っている。白っぽいゴツゴツした塊がモコモコっと盛り上がっている様子。あらかじめ敷き詰めておいた青粘土に、地中から噴き出る温泉ガスが作用して生成した、湯の花の結晶だ。
そんな湯の花小屋がびっしりと密集する様には圧倒される。明礬温泉ならではの光景だ。
ちなみに藁葺き小屋が柵に囲まれて一列に並ぶ区画は貸し切りの家族風呂。湯の花小屋の中にいるかのような気分で温泉に入れるという、オツな演出ですな。
良質のお湯と開放感を楽しめるお風呂
高台にある大浴場
見学はここまで。いよいよ温泉を体験する。湯の里の大浴場は上述の見学エリアを見下ろす高台にあり、入口すぐのところにある駐車場とは別に大浴場専用の駐車場も備える。見学エリアから歩くとなると上り坂だし甘くないと思う。車で来たなら車ごと移動すべし。見学エリアとはまた違った雰囲気で、素朴感あふれるエントランス。600円を払って入場。
男湯の方へ進むと、左手に脱衣所、右手に内湯小屋、正面に露天風呂があった。脱衣所にはジャニーズのタレント(おじさんにはわからん、すまん)が熊本大分をPRするポスターと、バラエティー番組・イッテQでシンフロなる企画のロケをしたときの写真が貼ってあった。
また分析書によれば「酸性-含硫黄-単純温泉、酸性、低張性、高温泉」とのこと。実際入ってみるとこの字面以上に濃ゆい。もちろん源泉かけ流し。
小さめで素朴な内湯
最初に内湯を試す。素朴な小屋の中にカランが2つと2~3名規模の小さな浴槽が見えた。お湯の濁りがわずかでほとんど無色透明に近かったのは、たまたま当時のコンディションだったかもしれない。温度は適温。ちょっとした硫黄感はあれど、後述する露天風呂に比べると地味なのは否めない。派手な特徴と温泉の良さは必ずしも比例しないが、ついつい派手な方へ引き寄せられてしまうのはしょうがないね。にんげんだもの。みつを。
主役の露天風呂はさすがの貫禄
内湯は軽く入って区切りをつけさせてもらい、本命の露天風呂へ。ここは広い。20名は軽く収容できそうな岩風呂だった。その岩風呂を取り囲むように12名分のカランが並ぶ。お湯は乳白色でわずかに青みが混じる、美しさを感じさせる色。濁りが強くて浴槽の底は全く見えない。入ってみよう…あら残念、熱い。ぬる湯派なので長くじっくり浸かれないのは惜しい。酸性泉にあんまり長く入るのはいかがなものか、ってのはあるとしても。
まあいい。熱いなりに楽しませてもらおう。湯船に入ったり出たりを繰り返しながら明礬温泉を味わったのだった。お湯そのものは王道の濁り湯といった感じで文句のつけようがない。さすがの貫禄を誇っているようだった。
露天風呂からの眺めもすばらしい
岩風呂の奥まったところに「湯口」と書かれた札があった。近づくと、一般的な湯口とは違って、源泉をジョボジョボ投入している様子は見えない。ただ岩を組んであるだけ。岩のすき間の奥や底面からそっと入れているのかしら。露天風呂が高台にあるとはいえ、湯に浸かったまま下界の大パノラマが目に映るわけではない。しかし湯船を出れば期待するような景色がカラン越しに広がっているのを確認できる。下界だけでなく、高台をも見下ろす近隣の緑の山々とか、遠くにうっすらと見える山の影を含めて、この眺めは湯の里が持つ上質なコンテンツといえよう。
そうこうするうちに体全体に脱力感が出てきた。熱さでのぼせたのではなさそうだ。何度も出入りを繰り返すうちに温泉がじわっと効いてきたようだ。指先を見るとしわしわができ始めていた。
湯の里のおそるべき湯力
途中にとった長い小休止込みで1時間いたんじゃないかな。さすがに湯疲れしてきたところで終了。最初の数分間を除いて我々が完全に独占できたのはラッキーだったな、と思いながら服を着て出ようとしたところで新たな客と入れ違いになった。そのお客さんが気の毒だったのは(反面我々がラッキーだったのは)、ちょうど入れ替わりのタイミングでバケツをひっくり返したような激しい通り雨に見舞われたこと。我々は急いで車へ逃げ込んだ。この雨じゃ露天風呂どころじゃないだろうな。
雨が落ち着くまで次の計画を練りつつ車内で待っていると、だんだん頭がぼーっとしてきた。メンバーとの会話でまともに受け答えできてる自信がない。全身の筋肉が緩んで力が入らない。以前に滑川温泉に入った後の状況をさらにパワーアップした感じ。やっぱり濃ゆい温泉にガツンとやられたのに違いない。
当初の計画では、この日あと1箇所に立ち寄り入浴するつもりだったけど、話し合って取りやめた。そこの利用料が想定よりお高かったからというだけでなく、ひどいグッタリ感ですっかり戦意喪失したことも大きい。なんというパワー。おそるべし湯の里。
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