一人旅の大型企画「晩秋のぬる湯三昧」が2日目を迎え、舞台は群馬から新潟へ…。なんと、国境の長いトンネルを抜けると雪国だった! 頭の中が白くなった。越後湯沢に新幹線が止まった。
今宵泊まるのは温泉にハマるきっかけとなった1年前の旅行の宿泊先・貝掛温泉。思い出の宿を再訪するのだ。この旅は原点に帰る旅でもある。
うーん、やっぱりここの温泉はいい。極上のぬる湯だ。加えて美味なる上に食べ切れないほどのご馳走。美しい思い出が美しいままに再びそこにあるのがうれしかった。
さて、停留所の目の前に旅館があるわけじゃない。ここから10分ほど歩く必要がある。雪のない時期は木立の中をショートカットする遊歩道を行くか、若干遠回りの車道を行くか、どちらかを選べるが、遊歩道側に猿が出没するのを前回見てしまった。自分なら車道を行くだろう。
坂に続いて貝掛橋という、車両のすれ違いが不可能な狭い橋を渡り、その先に一軒宿の貝掛温泉があった。下の写真はチェックイン後に徒歩で貝掛橋まで行ってみたときのもの。
貝掛橋の上から見る清津川の清流が見た目にも気持ち良い。山の秘湯に来たんだなという気分が盛り上がる。
続いて案内された部屋は2階奥の6畳間。トイレ・洗面は共同。お一人様はこの棟のトイレなし6畳間を割り当てられる模様(※楽天トラベルを見たらトイレ付きお一人様部屋の設定ができたみたい。平日限定だろうけど)。
ファンヒーターで暖房ばっちり。テレビ・金庫・空の冷蔵庫など一通りは揃っており、室内はきれいに掃除され、きっちり整理整頓されているから、秘湯の宿といいながらも非常に洗練された印象を受ける。
窓の外はファンタスティックな雪景色。もうカメムシの季節は終わったかと思えば宿泊中に4匹ほど遭遇した。丁重にガムテープで貼ってくるんでゴミ箱へお連れした。天井が高いから電灯のところでブンブンされるとやっかいである。
浴室は天井が高くて広く感じる。洗い場のカランは5つだったかな。シャンプーなんかを置く台の位置が妙に高い。
源泉かけ流しのお湯は無色透明。手ですくって鼻を近づけるとたしかに食塩泉ぽい匂いがする。そして37℃のぬる湯が実に絶妙だ。ちょうど体温と同じくらい、のぼせて上がりたくなるほど熱くもなく、ゾクッとくるほど冷たくもなく、文字通りいつまでも入っていられるのだ。
加えて豊富な泡付きが素晴らしい。前泊地の松の湯温泉・松渓館も泡がすごかったが、こちらも負けてはいない。あちらよりも大きめの泡が腕にも足にも腹にもびっしり。いやまいったね。
できれば湯口の近くが良い。湯口に近いほど泡付きがすごくなる気がする。
苗場や三俣のスキー場が近い立地とはいえ、この時期の積雪は結構早いのではないか。おかげで露天風呂の周囲は真っ白に染まり、図らずも雪見風呂となった。越後湯沢駅に着いたときは、とんでもない日に来てしまった・やべえ~と焦ったが、予期せぬ雪見風呂を楽しめたからむしろ幸運というべきか。
メインの岩風呂の隣に4名規模の小さい露天風呂も用意されている。こちらはやや熱めの加温槽である。内湯と同じく脇役的な扱い。
ぬる湯にじっくりつかっているのがどうにも心地良い。なんだかんだで大浴場に1時間はいたと思う。なお自分以外の客は10名ほど。空いてはいないが混雑感もない。
このときは利用したタイミングが良かったのか、自分以外の客がごく少なかったり独占状態が30分くらい続いたりして、貸し切りに近い気分で非常にのんびりできて良かった。
また、夕方の経験から「貝掛温泉の真の醍醐味は内湯なんじゃないか」と見当をつけていたので、内湯メインに注力するようにした。みなさんこぞって露天へ流れる中で孤高を守り、内湯浴槽の縁に取り付けられた木製のくぼみに頭を置き、寝湯風の体勢で泡粒に包まれる。サイコーですな。
ちょうど、街を歩いているとはるか遠くの野外コンサートの響きが風に乗って届いた、というくらいの感覚。こいつがまたいい塩梅で気分をリラックスさせてくれるのだ。
絶妙のぬる湯・源泉かけ流し・豊富な泡付き・寝湯体勢・遠くの演奏…ああ極楽極楽。何十分が経とうとも出られない。おそるべし貝掛温泉。
夕食は手の込んだ会席風。食材は山の幸系を使った滋味深いものばかり。そしてどれもこれもうまい。
序盤のウリは鍋を固形燃料で温めて食べる貝掛名物・薬膳玄米粥だ。お粥の中に穀類・豆類・野菜が入っている。こいつはヘルシー食材のハーモニーや~。
続いて中盤は岩魚の塩焼きやチェックイン時に別注で頼んだ土瓶蒸し。酒が進む進む。ちなみにオーダーしたお酒は前回と同じく上善如水・八海山・鶴齢の利き酒セット。やっぱりこの中では鶴齢が好みだなあ。
終盤の主役は南魚沼産の中でも評価が高いという塩沢のコシヒカリ。新米なんだろうから、おかわりするくらいじゃないと、もったいない。いきましたよ2杯。普段食べてる米にはない香りだし段違いにうまい。
最後はコシヒカリアイスで締め。いやーもう満腹満足。あの温泉の後にこの夕食は、いい意味で本当にやばいね。
途中で栃尾の油揚げが出てきた。長岡の栃尾地区の名物として知られるビッグな油揚げだ。決して厚揚げではない。和製フランスパンとでもいうべき、外はパリッと、中はサクッと、よーく噛まないと噛み切れない歯ごたえがある。ネギと醤油でよく引き立ちますなー。
そんなわけで朝から食べすぎてしまった。
加えて今回は思いがけず雪が重なって、いい感じの情緒を味わうこともできたし雪見風呂も楽しめた。再訪による新たな発見であった。
ああ、あの極上のぬる湯は本当に良かったなあ…美しさを増した思い出に浸りつつ、チェックアウトの際にもらった貝掛温泉特注版のワンカップ鶴齢を飲むとしよう。
(参考)2018年・貝掛温泉 再々訪記
(参考)2019年・貝掛温泉 4回目
【この旅行に関する他の記事】
今宵泊まるのは温泉にハマるきっかけとなった1年前の旅行の宿泊先・貝掛温泉。思い出の宿を再訪するのだ。この旅は原点に帰る旅でもある。
うーん、やっぱりここの温泉はいい。極上のぬる湯だ。加えて美味なる上に食べ切れないほどのご馳走。美しい思い出が美しいままに再びそこにあるのがうれしかった。
貝掛温泉へのアクセス
遊歩道を行くか、車道を行くか
貝掛温泉へはまず上越新幹線で越後湯沢まで行く。駅前から西武クリスタル行きのバスで約25分、貝掛温泉停留所で降りる。バスは2時間に1本レベルなので列車との接続はよく調べておいたほうがいい。さて、停留所の目の前に旅館があるわけじゃない。ここから10分ほど歩く必要がある。雪のない時期は木立の中をショートカットする遊歩道を行くか、若干遠回りの車道を行くか、どちらかを選べるが、遊歩道側に猿が出没するのを前回見てしまった。自分なら車道を行くだろう。
秘湯へ続く貝掛坂と貝掛橋
今回、辺りはもう雪景色となっており、バス停を降りたら送迎の車が待っていたので乗り込んだ。車は消雪装置からの水が路面を覆う急な貝掛坂を下る。道は凍結してないと思うけど、見るからに歩くのは無謀だ。坂に続いて貝掛橋という、車両のすれ違いが不可能な狭い橋を渡り、その先に一軒宿の貝掛温泉があった。下の写真はチェックイン後に徒歩で貝掛橋まで行ってみたときのもの。
貝掛橋の上から見る清津川の清流が見た目にも気持ち良い。山の秘湯に来たんだなという気分が盛り上がる。
秘湯ながら洗練された館内
チェックインするとロビーの囲炉裏風テーブルに案内され、メグスリノキのお茶をふるまわれた。目に効くらしい。ここ貝掛温泉は「目の温泉」というサブタイトルを冠しており、温泉成分がよく目に効くとのことで、このお茶も温泉のイメージに合わせたコーディネートと思われる。続いて案内された部屋は2階奥の6畳間。トイレ・洗面は共同。お一人様はこの棟のトイレなし6畳間を割り当てられる模様(※楽天トラベルを見たらトイレ付きお一人様部屋の設定ができたみたい。平日限定だろうけど)。
ファンヒーターで暖房ばっちり。テレビ・金庫・空の冷蔵庫など一通りは揃っており、室内はきれいに掃除され、きっちり整理整頓されているから、秘湯の宿といいながらも非常に洗練された印象を受ける。
窓の外はファンタスティックな雪景色。もうカメムシの季節は終わったかと思えば宿泊中に4匹ほど遭遇した。丁重にガムテープで貼ってくるんでゴミ箱へお連れした。天井が高いから電灯のところでブンブンされるとやっかいである。
極上のぬる湯がたまらない
広々とした大浴場
さあいよいよ思い出の1階大浴場へ。時間によって男女が入れ替わり、この日の夕方は左手が男湯。日帰り入浴向けに入口付近には大きなロッカーがあるし脱衣所には小さな貴重品ロッカーがある。壁の分析書には「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、低張性、弱アルカリ性」とあった。浴室は天井が高くて広く感じる。洗い場のカランは5つだったかな。シャンプーなんかを置く台の位置が妙に高い。
絶妙の湯加減と豊富な泡付き
まず10名以上いけそうな規模の内湯メイン浴槽に入ってみた。おほほ、こんな感じ、こんな感じ。思い出通りの感触にニンマリ。源泉かけ流しのお湯は無色透明。手ですくって鼻を近づけるとたしかに食塩泉ぽい匂いがする。そして37℃のぬる湯が実に絶妙だ。ちょうど体温と同じくらい、のぼせて上がりたくなるほど熱くもなく、ゾクッとくるほど冷たくもなく、文字通りいつまでも入っていられるのだ。
加えて豊富な泡付きが素晴らしい。前泊地の松の湯温泉・松渓館も泡がすごかったが、こちらも負けてはいない。あちらよりも大きめの泡が腕にも足にも腹にもびっしり。いやまいったね。
できれば湯口の近くが良い。湯口に近いほど泡付きがすごくなる気がする。
加温浴槽はサブ的に
メイン浴槽の隣には3~4名規模の加温浴槽がある。ちょっと体を温めたいフェーズや最後の仕上げで軽く入る客が多い。源泉かけ流しではないし、あくまでも脇役的な位置付けだ。露天で雪見風呂
お次は露天風呂へ。風情ある提灯が下げられた岩風呂は詰めれば20人いけるんじゃないのという広さ。内湯メイン浴槽と同じく源泉がジョボジョボっとかけ流しになっている。ただし泡付きは若干弱いように思えた。苗場や三俣のスキー場が近い立地とはいえ、この時期の積雪は結構早いのではないか。おかげで露天風呂の周囲は真っ白に染まり、図らずも雪見風呂となった。越後湯沢駅に着いたときは、とんでもない日に来てしまった・やべえ~と焦ったが、予期せぬ雪見風呂を楽しめたからむしろ幸運というべきか。
メインの岩風呂の隣に4名規模の小さい露天風呂も用意されている。こちらはやや熱めの加温槽である。内湯と同じく脇役的な扱い。
ぬる湯にじっくりつかっているのがどうにも心地良い。なんだかんだで大浴場に1時間はいたと思う。なお自分以外の客は10名ほど。空いてはいないが混雑感もない。
我が道を行く。内湯にロックオン
夕食後20時すぎと翌朝の大浴場は男女が入れ替わり右手が男湯だった。こちらも基本的な構造と規模は一緒。ただし露天風呂はメイン岩風呂のみで加温浴槽はない。代わりにメイン岩風呂のお湯が加温されて熱めになっていた。このときは利用したタイミングが良かったのか、自分以外の客がごく少なかったり独占状態が30分くらい続いたりして、貸し切りに近い気分で非常にのんびりできて良かった。
また、夕方の経験から「貝掛温泉の真の醍醐味は内湯なんじゃないか」と見当をつけていたので、内湯メインに注力するようにした。みなさんこぞって露天へ流れる中で孤高を守り、内湯浴槽の縁に取り付けられた木製のくぼみに頭を置き、寝湯風の体勢で泡粒に包まれる。サイコーですな。
源泉かけ流しが奏でるリズム
ふと気づけば、投入されるお湯のドボドボという音が高天井に反響したものだろうか、叩きつけるようなリズミカルな低音が耳に届く。まるでドラムのよう。そこへ微かに交じる高音が誘う空耳によって、ボーカルが被っているような気さえしてくるのだった。ちょうど、街を歩いているとはるか遠くの野外コンサートの響きが風に乗って届いた、というくらいの感覚。こいつがまたいい塩梅で気分をリラックスさせてくれるのだ。
絶妙のぬる湯・源泉かけ流し・豊富な泡付き・寝湯体勢・遠くの演奏…ああ極楽極楽。何十分が経とうとも出られない。おそるべし貝掛温泉。
ハイレベルな貝掛温泉の食事
めくるめくスター揃いの夕食
貝掛温泉の食事は朝夕とも1階の食事処で。部屋ごとに決まった席へ案内される。一人泊の「ぼっち」は別途仕切られた区画へ通される。だだっ広い中に他のグループの視線を感じながらぽつんと一人、という居心地の悪さを感じさせない配慮はありがたい。夕食は手の込んだ会席風。食材は山の幸系を使った滋味深いものばかり。そしてどれもこれもうまい。
序盤のウリは鍋を固形燃料で温めて食べる貝掛名物・薬膳玄米粥だ。お粥の中に穀類・豆類・野菜が入っている。こいつはヘルシー食材のハーモニーや~。
続いて中盤は岩魚の塩焼きやチェックイン時に別注で頼んだ土瓶蒸し。酒が進む進む。ちなみにオーダーしたお酒は前回と同じく上善如水・八海山・鶴齢の利き酒セット。やっぱりこの中では鶴齢が好みだなあ。
お腹いっぱいでもおかわり不可避、塩沢のコシヒカリ
もち豚の味噌鍋という大物も投入され、このあたりからお腹が苦しくなってくる。しかし、前回の経験を活かして「貝掛温泉は食事の量が多い」と意識して昼食を抜いたおかげで、最後まで完走する力は残されていた。終盤の主役は南魚沼産の中でも評価が高いという塩沢のコシヒカリ。新米なんだろうから、おかわりするくらいじゃないと、もったいない。いきましたよ2杯。普段食べてる米にはない香りだし段違いにうまい。
最後はコシヒカリアイスで締め。いやーもう満腹満足。あの温泉の後にこの夕食は、いい意味で本当にやばいね。
ノドグロと栃尾の油揚げが光る朝食
朝食も攻めてる。なにしろ焼き魚がノドグロだ。スタッフさんは「ちょっとかわいいサイズなんですけれども」と謙遜していたが十分でしょう。ご飯にあうおかずばかりなので、いつもの朝ならやらないご飯のおかわりをしてしまった。途中で栃尾の油揚げが出てきた。長岡の栃尾地区の名物として知られるビッグな油揚げだ。決して厚揚げではない。和製フランスパンとでもいうべき、外はパリッと、中はサクッと、よーく噛まないと噛み切れない歯ごたえがある。ネギと醤油でよく引き立ちますなー。
そんなわけで朝から食べすぎてしまった。
全方位に隙のない宿
貝掛温泉には隙がないから万人におすすめできる。温泉・食事は文句なし、秘湯感たっぷり、それでいてアクセスに難がない(貝掛坂と貝掛橋にちょっと気を使うくらい)、鄙びと洗練を両立させた館内、丁寧な接客。加えて今回は思いがけず雪が重なって、いい感じの情緒を味わうこともできたし雪見風呂も楽しめた。再訪による新たな発見であった。
ああ、あの極上のぬる湯は本当に良かったなあ…美しさを増した思い出に浸りつつ、チェックアウトの際にもらった貝掛温泉特注版のワンカップ鶴齢を飲むとしよう。
(参考)2018年・貝掛温泉 再々訪記
(参考)2019年・貝掛温泉 4回目
(参考)2022年・貝掛温泉 5回目
【この旅行に関する他の記事】