茨城県の太平洋側の北端、福島との県境にあたる平潟港には何軒かの温泉宿がある。2018年最初のグループ旅行の2泊目に選んだのが、平潟港温泉「民宿相模屋」だった。
冬の茨城で海の幸とくれば、これはもう、あんこう鍋でしょう。今回あんこうを目当てにやって来たといっても過言ではない。あんこう鍋はどこもたいがい「2人前から」という縛りがあり、いつもの一人旅では決してありつけない。グループで訪れた好機を逃してはいけない。
民宿だけに風呂は小さめだが、弱アブラ臭のする熱々の温泉と、熱々の濃厚なあんこう鍋ですっかり体が温まったのであった。
相模屋の場所は…説明しにくいな。漁港通り沿いではない。斜めの道をちょっと入ったところ…って文字で書いてもわかりにくな。カーナビを頼るのが一番いい。それほど大規模な集落ではないのですぐ見つかるだろう。
鉄道利用の場合はJR常磐線の大津港駅を下車。駅から当宿まで3キロ近くあるため徒歩は厳しそう。路線バスもないんじゃないかな。タクシーを呼ぶか、なんか手立てが必要。
建物は中も外もかなり新しかった。東日本大震災の後にリニューアルしたという文章を見かけた記憶がある。
チェックインをすませて案内された部屋は1階の、小さめの畳ながらも10畳が確保された和室。こたつとエアコンで暖房はばっちり。金庫あり、冷蔵庫なし。
窓の外は残念ながら駐車場。海を眺めてどうこういう感じではない。トイレ・洗面は共同だが、新しくてきれいで他者とかち合う可能性も低いから問題なし。洗面台にはハンドタオルの入った壺が置かれ、手を拭いたタオルは別の壺に入れて回収してもらうシステム。
部屋に入ってすぐのところや、あるいは廊下に、ちょっと気の利いた飾りつけをしてあって華を添えている。丁寧に大事に管理されているという印象を受けた。
宿の規模を考慮すると風呂が混み合って困ることはないと思う。少なくとも当日は入りたい時にふらっと行ったらいつでも空いていた。
脱衣所も浴室も3名で一杯になるサイズ。団体さんがどっと来る宿じゃないから、まあ十分だろう。壁の分析書には「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、高張性、弱アルカリ性、高温泉」とあった。高張性の高温泉か、こいつはガツンときそうだぜ。
一番隅っこにカエルの置物がちょこんと座る湯口があり、お湯がチョロチョロと投入されていた。では入ってみよう…うあ熱ーーーっ! ちょ、これは熱いぞ。
だが手も足も出ない熱さではない。ざぶんと入れないだけであって、少しずつゆっくり体を沈めることはできるし、いったん肩までつかってしまえばすぐに慣れて、結構そのままでいられる。
熱めの高張性だからあんまり粘るもんじゃない。長湯するくらいなら入浴回数でカバーすべきだ。てなわけで夕方2回、夜1回、朝1回入った。あれ? 朝は2回だったっけ? 湯口のカエルもあきれてることだろう。
夕食は温泉と並ぶメーンイベント。漁港の町だから期待で気分が盛り上がる。スターティングメンバーがこれ。きときと感あふれるお造りがヤバイ。別途すき焼き鍋があるから肉方面も抜かりはない。
しかも驚いたことに、途中でノドグロの煮付けが出てきた。このあたりだとキンキじゃないかという気もするが(1年前の北茨城・湯の網温泉で食べた)、たしかノドグロって言ってたと思う。
ノドグロにせよキンキにせよ日常生活ではあり得ない高級魚である。それが出てくるってのがサプライズ。しかもこの大きさ。相模屋…恐ろしい子!(白目)。
どぶ汁とは、寄せ鍋の具にあんこうを使うなんていう生易しいもんじゃない。まず汁が違う。あん肝がドドンと投入されているうえ、水を使わず野菜とあんこうの水分でカバーするから、超濃厚なドロドロのあん肝スープになっている。
しかもこのときの鍋は野菜といえばネギ程度。どこまでもあんこう一色なのだ。
※予約時にどぶ汁コースをお願いした時に「野菜は入らないけどいいですか」と確認されてたので、野菜なしは当方も承知の上。
もぐもぐもぐもぐ…おいしいカニを食べるときのように皆、口数が減ってきた。もぐもぐもぐ、黙々黙々、もぐもぐもぐ、黙々黙々…と、そこへ、追加であんこうの唐揚げが一皿出てきたではないか。もォあんこォォォーーーー!!
…ふう、食った食った。で、締めはあんこうおじや。すでにお腹パンパンであったが、濃厚あん肝スープをおじやでいただかずにギブアップしては一生悔いが残る。チャクラを開いて胃袋を覚醒させ、最後まできっちり味わい尽くしたのであった。
温泉宿の紹介のつもりが、さすがにあんこうの印象が強烈すぎて、そっちに寄っちゃったなあ。ホームページにあるウニの貝焼きとか岩牡蠣・アワビ・平潟浜飯の写真もインパクトある。季節を問わず魚料理に夢がある宿だ。
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冬の茨城で海の幸とくれば、これはもう、あんこう鍋でしょう。今回あんこうを目当てにやって来たといっても過言ではない。あんこう鍋はどこもたいがい「2人前から」という縛りがあり、いつもの一人旅では決してありつけない。グループで訪れた好機を逃してはいけない。
民宿だけに風呂は小さめだが、弱アブラ臭のする熱々の温泉と、熱々の濃厚なあんこう鍋ですっかり体が温まったのであった。
平潟港温泉「民宿相模屋」へのアクセス
この旅ではメンバーが出してくれた車を利用している。東京方面から平潟港へは常磐道の北茨城ICで下りて国道6号に入って北上、鵜ノ子岬(日立市の鵜の岬ではありません!)の手前を海側へ折れてちょっと進めば着く。相模屋の場所は…説明しにくいな。漁港通り沿いではない。斜めの道をちょっと入ったところ…って文字で書いてもわかりにくな。カーナビを頼るのが一番いい。それほど大規模な集落ではないのですぐ見つかるだろう。
鉄道利用の場合はJR常磐線の大津港駅を下車。駅から当宿まで3キロ近くあるため徒歩は厳しそう。路線バスもないんじゃないかな。タクシーを呼ぶか、なんか手立てが必要。
新しくて小ぎれいな部屋
ここらの地形は、近隣の五浦海岸が示す通り、浜辺というより崖が海にどーんと突き出す特徴の流れをくんでいる。そのため相模屋の背後は崖。崖の前のスペースが駐車場になっていた。建物は中も外もかなり新しかった。東日本大震災の後にリニューアルしたという文章を見かけた記憶がある。
チェックインをすませて案内された部屋は1階の、小さめの畳ながらも10畳が確保された和室。こたつとエアコンで暖房はばっちり。金庫あり、冷蔵庫なし。
窓の外は残念ながら駐車場。海を眺めてどうこういう感じではない。トイレ・洗面は共同だが、新しくてきれいで他者とかち合う可能性も低いから問題なし。洗面台にはハンドタオルの入った壺が置かれ、手を拭いたタオルは別の壺に入れて回収してもらうシステム。
部屋に入ってすぐのところや、あるいは廊下に、ちょっと気の利いた飾りつけをしてあって華を添えている。丁寧に大事に管理されているという印象を受けた。
天然かけ流しのガツンとくる温泉
プチ貸し切りで楽しもう
さて風呂である。場所は1階奥のつきあたり。小ぶりだから1組ずつ時間を融通しあって入ることになる。予約制ってわけじゃないし、扉に「空き/使用中」の札もないし、浴室の電気は消さないでくれとの張り紙がしてあるから、扉の前にスリッパを脱ぎ置いて「使用中」の意思を示すのがよかろう。宿の規模を考慮すると風呂が混み合って困ることはないと思う。少なくとも当日は入りたい時にふらっと行ったらいつでも空いていた。
脱衣所も浴室も3名で一杯になるサイズ。団体さんがどっと来る宿じゃないから、まあ十分だろう。壁の分析書には「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、高張性、弱アルカリ性、高温泉」とあった。高張性の高温泉か、こいつはガツンときそうだぜ。
カエルが鎮座する湯船
浴室に入った瞬間、モワっと包み込む湯気の中にアブラ臭を感知した。ほほう。つかみはOKですな。洗い場に目をやるとカランが2つ。そして左隅の方に四分円の扇形をした岩風呂風の浴槽があった。2名分のサイズ。一番隅っこにカエルの置物がちょこんと座る湯口があり、お湯がチョロチョロと投入されていた。では入ってみよう…うあ熱ーーーっ! ちょ、これは熱いぞ。
だが手も足も出ない熱さではない。ざぶんと入れないだけであって、少しずつゆっくり体を沈めることはできるし、いったん肩までつかってしまえばすぐに慣れて、結構そのままでいられる。
短く、多く入りたい
お湯の見た目は濁りなしの無色透明。ヌルヌル感はなくさらっとしている。お湯をすくって鼻を近づけると最初に感知した弱いアブラ臭が蘇ってきた。個人的にはぬる湯が好みだが、熱さに慣れてしまった後なら、これはこれでよい。民宿相模屋のホームページによれば、天然温泉100%かけ流しだそうだ。熱めの高張性だからあんまり粘るもんじゃない。長湯するくらいなら入浴回数でカバーすべきだ。てなわけで夕方2回、夜1回、朝1回入った。あれ? 朝は2回だったっけ? 湯口のカエルもあきれてることだろう。
あんこう鍋のキング・どぶ汁を食す!
前座がすでに主役級の海鮮てんこ盛り
相模屋の食事は朝夕とも2階の広間で。部屋ごとに決まった卓が割り当てられる。夕食は18時、朝食は7時半すぎだった。夕食は温泉と並ぶメーンイベント。漁港の町だから期待で気分が盛り上がる。スターティングメンバーがこれ。きときと感あふれるお造りがヤバイ。別途すき焼き鍋があるから肉方面も抜かりはない。
しかも驚いたことに、途中でノドグロの煮付けが出てきた。このあたりだとキンキじゃないかという気もするが(1年前の北茨城・湯の網温泉で食べた)、たしかノドグロって言ってたと思う。
ノドグロにせよキンキにせよ日常生活ではあり得ない高級魚である。それが出てくるってのがサプライズ。しかもこの大きさ。相模屋…恐ろしい子!(白目)。
超濃厚どぶ汁のお出まし
これ1尾でもうお腹いっぱいだが、続いていよいよ真打ち登場。あんこう鍋、しかも「どぶ汁」というスペシャルバージョンだ。どぶ汁とは、寄せ鍋の具にあんこうを使うなんていう生易しいもんじゃない。まず汁が違う。あん肝がドドンと投入されているうえ、水を使わず野菜とあんこうの水分でカバーするから、超濃厚なドロドロのあん肝スープになっている。
しかもこのときの鍋は野菜といえばネギ程度。どこまでもあんこう一色なのだ。
※予約時にどぶ汁コースをお願いした時に「野菜は入らないけどいいですか」と確認されてたので、野菜なしは当方も承知の上。
あんこうまみれの夜
あん肝スープの中に、いくら食べてもなくならないと思うほどにゴロゴロ転がってるあんこうのぶつ切り。こりゃあとんでもない量だぞ。ゼラチン質たっぷりの独特の食感と味覚を楽しみつつ、ひたすら食べ進む。もぐもぐもぐもぐ…おいしいカニを食べるときのように皆、口数が減ってきた。もぐもぐもぐ、黙々黙々、もぐもぐもぐ、黙々黙々…と、そこへ、追加であんこうの唐揚げが一皿出てきたではないか。もォあんこォォォーーーー!!
…ふう、食った食った。で、締めはあんこうおじや。すでにお腹パンパンであったが、濃厚あん肝スープをおじやでいただかずにギブアップしては一生悔いが残る。チャクラを開いて胃袋を覚醒させ、最後まできっちり味わい尽くしたのであった。
朝はさっぱりと
朝食はサバの和定食。前夜たらふく食べたので全然空腹ではなかったが、米がうまいしおかずと合うし、なんだかんだいってそれなりに食べた。鍋は豆腐を投入した豆乳鍋。魚料理に夢がある宿
いやいや夢のような一夜だった。憧れのあんこう鍋、しかもどぶ汁バージョンを食すことができて大満足である。それでいて料金はグッとお高いわけでもない。心なしか鵜ノ子岬も喜んでいるようだ(写真は福島県側の勿来港から撮ったもの)。温泉宿の紹介のつもりが、さすがにあんこうの印象が強烈すぎて、そっちに寄っちゃったなあ。ホームページにあるウニの貝焼きとか岩牡蠣・アワビ・平潟浜飯の写真もインパクトある。季節を問わず魚料理に夢がある宿だ。
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