函館で温泉といえばやっぱり湯の川温泉だろう。明治維新の箱館戦争の折には旧幕府軍の榎本武揚が傷病兵を湯治させたともいわれる。JR函館駅から市電を使って楽に行けるし、函館空港にも近い。
2018真冬の北海道グループ旅行の1泊目が湯の川温泉だった。ある参加メンバーのたっての希望である。よし、その夢かなえようじゃないか、というわけで決定。
お宿は「湯元 啄木亭」。正直いうと今回は自分で宿選びをしたのでなく最初からお膳立てされた宿泊先だったのだが、11階に作られた大浴場からは函館の街を一望できたし、ちょっとした雪見風呂を楽しむこともできて、なかなか良かった。
我ら一行は団体パックツアーに参加してベイエリア・元町・函館山をバスで周遊した後、19時前に啄木亭へ送り届けられた。温泉目的なら早めチェックインして夕方のうちから風呂に入りたいところだけど、それが無理なのは承知の上でパックツアーにしたから、まあよし。
湯の川温泉はそれほど郊外ではなく、どちらかといえば市街中心部に近い。位置的には函館競馬場と函館空港の中間。海岸線からほんのちょっとだけ内陸へ入ったところ。ビルの高層階からならば海が見えるだろう。
付近にはいくつかのホテル・旅館が集まっているものの、普通の町の中に立ってる感じで、温泉街の風情はない。またツアーガイドさんによればコンビニはちょっと遠い。
では部屋に入ろう。玄関部がやや狭いため、履物の脱着をしている人と内開きのドアがすぐに干渉する。また3点式ユニットのトイレ・洗面もちょっと窮屈なところにある。このあたりは客室数と間取りの折り合いに苦心がうかがえる。
中はひと回り小さい畳で12畳+広縁。ぴかぴかの新しさはないが、しっかり清掃・整理整頓された状態で提供されており、快適にすごせる。あと金庫と空の冷蔵庫あり。
窓からの景色は…そういえば見てないなあ。入るなり誰かがカーテンを閉めて最後までそのままだったような。グループ旅行だとそのへんは流されちゃうんでね。
啄木亭の大浴場は11階にある。エレベータを降りた目の前にちょっとした湯上がり休憩コーナーあり。時間で男女の入れ替えはない。男湯の暖簾をくぐると、番号付きのクリップばさみが置いてあった。自分のサンダルを他人が間違えて履いて出ないようにする目印。最近よく見られる工夫だ。
このクリップは同じ番号の札とセットになっており、札の番号と同じ脱衣カゴを利用する仕組みになっている。なるほどね。ここまで徹底してるのはなかなかない。壁に掲示された分析書には「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、中性、等張性、高温泉」とあった。
対する窓側にサウナ室と水風呂、そして長い辺に沿ってこれまた細長い浴槽が取り付けられていた。幅は狭いがとにかく長い。人が向かい合わせになることは難しくて一列にダーッと並ぶことになるけど、詰めれば何人でもいける感じ。
基本的に湯の花はないものの、ごくまれに糸くず風の浮遊物が漂っている。たしか脱衣所に湯の花についての説明があった。お湯の匂いを嗅いでみると金気臭だか土気臭だか、正確なところはよくわからないが、なんだかそんな感じの匂いが微妙にあった。
窓からは高層階特有の街を俯瞰した景色が広がる。ただし前方に同じくらいの高さの建物がそびえ立つせいもあって大パノラマという印象まではいかない。でも眺めが良いのはたしか。
最上階の露天エリアとは、つまり屋上といってよい。転落防止と目隠しを兼ねたような柵はあるけど、広めのすき間から景色が見える。右手奥にはちょっと海も見えた。温泉の熱と、おそらくきちんと雪かきをしているために、露天エリアに雪はないが隅っこの一部のみ残雪が見られ、雪見風呂の気分もそれなりに味わえた。
内湯へ戻り今度は熱めの方に入る。先ほどのぬるめを温めた感じ。そのまんまですな。けっきょく夜も朝もどの浴槽も人は少なくてゆったり入れた。
夕食の一巡目がこれ。取り方がみみっちいのは放っといてください。お酒は利き酒3点セットを頼んでみた。函館らしく海産物が多いから日本酒が合う。
ハタハタがあるのは珍しかった。他にも聞いたことのない食材がいくつかあってつい取ってしまう。もちろん一巡だけで終わらせるはずもなく、二巡目いったし三巡目までやったかもしれない。
函館らしさのある内容だったし、自分は結構満足した。
意識高い系を気取って緑のスムージーをチョイス。あとはせっかく北海道に来たのでオレンジジュースじゃなくハスカップジュースにしてみた。明らかに元が取れてないけど朝はこの量で十分。あとはコーヒーで締め。
それと啄木亭には美しく整備された中庭がある。夕食の帰りに撮ったのがこれ。ライトアップされて幻想的に見える。生で見るともっと綺麗だ。
さて、夕食の際に衝撃の事実が発覚した。この旅行の計画時に湯の川温泉への宿泊を希望したメンバーに「なぜ湯の川温泉を希望したのか」を尋ねると、昔一度訪れたときの印象が強くて再訪したかったからだというが、どうも会話が噛み合わない。よくよく掘り下げてみると、当人が本来意図していたのは屈斜路湖近くの川湯温泉だったっぽい。
ちょ、それちが…うヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲい!!! 川湯と湯の川は全然違うからぁぁぁぁぁぁぁ!!! …はあはあはあ…まあいい、本人は一切気にせず楽しんでるみたいだったし、自分も湯の川温泉にはもともと行ってみたかった。ホテル側も客が増えてよかったね。三方良し、Win-Win-Winてことで。
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2018真冬の北海道グループ旅行の1泊目が湯の川温泉だった。ある参加メンバーのたっての希望である。よし、その夢かなえようじゃないか、というわけで決定。
お宿は「湯元 啄木亭」。正直いうと今回は自分で宿選びをしたのでなく最初からお膳立てされた宿泊先だったのだが、11階に作られた大浴場からは函館の街を一望できたし、ちょっとした雪見風呂を楽しむこともできて、なかなか良かった。
湯の川温泉「湯元 啄木亭」へのアクセス
啄木亭は市電・湯の川温泉駅から徒歩3分。函館空港からはタクシーで10分ほど。他に路線バスを利用するなどいろいろな手段があるようだ。我ら一行は団体パックツアーに参加してベイエリア・元町・函館山をバスで周遊した後、19時前に啄木亭へ送り届けられた。温泉目的なら早めチェックインして夕方のうちから風呂に入りたいところだけど、それが無理なのは承知の上でパックツアーにしたから、まあよし。
湯の川温泉はそれほど郊外ではなく、どちらかといえば市街中心部に近い。位置的には函館競馬場と函館空港の中間。海岸線からほんのちょっとだけ内陸へ入ったところ。ビルの高層階からならば海が見えるだろう。
付近にはいくつかのホテル・旅館が集まっているものの、普通の町の中に立ってる感じで、温泉街の風情はない。またツアーガイドさんによればコンビニはちょっと遠い。
苦心の間取りで空間を確保
啄木亭にチェックインして案内された部屋は9階。最上階が大浴場だから、客室としては上から2番めのフロアになる。では部屋に入ろう。玄関部がやや狭いため、履物の脱着をしている人と内開きのドアがすぐに干渉する。また3点式ユニットのトイレ・洗面もちょっと窮屈なところにある。このあたりは客室数と間取りの折り合いに苦心がうかがえる。
中はひと回り小さい畳で12畳+広縁。ぴかぴかの新しさはないが、しっかり清掃・整理整頓された状態で提供されており、快適にすごせる。あと金庫と空の冷蔵庫あり。
窓からの景色は…そういえば見てないなあ。入るなり誰かがカーテンを閉めて最後までそのままだったような。グループ旅行だとそのへんは流されちゃうんでね。
高層階を活かした「函館ビュー」の大浴場
履物を間違えない工夫がGood
チェックインが遅かったため、実際は夕食の後で風呂に入った。個人旅行だったら最低でも夕方・夜・朝の3回は入るけど、今回は夜と朝の2回。啄木亭の大浴場は11階にある。エレベータを降りた目の前にちょっとした湯上がり休憩コーナーあり。時間で男女の入れ替えはない。男湯の暖簾をくぐると、番号付きのクリップばさみが置いてあった。自分のサンダルを他人が間違えて履いて出ないようにする目印。最近よく見られる工夫だ。
このクリップは同じ番号の札とセットになっており、札の番号と同じ脱衣カゴを利用する仕組みになっている。なるほどね。ここまで徹底してるのはなかなかない。壁に掲示された分析書には「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、中性、等張性、高温泉」とあった。
細ーくて長ーい風呂
浴室は幅に対して奥行きがやたらと長い。その長い方の辺に沿って、数えるのが面倒になるくらいたくさんのカランが並んでいる。平日とはいえ客は常時10名もいないくらいだったし、洗い場に困ることはまずなかろう。対する窓側にサウナ室と水風呂、そして長い辺に沿ってこれまた細長い浴槽が取り付けられていた。幅は狭いがとにかく長い。人が向かい合わせになることは難しくて一列にダーッと並ぶことになるけど、詰めれば何人でもいける感じ。
街の景色を眺められる内湯
その細長い内湯浴槽は4対1くらいの分割比でぬるめ浴槽と熱め浴槽に分けられている。ぬるめの方に入ってみたら、まあ適温くらい。お湯は無色透明でごくわずかな濁りが見られる。基本的に湯の花はないものの、ごくまれに糸くず風の浮遊物が漂っている。たしか脱衣所に湯の花についての説明があった。お湯の匂いを嗅いでみると金気臭だか土気臭だか、正確なところはよくわからないが、なんだかそんな感じの匂いが微妙にあった。
窓からは高層階特有の街を俯瞰した景色が広がる。ただし前方に同じくらいの高さの建物がそびえ立つせいもあって大パノラマという印象まではいかない。でも眺めが良いのはたしか。
雪見気分も味わえる露天風呂
続いて一番奥の扉から露天エリアへ移動。カランを撤去した洗い場跡と8名規模の岩風呂があった。寒いからさっそくつかってみると、内湯のぬるめ浴槽よりも1段階ぬるめであった。冷めてしまうんだろうね。湯口から出てくるお湯はむしろアッチッチだ。最上階の露天エリアとは、つまり屋上といってよい。転落防止と目隠しを兼ねたような柵はあるけど、広めのすき間から景色が見える。右手奥にはちょっと海も見えた。温泉の熱と、おそらくきちんと雪かきをしているために、露天エリアに雪はないが隅っこの一部のみ残雪が見られ、雪見風呂の気分もそれなりに味わえた。
内湯へ戻り今度は熱めの方に入る。先ほどのぬるめを温めた感じ。そのまんまですな。けっきょく夜も朝もどの浴槽も人は少なくてゆったり入れた。
食事は「ザ・キャビン」でのバイキング
珍しげな食材もあった夕食
我々が参加したツアーだと食事は朝夕とも2階のバイキング方式レストラン「ザ・キャビン」だった。船のキャビンをイメージしたのか、一般によくあるホテルのバイキング会場よりはちょっと洒落た雰囲気あり。夕食の一巡目がこれ。取り方がみみっちいのは放っといてください。お酒は利き酒3点セットを頼んでみた。函館らしく海産物が多いから日本酒が合う。
ハタハタがあるのは珍しかった。他にも聞いたことのない食材がいくつかあってつい取ってしまう。もちろん一巡だけで終わらせるはずもなく、二巡目いったし三巡目までやったかもしれない。
函館らしさのある内容だったし、自分は結構満足した。
意識の高い(?)朝食
朝食も同じ会場で。あえて洋風でまとめてみた(とかいって温泉玉子と豆腐を取ったけど)。取り方がみみっちいのは放っといてください。意識高い系を気取って緑のスムージーをチョイス。あとはせっかく北海道に来たのでオレンジジュースじゃなくハスカップジュースにしてみた。明らかに元が取れてないけど朝はこの量で十分。あとはコーヒーで締め。
現地で発覚した衝撃の事実
いま気づいた。朝、部屋の窓から1枚だけ写真撮ってました。東京だったら朝から晩までニュースを流して大騒動になるレベルの雪。それと啄木亭には美しく整備された中庭がある。夕食の帰りに撮ったのがこれ。ライトアップされて幻想的に見える。生で見るともっと綺麗だ。
さて、夕食の際に衝撃の事実が発覚した。この旅行の計画時に湯の川温泉への宿泊を希望したメンバーに「なぜ湯の川温泉を希望したのか」を尋ねると、昔一度訪れたときの印象が強くて再訪したかったからだというが、どうも会話が噛み合わない。よくよく掘り下げてみると、当人が本来意図していたのは屈斜路湖近くの川湯温泉だったっぽい。
ちょ、それちが…うヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲい!!! 川湯と湯の川は全然違うからぁぁぁぁぁぁぁ!!! …はあはあはあ…まあいい、本人は一切気にせず楽しんでるみたいだったし、自分も湯の川温泉にはもともと行ってみたかった。ホテル側も客が増えてよかったね。三方良し、Win-Win-Winてことで。
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