定番でもいい! 紅葉の大内宿と塔のへつり観光(ねぎそば付き)

塔のへつりの吊り橋
いつもなら「混雑ピーク絶対避けるマン」のおじさんだが、今回は人が多いのを承知で、紅葉の南会津へとひとり旅立った。観光先は下郷町の大内宿と塔のへつり。

どちらも町の観光の目玉だけあって、周遊に適したいくつかのバス路線が設定されている。それらを利用して効率よく回りつつ、緑~黄~赤のまだらに色付いた風景を楽しんだのであった。

大内宿・塔のへつりへのアクセス

下郷町エリアには会津鉄道が通っている。東京方面からだと東武鬼怒川線と野岩鉄道を経由するか、あるいは東北新幹線を活用して郡山→会津若松から回り込むかして、会津鉄道へ乗り継ぐ。

奇岩の渓谷美で知られる塔のへつりは、そのものずばり「塔のへつり」駅がある。駅からは徒歩5分程度で行ける。

一方、昔の宿場町の姿を残す大内宿は、徒歩圏内に駅がない。鉄道利用者は次のバスのいずれかに乗り換える。

・観光路線バス「白河~大内宿~会津若松」(会津バス)
塔のへつり・湯野上温泉駅での乗降が可能。起点のJR白河・新白河・会津若松でもいい。1日上下2便ずつ。運行日注意。2017年は4月1日~11月23日の土日祝だった。

・観光循環バス「北循環」(会津バス)
会津田島・会津下郷・塔のへつり・湯野上温泉駅での乗降が可能。田島→下郷→大内宿→湯野上温泉→塔のへつり→下郷→田島のルートのみで逆ルートはない。1日4便。運行日注意。2017年は4月22日~11月19日の土日祝だった。

・コース運行バス「猿游号」(広田タクシー)
湯野上温泉駅と大内宿を往復する。1日行き8便・帰り6便。運行日注意。2017年は4月1日~11月30日の毎日だった。


大内宿で時代劇気分

猿游号乗車記

今回は東武鬼怒川ルートで湯野上温泉駅まで行った。この駅は珍しい茅葺屋根が特徴だ。駅舎の隣には足湯コーナーが設けられている。
湯野上温泉駅舎
駅を出て左手の坂を下ったところでしばらく待っていると猿游号がやって来た。レトロかつ、ちょっとおもちゃのようにも見える、陽気な気分をかき立てる車両である。
猿游号バス車両
きっぷは1日フリー乗車券のみの販売(1000円)。自分は片道しか乗らなかったので復路分を捨てた格好になるが、それでもタクシーよりはずっと安くすんだし、後述の特典を考えれば、まあいいんじゃないの。

猿游号には車掌兼ガイドさんが乗り込み、要所要所で観光案内をしてくれた。大内宿までのくねくねカーブの道に沿うように続く渓流は、有名な十和田湖の奥入瀬にもたとえられるほどだという。

それから名物ねぎそばの説明があった。おすすめのお店は山形屋さんとのこと。ねぎそばを注文する際に猿游号のきっぷを見せれば栃餅をおまけしてくれるって。よし、昼飯はそこにしよう。

これが名物「ねぎそば」だ!

20分ほどで大内宿に到着。旅行のパンフレットなんかで見かける時代劇っぽい町並みが目に飛び込んできた。茅葺屋根の古風な家々の中身はみやげ店や食事処。それにしても、わかっちゃいたけど、やっぱり人が多い。
大内宿のにぎわい
もうすぐランチタイムに入る。行列ができる前に食べておこうと山形屋へダッシュした。15名の団体さんが来るなどと店の人の会話が聞こえたから、早めに行って正解だったようだ。なお、混雑時には相席となり、テーブルに詰めて座っていくように案内される。

猿游号のチケットを見せつつねぎそばを注文すると、先におまけの栃餅が出てきた。うぐいすきな粉+砂糖をまぶしてあって本体よりそちらの味が勝っていた。
大内宿・山形屋の栃餅
栃餅を食べてるうちに予期した通り、客がどんどんやって来た。15名の団体もやって来た。店内にてんやわんや感が滲み始め、案の定、ねぎそばが出てくるまで結構待った。そしてこちらがねぎそばにございます。
大内宿・山形屋のねぎそば
ねぎそのまんまじゃん!…これを箸として使うのだ。しかも薬味としてかじりながら。周りを見渡すと、ぶっかけ冷やしおろしそばの麺をねぎですくうようにしていたので、真似してみた。こういう感じでいいのかな。
ねぎそば ねぎの使い方
食べづらければもちろん箸を使ってもよい。ねぎをかじって短くするとだんだん使いづらくなるしね。しかしねぎを完食すると口の中がねぎの辛味に占領される。地粉の手打ちそば自体うまかったはずなんだが、ねぎのインパクトが強すぎてあまりおぼえてない…。

大内宿をかけ足でクリア

食べ終わって外へ出ると帰りのバスの時刻まで意外と余裕がないことに気づいた。店をのぞきつつじっくり歩き回るのはあきらめ、さらっと流すことにした。まずは最優先で大内宿を俯瞰できる展望スポットへ登ってみた。旅行パンフレットなんかでよくみる光景をパチリ。
大内宿でよくある光景
速攻で下りてメイン通りを入口方向へ戻っていく。途中のひときわ大きな建物は大内宿町並み展示館。ちょっと見学する余裕はないな。スルーで。
大内宿町並み展示館
メイン通りをそれて高倉神社へ続く横道は、いい感じに人のいない田園風景。刈り取りが終わったそば畑を前にしばらくたそがれタイム。こういうのもないとね。
大内宿そばのそば畑
あとは入口、そしてバス停へとまっすぐ戻っていった。大内宿は歴史を味わうというよりテーマパーク的に楽しくぶらぶらするスポットですな。


圧巻の奇景・塔のへつり

居並ぶ塔のお出まし

今度は北循環バスで逆コースをたどる。こちらは猿游号とは違い普通の路線バス。湯野上温泉駅を経由して30分ほどで塔のへつり前停留所へ着いた。

“へつり”とは危険な崖を意味する方言だそうだ。長年の侵食と風化により断崖が塔のような姿でせり出している。百聞は一見にしかず。まず最初に目に入ってくるのがこんな感じ。
塔のへつり 最初の塔
そしてこんなの。まだらな紅葉と白い岩と濁ってるけどエメラルドグリーンの川面は見事な組み合わせ。
紅葉時期の塔のへつり
下の方にあるくり抜かれた跡は遊歩道の名残。昔は歩いていけたのだろう。現在は立入禁止となっている。

吊り橋から塔の本体へ

先へ進むと吊り橋があって対岸へ渡れるようになっている。渡った先の岩は途中まで通行可能だ。

橋は結構揺れる。面白がってわざと揺らすおっさん達がいたせいもあるが。手すりが低いのであまり頼りにならない。揺れる橋上からの撮影はちょっと厳しいですね。渡りきってから湯野上温泉方向を撮ったのがこれ。鉄橋がいいアクセントになっている渓谷美だ。
塔のへつり 吊り橋から湯野上温泉方向を見る
くり抜かれた通路の途中から見た対岸。レストハウス的なところに展望台が設けられているのが確認できる。
塔のへつりレストハウス展望台を展望する

向こう岸に虚空蔵菩薩

途中の岩の裂け目みたいになった空間に、何段にも積み重なった石が大量に置かれていた。観光客の遊び心ならいいが何かの供養的なものだとアレだな…軽く手を合わせてささっと通り過ぎた。

そこからせまい急階段を上った先に虚空蔵菩薩が安置されていた。常ならぬ神秘的な景観だから何かを祀りたくなるよね。
塔のへつり 虚空蔵菩薩
近くの岩に上っている人の後について岩の先端まで行ってみた。行ける限界地点。末端の末端。手すりも柵もない。

みんな「きゃー」「こわーい」などと喜んでいるが、(この日はいなかったが)ユーチューバーばりに危険なポーズを取ったり、軽く押し合ったりしてはしゃぐヤンチャ君もいるんだろうし、まじで年間何人かは滑落してるんじゃないかと思えてくる。
塔のへつり 行ける末端地点からの眺め

撮り鉄しちゃった♪

塔のへつり見学は以上で終了。徒歩5分ほどの会津鉄道・塔のへつり駅へ向かった。駅周辺の紅葉もなかなか見事だ。写真が趣味と思われる三脚かついだ2~3名ほどが気合の入った様子で撮影に臨んでいた。こちらも負けじとスマホで撮る。
塔のへつり駅の紅葉
当駅のプラットホームから見える紅葉もまた味わいがある。ローカル線の風情ともマッチしており、ここに列車が入って来たらさぞかしロマンある画が撮れるんだろうなと思った。もはや気分は撮り鉄。

ちょうどそこへ東武日光行きの列車がやって来た。残念ながらカメラに収めたいのとは逆向きの入線。逆でいいか。いやしかし…とっさの判断で去りゆく後ろ姿を収めることにした。なんか萌えキャラも写っちゃってますが。
塔のへつり駅を出る会津鉄道の列車

団体パックツアーに打ち砕かれた野望

やがて自分の乗る列車の時刻が近づいた。今度は撮りたい向きの入線だ。やった、撮り鉄チャーンス。しかし…団体パックツアーの一行ウン十名がぞろぞろとやってきてホームを埋め尽くしたのである。車窓の素晴らしい当駅~芦ノ牧温泉あたりを乗るという趣向だろう。

どうカメラのアングルを工夫してもメインの被写体は人の群れ・群れ・群れ。これじゃだめだ。風情もへったくれもない。べつにインスタ映えしなくてもいいけど、さすがにちょっとね。撮り鉄から一介の乗客に戻って列車に乗り込み、塔のへつりを後にしたのだった。


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