埼玉県・久喜市にある日帰り入浴施設「森のせせらぎ なごみ」へ行ってきた。もろもろ予定が立て込んでいて気ままな遠征ができない中で編み出した企画「週末ミニひとり旅」の1湯目である。
ここの目玉はなんといっても砂蒸し風呂。埼玉の日帰り施設ということを考えると相当珍しいメニューだ。そのうえ自分自身、砂蒸し風呂は未体験なのだ。8月の真夏の盛りだろうと関係ない、ぜひとも体験せねばなるまい…。
問題は久喜駅から現地までだ。2キロの距離があるのだが週末だとバスがない。施設の無料送迎は平日限定で休日は4名以上・要事前予約の縛りがある。
また大和観光バスの管理センター行きという路線でも行けるみたいだけど、こちらも月~土の朝夕便のみ。
だから歩いた。真夏の炎天下を歩いた。早足で20分。実際は道を間違えて時間をロスしたから30分。砂蒸しを体験する前にたっぷり汗をかいてしまった。
一般客はその隣にある入口から入る。
下足箱に靴をしまい、その鍵と引き換えに受付で精算用腕輪を受け取るシステム。入場料は750円。タオルの貸し出しは別料金。
…さあ予約時間が近づいた。一般の入浴客と同じように脱衣所へ行き、コインロッカー(後で100円が戻るやつ)に荷物や服をしまって裸になって、砂蒸し利用者に貸し出される館内着を裸の上に着る。
タオルを持ってそのまま浴室へ。もちろん風呂には入らない。奥の出口から露天エリアへ抜けて、案内板にしたがって砂蒸し風呂小屋に入ると、「こんにちは!」と威勢のいい声がした。
ここの係のおじさんがすごくいい接客だった。この手のスポットで威勢のいい人というと、得てして常連じゃないと相手にならない感じで、アウェーの一見客は萎縮しがちになるものだが、おじさんの客あしらいはなんというか、とにかく絶妙でリラックスできた。
砂が熱い。これは事前に予想していたことだ。そして重い。これはあまり考えてなかったから、より強い印象となって残った。熱くて重い。たとえるなら巨大なクマにがっちり抱きつかれた感じ。
重さで体が圧迫される。加圧トレーニングのように、この圧迫が血行を良くするのに一役買っているらしい。だんだん足のほうにドクンドクンと脈動を感じるようになってきた。
標準コースは20分だが、遠くの区画で「あ、もうギブアップです」という声が聞こえてきたりして、途中で終わる客もいるようだ。自分はわりかし平気で、熱くて重いけどおもしれ~、みたいなノリで20分はあっという間だった。
ただし、「お尻とかかとが特に熱くなるからね」と予告された通り、いったん「おや? かかとが熱いかな」と意識し始めたらもうだめ。かかとの熱さがどうにも気になってしまった。そういうのを常連は砂の中でうまいこと体を動かして散らすらしい。
歩いてくる途中で汗をかききってしまったせいか。しかしそれなら脱水でギブアップするはず。自分には砂蒸し耐性があることにしておこう。砂を出たら涼み処で水を飲みつつ休んだ後、シャワーで砂を洗い流して終了。
いやー、デトックスっていうのかな、すっかり体が軽くなった。
脱衣所の分析書に「ナトリウム-塩化物泉、弱アルカリ性・低張性・高温泉」と記されるお湯は半濁の淡いうぐいす色で、この系統特有の木材系アブラ臭が漂う。適温なので入りやすいし、なかなか結構なお点前だ。
内湯の大きい浴槽は生源泉掛け流しじゃないみたいだけど、小浴槽とつながってお湯が行き来しており、はっきりとした浴感の違いはわからなかった。
足湯と寝ころび湯でしばし休憩の後、奥にある滝見風呂へ行った。何が滝だったのかはわからない。ここのお湯はあまり薄まっていなくて内湯に近い。ぬるめだし風呂自体がそこそこ広いから居心地は良さそうだ。
ドーム内は半露天ぽくなって開放感は下がるけど、日が当たらないから夏はちょうどいい。洞窟風呂は構造的に滝見風呂の一部であってお湯も滝見風呂そのものだ。
そしてドーム内でお湯をピチャピチャさせると、ドームの内壁に反響して、風鈴のような涼しげな音となって耳に届くのだ。これはうまい仕掛けだ。夏は特に洞窟風呂を推したい。
最後に露天エリアの真ん中にでんと構える八角風呂につかってみた。…うーむ、熱い。源泉ぽい濃い感じはいいんだが、少なくとも夏はちょっとアレだなあ。温泉はやっぱりガツンと熱くないとね、という方はどうぞ。
それでいて週末に激混みするようなことがないのもポイント高い。今回の訪問でも全くごみごみしたところがなく、終始マイペースでリラックスできた。
マイカー利用でないとちょっと行きづらいところはあるけど(特に週末の昼)、それを補って余りあるセールスポイントを持っていると思う。ここはケアハウス住民の憩いの場でもあるんだろうから、外部の人間が押しかけて荒らすようなことになってはいけないが、とりあえず一度は行ってみるべしとおすすめしたい。
ここの目玉はなんといっても砂蒸し風呂。埼玉の日帰り施設ということを考えると相当珍しいメニューだ。そのうえ自分自身、砂蒸し風呂は未体験なのだ。8月の真夏の盛りだろうと関係ない、ぜひとも体験せねばなるまい…。
「森のせせらぎ なごみ」へのアクセス
送迎サービスは平日のみ
久喜だったら東京通勤圏だから何も言うことはない。思い立ったらいかようにでも行ける。JR東北本線(宇都宮線)を利用するなり東武伊勢崎線を利用するなり、お好きにどうぞ。東京や新宿から1時間ちょっとで着く。問題は久喜駅から現地までだ。2キロの距離があるのだが週末だとバスがない。施設の無料送迎は平日限定で休日は4名以上・要事前予約の縛りがある。
路線バスも使い勝手が難しい
また市内循環バスの3系統(東西連絡・下早見循環・除堀所久喜循環)が近くまで行ってくれるけど、こちらは月~土のみ。土曜があるならいいじゃんと思っても時刻表を見る限り、朝夕の通勤・通学向けの便ばかりで昼は使えそうにない。また大和観光バスの管理センター行きという路線でも行けるみたいだけど、こちらも月~土の朝夕便のみ。
だから歩いた。真夏の炎天下を歩いた。早足で20分。実際は道を間違えて時間をロスしたから30分。砂蒸しを体験する前にたっぷり汗をかいてしまった。
ケアハウス専用入口と間違えないよう注意
「森のせせらぎ なごみ」の隣にはケアハウス和みの里という高齢者専用マンションがあった。両者は関連施設だと思われる。下の写真に大きく写っている入口は和みの里の入居者専用だった。一般客はその隣にある入口から入る。
下足箱に靴をしまい、その鍵と引き換えに受付で精算用腕輪を受け取るシステム。入場料は750円。タオルの貸し出しは別料金。
初めての砂蒸し風呂
受付で予約を入れる
砂蒸し風呂を利用する際は受付時に追加料金750円を払って予約を入れる必要がある。所要時間は20分。予約は10分刻みの時間帯から空いてる枠を指定する。当日はどの時間も空いてたので、事前の水分補給を兼ねて一息入れたくて15分後からの枠を指定した。…さあ予約時間が近づいた。一般の入浴客と同じように脱衣所へ行き、コインロッカー(後で100円が戻るやつ)に荷物や服をしまって裸になって、砂蒸し利用者に貸し出される館内着を裸の上に着る。
タオルを持ってそのまま浴室へ。もちろん風呂には入らない。奥の出口から露天エリアへ抜けて、案内板にしたがって砂蒸し風呂小屋に入ると、「こんにちは!」と威勢のいい声がした。
ここの係のおじさんがすごくいい接客だった。この手のスポットで威勢のいい人というと、得てして常連じゃないと相手にならない感じで、アウェーの一見客は萎縮しがちになるものだが、おじさんの客あしらいはなんというか、とにかく絶妙でリラックスできた。
熱くて重い砂に抱きつかれる
タオルを預けて指示された区画に仰向けに寝ると、周りの砂をスコップでかき集めて体の上にどんどん乗せられた。「まだまだいくよ~」どんどん乗せられた。「まだまだいくからね~」どんどん乗せられた。砂が熱い。これは事前に予想していたことだ。そして重い。これはあまり考えてなかったから、より強い印象となって残った。熱くて重い。たとえるなら巨大なクマにがっちり抱きつかれた感じ。
重さで体が圧迫される。加圧トレーニングのように、この圧迫が血行を良くするのに一役買っているらしい。だんだん足のほうにドクンドクンと脈動を感じるようになってきた。
お尻とかかとに攻めてくる
5分経過した頃から顔全体に汗がじんわりにじみ出てきた。おじさんが時おり様子を見に来て、預けたタオルで顔を拭いてくれた。標準コースは20分だが、遠くの区画で「あ、もうギブアップです」という声が聞こえてきたりして、途中で終わる客もいるようだ。自分はわりかし平気で、熱くて重いけどおもしれ~、みたいなノリで20分はあっという間だった。
ただし、「お尻とかかとが特に熱くなるからね」と予告された通り、いったん「おや? かかとが熱いかな」と意識し始めたらもうだめ。かかとの熱さがどうにも気になってしまった。そういうのを常連は砂の中でうまいこと体を動かして散らすらしい。
終わってみればスッキリさっぱり
結局、自分は終始涼しい顔をしているように見えたのか、「今日はお客さんも少ないし、好きなだけいなよ」ってことで30分近く砂の中にいたのだが、おじさんによれば「初めてなのによくやった。すごいね。汗もあんまりかいてないね」とのこと。歩いてくる途中で汗をかききってしまったせいか。しかしそれなら脱水でギブアップするはず。自分には砂蒸し耐性があることにしておこう。砂を出たら涼み処で水を飲みつつ休んだ後、シャワーで砂を洗い流して終了。
いやー、デトックスっていうのかな、すっかり体が軽くなった。
たくさんの浴槽を楽しめる大浴場
生源泉かけ流しの内湯小浴槽
砂蒸し風呂でもう十分満足だが温泉も体験しておかねばなるまい。いったん内湯へ戻り、大小2つあるうちの小さい生源泉掛け流し浴槽の方に入ってみた。脱衣所の分析書に「ナトリウム-塩化物泉、弱アルカリ性・低張性・高温泉」と記されるお湯は半濁の淡いうぐいす色で、この系統特有の木材系アブラ臭が漂う。適温なので入りやすいし、なかなか結構なお点前だ。
内湯の大きい浴槽は生源泉掛け流しじゃないみたいだけど、小浴槽とつながってお湯が行き来しており、はっきりとした浴感の違いはわからなかった。
じっくりつかるのに良い壺風呂
続いて露天エリアへ。時間的な都合でつまみ食い的にいく。水風呂と香り風呂はパス。まず3つ並んだ壺風呂の1つに入る。加水して薄まっているけど温泉感はあるし、ぬるいおかげでゆっくり楽しめる。これはこれでありかもね。足湯と寝ころび湯でしばし休憩の後、奥にある滝見風呂へ行った。何が滝だったのかはわからない。ここのお湯はあまり薄まっていなくて内湯に近い。ぬるめだし風呂自体がそこそこ広いから居心地は良さそうだ。
夏向きの涼しげな洞窟風呂
だがしかし、滝見風呂は単なる通過点である。広めの浴槽内を突っ切ってさらに奥へ進んでいくと、洞窟風呂なる巨大かまくら風のドームがあった。ドーム内は半露天ぽくなって開放感は下がるけど、日が当たらないから夏はちょうどいい。洞窟風呂は構造的に滝見風呂の一部であってお湯も滝見風呂そのものだ。
そしてドーム内でお湯をピチャピチャさせると、ドームの内壁に反響して、風鈴のような涼しげな音となって耳に届くのだ。これはうまい仕掛けだ。夏は特に洞窟風呂を推したい。
最後に露天エリアの真ん中にでんと構える八角風呂につかってみた。…うーむ、熱い。源泉ぽい濃い感じはいいんだが、少なくとも夏はちょっとアレだなあ。温泉はやっぱりガツンと熱くないとね、という方はどうぞ。
結構な穴場なのでは
久喜にこれほど充実した温泉施設があったとはね。お湯そのものが結構な本格派だし、浴槽のバリエーションがたくさん用意されているし、加えて砂蒸し風呂がある。隙のないラインナップだ。それでいて週末に激混みするようなことがないのもポイント高い。今回の訪問でも全くごみごみしたところがなく、終始マイペースでリラックスできた。
マイカー利用でないとちょっと行きづらいところはあるけど(特に週末の昼)、それを補って余りあるセールスポイントを持っていると思う。ここはケアハウス住民の憩いの場でもあるんだろうから、外部の人間が押しかけて荒らすようなことになってはいけないが、とりあえず一度は行ってみるべしとおすすめしたい。