日本三大瀑布に数えられる茨城県・袋田の滝。2018年最初の温泉旅行となる茨城冬紀行の1泊目が、この滝の近くにある袋田温泉「思い出浪漫館」だった。いかにも乙女チックな名前の旅館におっさんグループが泊まってしまうという暴挙に出たわけである。
実のところ我々も、当初は「変に浮いちゃったりしてね」「お呼びでないかも」などと気後れするところがあったのだが、結果的には問題なかったし、あれこれ考えて候補から外すなんてことをしなくて正解。なかなか満足させてくれる宿だったのだ。
おじさんグループだからロマンチックとはいえないまでも、いい思い出になった。
思い出浪漫館は国道118号を外れて袋田の滝へ向かう道の途中にある。我ら一行は先に袋田の滝や月待の滝を観光した後で当宿へやって来た。
もし鉄道利用の旅なら、JR水郡線・袋田駅が最寄りだ。列車の本数が少ないのでアドリブで効率よく移動するのは難しい。事前に時刻表をよく調べておこう。袋田駅からは宿が送迎の車を出してくれる。あるいは袋田の滝へ行く路線バスもある。あるいは20分かけて徒歩でも行けなくはない。
すぐにハイヤーの運転手ぽい格好のホテルマンが近寄ってきた。その出で立ちは執事風でもあり、いかにも浪漫成分多め。玄関から正門へのびる通路を指して、「夜はライトアップされてきれいですよ」とのこと。すすめてくれたにもかかわらず、おじさん達の夜は風呂と酒で終わってしまったが、カップルなんかは見に行くと盛り上がるのでは。
さっそくフロントまで案内してもらいチェックインをすませた。ロビーのつくりも浪漫あふれるデザイン。この場に似合う客層は、カップル・女子旅・結婚式の出席者あたりだろう。大丈夫か、我々。
もともと若干お安めの駐車場側の部屋を予約していたのだが、当日の空室状況をみて気を利かせてくれたのか、川側の部屋だった。ナイスだ浪漫。窓の向こうはのどかな山里の景色が広がる。眼下には袋田の滝を経て久慈川へと注ぐ滝川の流れ。
大浴場は2箇所に分かれている。メインの浴場と、少し離れた場所にある渓流露天風呂だ。まずは明るいうちにと渓流露天風呂へ行ってみた。
館内からサンダルに履き替えていったん外へ出る。川が近くて風が冷たい。10秒くらい歩いた先にある別の小屋へ急いで入った。小屋の中に男湯女湯の入口がある。脱衣所の分析書には「アルカリ単純温泉、低張性、アルカリ性、温泉」とあった。
見た目は無色透明で特徴的な匂いもないけれども、宿のイメージには合ってる気がする。思い出浪漫でクセのあるドギツい特徴っていうんじゃ、なんかね。ここではやさしいお湯にゆっくりつかりたい。
すぐ近くを川が流れており、高さも同じくらいなので、いい具合の川見風呂となる。源泉かけ流しのお湯は浴槽から溢れると少し河原を走って、いったんパイプに集められて通り抜けた後、川へ注ぎ込んでいる様子が見えた。
川の向こう岸には木や竹が生い茂り、不完全ながら、対岸からの目隠しの役割を果たしている。翌朝入浴したときには木の枝に大きめの鳥がとまっていたし、風呂の岩のところにチドリっぽい小鳥がやって来ていた。自然の中という気分でよろしい。
入ってみると熱めだった。ゆっくり長湯するわけにはいかないので休憩をはさみながらどうぞ。温泉はやっぱりキリッと熱くないとねという人向け。一面ガラス張りの下半分がハーフミラーになっており、景色を見通せないかわりに湯船が鏡に映って心理的に広い印象を与える。
しかしこちらは寝湯ができる。6~7名規模の露天浴槽の半分が浅めに作られており、寝湯をどうぞというあからさまな仕掛けはないものの、タオルを枕にして寝る体勢は作れる。お湯も内湯ほど熱くはないから入りやすい。
紅葉シーズンとか連休中だとまた違うのかもしれないけど、この日はどの風呂も他の客が1~2名程度で、独占状態になることもしばしばだった。のびのびできて大変よかった。これだから混雑ピーク外しの方針はやめられませんな。
続いてお造り。皿は2人分。奥久慈は山のイメージだけど、距離的には太平洋もそう遠くはないから、現代の交通事情なら魚介類も売りになるんだろう(想像)。このあと出てきた鍋も海鮮鍋だった。
途中で「料理長からの一品」として天ぷらが出てきた。サプライズ出しとは浪漫だね。熱いうちにいただこう。うむ、うまいっす。旅の全般を通じて、茨城は素の食材からうまいという認識を持った。
鍋の後にビーフシチューてのがまた浪漫。米もうまいし食べ過ぎでお腹が苦しい。オプションで奥久慈しゃもや常陸牛のつくプランがあり、その方が旅情感も増すけど、完食できるんだろうか…。
やさしいお粥がありがたい。あと豆腐がうまい。これだけは2回取りに行ったくらい。茨城県北地域はあちこちにりんご園が見られて特産品であるようだったので、ジュースは久慈りんごジュースを選んでみた。
現地で冷静に観察すれば、なにもキラキラした客層ばかりじゃない(悪い意味はありません、地に足の着いたとお見受けする方々という意味)。普通に、いい温泉とおいしい食事の手堅いホテル、って認識でいいんじゃないかな。
実のところ我々も、当初は「変に浮いちゃったりしてね」「お呼びでないかも」などと気後れするところがあったのだが、結果的には問題なかったし、あれこれ考えて候補から外すなんてことをしなくて正解。なかなか満足させてくれる宿だったのだ。
おじさんグループだからロマンチックとはいえないまでも、いい思い出になった。
袋田温泉「思い出浪漫館」へのアクセス
今回の旅は車での移動となった。東京方面から袋田温泉へは常磐道・那珂ICから国道118号を北上すればよい。あるいは高萩ICから山越えしつつ西進するルートも考えられる。思い出浪漫館は国道118号を外れて袋田の滝へ向かう道の途中にある。我ら一行は先に袋田の滝や月待の滝を観光した後で当宿へやって来た。
もし鉄道利用の旅なら、JR水郡線・袋田駅が最寄りだ。列車の本数が少ないのでアドリブで効率よく移動するのは難しい。事前に時刻表をよく調べておこう。袋田駅からは宿が送迎の車を出してくれる。あるいは袋田の滝へ行く路線バスもある。あるいは20分かけて徒歩でも行けなくはない。
思い出浪漫館の大正ロマンな館内
おじさん集団、浮く?!
思い出浪漫館の駐車場に車を置いて正面玄関の前に立つ。赤レンガの外壁や全体の雰囲気が大正ロマン風を感じさせる。すぐにハイヤーの運転手ぽい格好のホテルマンが近寄ってきた。その出で立ちは執事風でもあり、いかにも浪漫成分多め。玄関から正門へのびる通路を指して、「夜はライトアップされてきれいですよ」とのこと。すすめてくれたにもかかわらず、おじさん達の夜は風呂と酒で終わってしまったが、カップルなんかは見に行くと盛り上がるのでは。
さっそくフロントまで案内してもらいチェックインをすませた。ロビーのつくりも浪漫あふれるデザイン。この場に似合う客層は、カップル・女子旅・結婚式の出席者あたりだろう。大丈夫か、我々。
部屋は普通。きれいで良好
そんな心配をよそに、やさしく丁寧なスタッフに案内された部屋は、とくに浪漫を強調したわけでもないポピュラーな和室。部屋が尖りすぎてなくノーマルなのはかえってよかった。10畳あって十分な広さだし、きちんと管理されていて清潔感もあり、好感が持てる。もちろんきれいな洗面とシャワートイレ付き。もともと若干お安めの駐車場側の部屋を予約していたのだが、当日の空室状況をみて気を利かせてくれたのか、川側の部屋だった。ナイスだ浪漫。窓の向こうはのどかな山里の景色が広がる。眼下には袋田の滝を経て久慈川へと注ぐ滝川の流れ。
浪漫なイメージに合う温泉
離れの小屋にある渓流露天風呂
もともと温泉目当ての旅行なので、やることといえば風呂に入るしかない。てなわけでさっそくゴー。思い出浪漫館のフロントは2階にあって1階が大浴場になっている。数々の名泉がそうであるように、川べりから源泉が湧いてるパターンだな、きっと。大浴場は2箇所に分かれている。メインの浴場と、少し離れた場所にある渓流露天風呂だ。まずは明るいうちにと渓流露天風呂へ行ってみた。
館内からサンダルに履き替えていったん外へ出る。川が近くて風が冷たい。10秒くらい歩いた先にある別の小屋へ急いで入った。小屋の中に男湯女湯の入口がある。脱衣所の分析書には「アルカリ単純温泉、低張性、アルカリ性、温泉」とあった。
川がすごく近い、ぬるめの露天風呂
ここは詰めれば15人くらいいけそうな岩風呂。洗い場はない。どこかに掲示があったのか、詳しくは忘れてしまったが、39℃のお湯というメモが手元に残っている。入ってみるとたしかにややぬるめ。ぬる湯が好きだからちょうどいい。見た目は無色透明で特徴的な匂いもないけれども、宿のイメージには合ってる気がする。思い出浪漫でクセのあるドギツい特徴っていうんじゃ、なんかね。ここではやさしいお湯にゆっくりつかりたい。
すぐ近くを川が流れており、高さも同じくらいなので、いい具合の川見風呂となる。源泉かけ流しのお湯は浴槽から溢れると少し河原を走って、いったんパイプに集められて通り抜けた後、川へ注ぎ込んでいる様子が見えた。
川の向こう岸には木や竹が生い茂り、不完全ながら、対岸からの目隠しの役割を果たしている。翌朝入浴したときには木の枝に大きめの鳥がとまっていたし、風呂の岩のところにチドリっぽい小鳥がやって来ていた。自然の中という気分でよろしい。
熱めのメイン内湯
夜はメイン浴場へ。こちらは内湯と付属露天風呂からなる。洗い場は11名分あるから空かなくて困ることはない。内湯浴槽は5名+5名規模の2区画構成。真ん中に湯口があって結構たくさんドボドボと両区画へ投入されている。加水はしてないそうだ。入ってみると熱めだった。ゆっくり長湯するわけにはいかないので休憩をはさみながらどうぞ。温泉はやっぱりキリッと熱くないとねという人向け。一面ガラス張りの下半分がハーフミラーになっており、景色を見通せないかわりに湯船が鏡に映って心理的に広い印象を与える。
寝湯ができるメイン付属の露天風呂
露天風呂は建物の内側に位置するから天井付きになる。川側の壁が取っ払われて半露天になってる感じ。目隠しの柵もあるから、見晴らしの良さと開放感では渓流露天風呂に軍配が上がる。しかしこちらは寝湯ができる。6~7名規模の露天浴槽の半分が浅めに作られており、寝湯をどうぞというあからさまな仕掛けはないものの、タオルを枕にして寝る体勢は作れる。お湯も内湯ほど熱くはないから入りやすい。
紅葉シーズンとか連休中だとまた違うのかもしれないけど、この日はどの風呂も他の客が1~2名程度で、独占状態になることもしばしばだった。のびのびできて大変よかった。これだから混雑ピーク外しの方針はやめられませんな。
おいしい食材と量たっぷりの食事
料理長からの一品もある夕食
思い出浪漫館の食事は朝夕とも2階の食事処で。夕食はお品書きが添えられる会席コース。オプションなしの標準メニューだったけど量はたっぷり。スターティングメンバーがこれ。食前酒は久慈の山梅酒。蓋付き茶碗の中身は蕎麦の実とろろ。続いてお造り。皿は2人分。奥久慈は山のイメージだけど、距離的には太平洋もそう遠くはないから、現代の交通事情なら魚介類も売りになるんだろう(想像)。このあと出てきた鍋も海鮮鍋だった。
途中で「料理長からの一品」として天ぷらが出てきた。サプライズ出しとは浪漫だね。熱いうちにいただこう。うむ、うまいっす。旅の全般を通じて、茨城は素の食材からうまいという認識を持った。
これは日本酒いくしかないでしょう
続いて鮎の塩焼き、海鮮しゃぶしゃぶ鍋と来たあたりで日本酒が欲しくなった。3種飲み比べセット的なものを注文。7種類のうちから3種類を選べる。銘柄には疎いので、濃醇⇔淡麗/甘口⇔辛口の見取り図を参考に、あえて互いに傾向の異なる滝見酒・富久心・大観を。鍋の後にビーフシチューてのがまた浪漫。米もうまいし食べ過ぎでお腹が苦しい。オプションで奥久慈しゃもや常陸牛のつくプランがあり、その方が旅情感も増すけど、完食できるんだろうか…。
いろいろ選べる朝食バイキング
朝はバイキング方式。和洋たくさんの種類を取り揃えてあるから自由度は高い。ふだん朝からそんなに食べないし、前の晩に食べ過ぎなくらい食べた影響もあって、しみったれた取り方になってしまった。やさしいお粥がありがたい。あと豆腐がうまい。これだけは2回取りに行ったくらい。茨城県北地域はあちこちにりんご園が見られて特産品であるようだったので、ジュースは久慈りんごジュースを選んでみた。
おじさんも迷わず行くべし
いやあ、浪漫成分多めで結構結構。旅行前は宿名に気後れするところもあったが、袋田温泉で検索するとだいたい真っ先にヒットするし、口コミ評価も全般に高かった。変に考えすぎて回避するなんて判断をしてたら、実にもったいないところだった。現地で冷静に観察すれば、なにもキラキラした客層ばかりじゃない(悪い意味はありません、地に足の着いたとお見受けする方々という意味)。普通に、いい温泉とおいしい食事の手堅いホテル、って認識でいいんじゃないかな。
※この時の思い出があったおかげで4年後にまた泊まった。