銚子電鉄の弧廻手形でめぐる犬吠観光スポット

銚子電鉄 犬吠駅
小さい秋を見つけに行った千葉県・矢指ヶ浦温泉への週末一人旅。翌日ただ直帰しても面白くないので、近くの銚子を“ぶら~り”寄り道していくことにした。

銚子といえば漁港・醤油工場・銚子電鉄・犬吠埼。今回は銚子電鉄と犬吠エリアにフォーカスして回った。徒歩でカバーしたり温泉に立ち寄ったりしたからとはいえ、所要時間は当初の目論見を大きくオーバー。帰りの特急や高速バスの指定券を押さえてなかったのは、むしろ正解だった。

銚子電鉄を乗り通す

乗りたおすなら弧廻手形デラックス

旭市の矢指ヶ浦温泉館に泊まった翌朝。宿の車でJR総武本線・旭駅まで送ってもらった。ここから各駅停車に乗って20分ほどで銚子駅に着くと、ホームの先に銚子電鉄の列車が待っていた。
銚子電鉄の車両
乗る前に切符を買わなければならない。いろいろ考えた末、きっと元が取れるだろうと見込んで弧廻手形デラックスという1日乗車券を買った(1000円)。自分は決して鉄ちゃんではないが、ここまで来たからには銚子電鉄を全線乗り通さねば収まりが悪い、ということでまず終点の外川まで行くことにした。

駅名が面白い銚子電鉄

銚子電鉄の駅名は面白い。ネーミングライツの販売により駅名の前にフレーズが付くのだが、単なる企業名の宣伝とは限らず、なんじゃこりゃというのも多い。

「とっぱずれ」海鹿島…とっぱずれにあるもんね~
「ロズウェル」君ヶ浜…銚子UFO事件の舞台?
「髪毛黒生」笠上黒生…完全にウケ狙いに来てるだろ
「ありがとう」外川…これは泣かせるね

なお、銚子から想起されるイメージとは異なり、車窓から海は見えない。路線が微妙に海とは離れており、畑や林の景色がずっと続く。線路際の伸びすぎた木の枝が走行中の列車の窓にバチバチ当たるんですけど。


一見の価値あり「地球の丸く見える丘展望館」

ノスタルジックな外川

銚子駅を出発して20分後に終点の外川着。線路の終端の奥にレトロな車両が留置されており、駅舎とあわせてなかなかノスタルジックな雰囲気。
外川駅
まずは海を目指す。家屋が密集する集落の坂道を下っていくと外川漁港に出た。ただ休日でもあるし昼近くの時間でもあるし、働く人の気配や活気はなかった。少しだけうろうろして終了。

丸い地球の大パノラマ

いったん外川駅へ戻り、次に内陸側の丘を目指す。10分あまりで「地球の丸く見える丘展望館」に着いた。ここの入場券(380円)1回分が先の弧廻手形の特典で無料になる。おお、いきなり得したぞ。

エレベータで3階へ、そこからさらに階段を上り、屋上の展望台に出て周囲を見渡すと、「地球の丸く見える」の意味が明らかとなる。視界を遮るものがなく360度の大パノラマビューが展開するのだ。しかも銚子の地形からして大半の方角が水平線。

これは気分爽快。ぜひ記録に残さねばとスマホのパノラマ写真機能を初めて使ってみたが、見事に失敗したようだ。ふだんから使いこなしていないとだめだね。仕方なく普通に撮った。下は屏風ヶ浦と風力発電の風車が特徴的な東方向のもの。
地球の丸く見える丘展望館からの眺望
この景色は一見の価値ありだ。なお展望台以外は3階がレストラン。2階は資料展示室で、銚子UFO事件・採取される鉱物・イルカ関係の展示があった。1階はおみやげコーナー。そんなに広くはない。


不思議な雰囲気の満願寺

続いて犬吠駅に向かって丘を下っていく。歩道のないくねくねの車道に若干難儀しつつ進んでいくと、ほどなくして満願寺の前に出た。建物が妙に新しさを感じさせる寺院であった。

中をひと回りするのに特に拝観料はいらないようだ。ここはなんというか、よくあるお寺とは異なる雰囲気があった。なんでしょうね。本堂の手前には金の塔が立っている。ひとりで1億円寄進すれば1塔建立できるそうです。
満願寺の宝塔
本堂経由でこの塔の内部へ入ることができる。塔の中は螺旋階段状になっており、観音像を納めた金色の壺(?)が壁際ずらっと並んでいた。四国八十八ヶ所とか百観音云々みたいなのもあるし、まあなんというか、不思議な感じのするお寺である。


観光スポットでもある犬吠駅

ぬれ煎餅と写真館で得しちゃった

満願寺から徒歩数分で犬吠駅。ここで売ってるぬれ煎餅(手焼きバージョン80円相当)を、弧廻手形があれば1枚無料でいただける。また得したね。

しかも売店で弧廻手形を見せると、駅舎2階の「銚電写真館 中井精也ギャラリー」(入場料150円)にも無料で入れちゃう。またまた得したね。

入口すぐのところにある大きな額がかなりの力作で目を引く。その奥に展示されている各写真も構図とかよく考えられていて、銚電と沿線風景を魅力的に見せていた。

なぜか鉄道模型が

写真館の一番奥には古き良きという感じの鉄道模型のジオラマがあった。模型の列車はレール上をぐるぐると周回している。心の中の理想の風景を表現したとかいうような解説が書かれてあった。大分麦焼酎二階堂のCMの世界ですな。
銚電写真館の鉄道模型
写真館を出てちょっと休憩。駅で売っているたい焼きと自販機でお茶を買ってエネルギーを補給する。その自販機の隣になにやら妙な像が…これはあれじゃないか。ゲームの桃鉄に出てくる歓迎されないアイツだろ?
犬吠駅 桃鉄のアイツ

主役はやっぱり犬吠埼灯台

さていよいよ犬吠埼灯台だ。犬吠駅からは徒歩10分程度。弧廻手形があっても神通力は届かず、普通に200円払って入場。真っ青な空に真っ白な灯台が映える。
犬吠埼灯台
灯台の中は99段の階段が待ち受けていた。もちろんショートカットする術はない。下りてくる人とのすれ違いも難儀するし、なかなか大変だ。最後は確実にすれ違い不可能なハシゴに近い急階段。

苦労して登りきると見事な展望が開けた。灯台自体が広いものじゃないから、頂上をぐるっと一周するのは一瞬で終わる。でもそれじゃもったいない気がして、しばらく佇んでいたくなる。何組かのカップルがそんな感じで佇んでいた。さすがに今どきタイタニックごっこはしていなかったが。

下の写真は灯台から君ヶ浜方面を撮ったもの。
犬吠埼灯台から見る君ヶ浜
灯台の足元は資料展示室になっている。またすぐ隣にも別の展示館があり、巨大な第1等レンズが展示されていた。
灯台の第1等レンズ

時間に余裕を持って計画したい銚子観光

最後に犬吠埼観光ホテルまで行って日帰り温泉してきた件はまた別記事で。いやー、それにしても結構歩いたな。

当初はうまくすれば外川下車から上記コースの後、温泉を終えて犬吠駅に出るまで3時間でカバーできるんじゃないかと目論んでいたんだが、とんでもない、灯台見学時点で3時間近かった。

見積もりが甘かったとしかいいようがない。しかも今回は漁港や醤油工場や屏風ヶ浦をパスしてこれだ。海鮮丼を食べるとかの、腰を落ち着けてのグルメも省いてる。でもまあ良かったよ。ありがとう外川、いや、銚子。