ゆとりの楽園「板橋天然温泉 スパディオ」で首痛を治した件

板橋天然温泉 スパディオ
2018年の正月気分がまだ抜けきらない休日。寝違えてしまったみたいで首が痛い。空を見上げる姿勢を取ることができなくなっていた。こいつはもう温泉に入って治すしかない、さくっと東京近辺の日帰り温泉施設に行ってみるか。…けど今日はどこへ行っても激混みなんだろうなあ。萎えるわー。

評判が良くて満足できるお風呂、かつゲンナリしない程度の人口密度で過ごせるところ、そんな都合の良いところはないものか。口コミから探してみると、ちょっとお高いけど、見つけた。それが板橋天然温泉スパディオだ。

行ってみるとたしかにその通りだった。人混みを気にせず、良い風呂に入り、館内で1日ゆったり過ごすことができたので満足である。首の痛みも治まった。

板橋天然温泉スパディオへのアクセス

スパディオの最寄り駅は都営地下鉄三田線の板橋本町。北西寄りの出口を出て、中山道の大通りをちょっとだけ北上すると、セブンイレブンのところから斜めの細い道が伸びている。その道を徒歩10分弱。

住宅の密集する細い路地だから「ここでいいのか?」と不安になるけど、己を信じて直進すべし。

信じる者は救われる。やがて下のようなスパディオの出入口に出会うはずだ。車で行く場合は事前によく下調べしてナビを活用するのが無難。建物の1階が駐車場になっている。
スパディオの出入口
なお、三田線西台駅と東武東上線ときわ台駅から無料送迎バスが、おおむね1時間に1本出ている。


常連になるほどおトクな仕組み

入館するとまず目に入るのがエスカレーターと階段。1階は駐車場スペースだから受付や浴場その他の施設は2階以上にあるのだ。日帰り温泉で館内にエスカレーターがあるところは結構珍しいんじゃないだろうか。
スパディオ入口のエスカレーター
2階へ上がって下足箱に靴をしまい、鍵をかけた後、受付で鍵を預けて料金を支払う。大人2200円(バスタオル・フェイスタオル・館内着付き)。うん、お高いね。それは承知の上で来ている。

しかし入会費500円+年会費500円の会員になると、平日1360円・土日祝1780円で利用できる。年に複数回利用するなら会員になるとお得だ。また夜18時以降は夜間料金1360円となる(ただし非会員は館内着が付かない)。

あるいは、スパディオのホームページの「Webクーポン」を印刷するか画面を提示すると、祝日を除く月~土に限り1780円となる。ほかにポイントも貯まるみたいだし、よく利用する人は割安になる仕組みがいろいろとある。


良質のお湯をじっくり楽しめる好環境

期待通りの“のんびりムード”

受付で腕輪を受け取った後、暗証番号式のミニロッカーに貴重品を入れて3階の大浴場へ行った。掲示された分析書には「含よう素-ナトリウム-塩化物強塩温泉、高張性、弱アルカリ性、温泉」とあった。高張性だし濃ゆそうね。

男湯の脱衣所にはたくさんのロッカーが並ぶ。腕輪に鍵が付いており、書かれた番号のロッカーを利用する方式。

浴室に入ると10名ほど先客がいた。ガラガラではないが混み合ってもいない。場所の取り合いが起こりそうもない平和な人口密度は期待通りのしてやったり。こいつは春から縁起がいいわえ。

余裕を持って入れるアブラ臭の内湯

右手にたくさんのカランが並ぶ洗い場。空きがなくて待たされることはまずないだろう。中央のメイン浴槽には黄色っぽい温泉が投入されている。LEDパネルには40℃と表示されていた。

それではとメイン浴槽に突撃。クリアな黄褐色のお湯は表示通りの適温で入りやすい。とくにヌルヌルした感触はなく、この泉質によくみられる甘い木材系アブラ臭がした。

湯船は十分な広さで15人までは楽にいけるだろう。そこに多いときでも4人くらいしか入ってないから余裕ありまくり。窮屈さとは無縁だ。首痛を鎮めるのが目的だから、首までがっつりお湯に沈めて血行を促すイメージで、しばらくつかっていた。

噴き出す! ジェットバス四天王

メイン浴槽の右手には水風呂とサウナ。そしてもっと奥に4種類のジェットバスが並んでいる。ものは試しでちょっとずつ入ってみた。

1つ目は「うきうき風呂」という3名分の寝湯。ボタンを押すと、下からものすごい勢いでジェット流が発生して、その勢いで身体が浮いちゃう。アトラクション要素が強いね。

2つ目は「エステバス」。1人用で、はっきりと「人気アトラクションなのでお一人様10分以内でお願いします」と書かれている。前方からものすごい勢いのジェットが噴き出す中へ立ったまま入る。腿やお腹周りの気になる箇所へジェットを当てるものらしい。

3つ目は「リラックスバス」。ものすごい勢いのジェットバスにしゃがんで入る。勢いがありすぎて肌がヒリヒリと赤くなってしまった。こりゃいかん、と逃げるように出た。でも人気はあるようで、いつも人の姿が絶えないように見える。

4つ目は「ローリングバス」。スタンダードなジェット寝湯に最も近い形態がこれ。しかしやはりものすごい勢いの噴流。うわあ、いかんいかん。ジェット系は全般にどれも自分には勢いが強すぎて肌がかゆくなってしまう。なお、それらの浴槽はすべて白湯であった。

露天+温泉+泡=スカイジャグジー

加えて露天エリアもある。面白いのが温泉を投入した「スカイジャグジー」。細かい気泡と温泉が入り混じって、不透明のピーナッツクリーム色を呈している。こちらは内湯のジェットほどの勢いはないし、噴き出し口を避けた位置に陣取ることもできる。

表面に浮いたビールのような泡が身体にまとわりつき、はじけた泡が炭酸飲料のように顔にぶつかってくる。お湯は温泉だしぬるめで露天。青空の下で気分爽快に楽しむことができた。冬でも寒くはなかった。

ここは各自「誰もいなければ入る」という調子で交互に利用してたけど、やろうと思えば3~4名は同居可能。

つい長湯してしまった、ぬるめの露天風呂

そして真打ちの露天風呂。ここも余裕たっぷり。10人いけるところに多くて3人くらいしかいない。40℃を切る好みのぬるめ温度が心地良いし、こりゃいいや。長湯をするならここでしょう。屋根付きだから雨天・真夏もいいのでは。

露天風呂のお湯は赤褐色で、濁りはなくても濃い色だから、底が見えにくい感じになっていた。匂いは内湯と同様で若干土っぽい匂いもあったような。あと小さいカスのようなものが浮遊している。入浴者から出たものだとアレだが、源泉投入後に析出する湯の花とのことだ。それなら歓迎。

高張性なので適度に休憩を挟むべきところ、ぬるめが気持ち良くて長めにつかったため、出る時に立ちくらみがするというお決まりのパターンをやらかしてしまった(倒れるなどのトラブルは起こしてません)。効いたぜ。


リラックスして1日を過ごすには最適

休憩と食事も抜かりなし

スパディオの3階にはTV付きリクライニングシートが並ぶリクライナールームもある。のぞいてみるとシートは多数あるから、空席探しに右往左往させられることはなさそうだ。

2階には食事処。風呂上がりにビールと常陸秋そばをいただいた。うーん、最高ですな。ここも席とスペースに余裕があり、ぼっちの肩身が狭かったり相席にさせられたりする危険は皆無と思われた。料金は腕輪の番号を記録して出場時に一括精算。自販機も腕輪のバーコードで買える。

2階はほかに椅子の休憩コーナーがある。正面に大きなテレビが1台、雑誌や漫画も多少置いてある。一角では軽食を売っているから、おやつをつまんだりコーヒーをすすりながら椅子でまったりできる。ちょっと座ってみたらいつのまにか眠ってしまった。

結局この日は風呂→食事→休憩→風呂で4時間近くいた。いずれもこの時期にしてはゆったりとストレスなく過ごすことができたのは大きな収穫だった。住宅街のもと来た道をてくてく歩いて帰る。
スパディオ付近の道路

いい温泉なのに混まないという夢のような話

スパディオに客が殺到してないように見えるのは決して温泉・施設・サービス面のせいではない。それらの点は満足以上の水準だったから、やはりお高めってのがあるんだろう。

また、都内の日帰り温泉といえばいの一番に名前があがる人気スポット「さやの湯処」が近くにあるため、客がそちらへ流れている可能性もある。そっちはきっと大変な混雑だったんだろうな。

人出の多そうな休日にもかかわらず、これほどのレベルの温泉をゆったり利用させてもらえるなんて、まったくありがたい話だ。個人の勝手な願望をいえば、スパディオさんにはぜひ商売的に利益を上げてもらい、持続可能な成長をしてもらいつつ、この精神的余裕という別次元のクオリティを維持してもらいたいものである。