伊豆半島・伊東の有名な景勝地といえば城ヶ崎海岸。灯台や吊り橋が定番の観光スポットだ。だがあえてそれらに背を向けて、夏本番の時期に行ってみたのが、名前からして怪しげなオーラを放つ「怪しい少年少女博物館」。
もうね、何もかも、わけがわかりません。あまりに意味不明すぎて少年少女向きではない。不条理・不可解・不気味をメタな視点から楽しめるひねくれた成熟した大人の方が向いている。
どう説明したらよいものか。とにかく百聞は一見にしかず。少しでも興味を持ったなら、迷わず行けよ、行けばわかるさ。
怪しい少年少女博物館は駅出口の反対側・国道135号沿いにあるから駅を出たらコの字型に歩いていく。まず線路に沿って下田方向へ2~3分進む。直交する道にぶつかったら右へ曲がって線路をまたぐ。
その先の上り坂を夏の炎天下に耐えながら5分ほど進む。途中にかんぽの宿があった。135号にぶつかったら右に曲がって熱海方向へ1分足らずで到着。キモいペンギンが目印だ。
外のテラスで風に当たりながらアイスコーヒーを飲んだらすっかり復活。調子に乗ってソフトクリームを追加でいただくことにした。種類はいろいろあるけど、一押しと思われる生苺サンデーを注文。
…うめえ。自分は濃厚高原ミルク路線の牛乳くささが苦手なのだが、ここのは「昔ながらのソフトクリーム」路線を守りつつ、しっかりした味となめらかさが大変すばらしい。フレッシュかつ濃厚な苺ソースをからめるとうまさ倍増。
お店のマスターが自家製だからねと胸を張る逸品だ。休憩中にも何組か車でやって来てテイクアウトでソフトクリームを買っていった。みんな常連ぽかったり、ここのが一番おいしいと語っていたり。ファンは多そうだ。
入場料は一般1000円のところ、どんぐりのマスターがくれた割引券を使い900円ですんだ。
中へ入ると、初っ端は昭和レトロなファッションアイテムがずらっと並んでいた。時代時代ごとの解説文が掲示されているから、懐かしの昭和カルチャーがテーマなのかなと思えば、足元にはアダルトな本やインターネットに関する本などが積まれていて、やっぱりわけわからん。
奥へ進むと今度はおもちゃがぎっしり。ここにも整合性はない。ただおもちゃが無造作にそこにある。初代ファミコンが遊べる状態で置いてあるコーナーもあった。
かと思えば何の脈絡もなくビリケンさんが鎮座していたり古代エジプト文化的なオブジェが飾られていたり。意味不明。あー頭がくらくらする。
ひとつ言えるのは、今見ると怪しさ満点の物たちも、それらが現役だった当時は我々が大真面目に、ときにはクールさの象徴として求め消費した対象なのである。あの頃我々が物たちに対して抱いた真面目でリアルだったはずの感情は、現在地点から振り返るとまったく信じがたく、虚構だったのではないかとさえ思える。
現在というリアルに対する過去という虚構。それは目を覚ます前に見ていた夢のようなものだ。あの物たちはずっと夢の中に置き去りにされていたのだ。
当館では夢の世界にいた物たちが大群をなして現実世界になだれ込んで来ており、それが夢と現実の入り交じった怪しい感情を引き起こしている。なんだか「パプリカ」というSFアニメ映画を思い出してしまったよ。
2階もカオスなオブジェの陳列が続く。夢に出てきそうな日本人形。視線が怖い。
日本の怪談話の舞台みたいな展示もあった。他にはドクロやらエイリアンやら悪魔やら蛇やら、異形の怖い系が大集合。かと思えばセクシー女優とロボット犬AIBOという意味不明な取り合わせも。強いていえば「一世を風靡した」つながりか?…怖さより笑いを取りに来てるだろ。
いきなり何の脈絡もなく、ツッコミを誘うばっちい展示が登場。…ミニ博物館じゃねえよ、まったく…一体なんなんだ。
あーやっぱり頭がくらくらする。2階は恐怖と笑いとばっちいが地続きになっている点で楳図かずお的世界観を感じた。大人になってから抱く恐怖ではなく少年少女の頃に植え付けられるトラウマ的な恐怖に近い。
またまたぁ、どうせお化け屋敷の概念をズラしにズラした意味不明アトラクションなんでしょ? と斜に構えていたら、意外と正統派のお化け屋敷であった。ここはお子様も素直に怖がって楽しめるだろう。
我ながらビックリドッキリさせられてしまうポイントもあった。なんか夜の学校だけは万人向けに消化しやすい娯楽になってる。
若干のお下劣要素もあるのでファミリーよりは友達同士で行くのが向いている。間違っても義父母と一緒の失敗できない旅行で寄っちゃだめだぞ。気楽な連れと「うわー懐かしー」とか「何これ、キモっ」とかツッコミ合いながら回るがよい。
なお「まぼろし博覧会」なるさらにパワーアップした姉妹館もある。怪しい少年少女博物館を入門編と称するほどのまぼろし博覧会ってどんだけやねん、と興味はあったものの、駅徒歩圏でなくバス便も少ないため、そして時間の都合もあって断念。
あー怪しい世界に入り浸ってたら疲れた。きちんと社会復帰できるようにワンクッション休憩を挟もう。近くの「伊豆一の蔵」でおいしいまんじゅうをいただいてから、坂を下って城ヶ崎海岸駅へ戻ったのだった。
【この旅行に関する他の記事】
もうね、何もかも、わけがわかりません。あまりに意味不明すぎて少年少女向きではない。不条理・不可解・不気味をメタな視点から楽しめる
どう説明したらよいものか。とにかく百聞は一見にしかず。少しでも興味を持ったなら、迷わず行けよ、行けばわかるさ。
怪しい少年少女博物館へのアクセス
伊豆急・城ヶ崎海岸駅から徒歩10分
東京から各駅停車の旅で約3時間。伊豆急行・城ヶ崎海岸駅に着いた。当駅には「ぽっぽの湯」という無料の足湯施設があった。帰りに時間があったら試してみようと思いつつ、結局利用せず。怪しい少年少女博物館は駅出口の反対側・国道135号沿いにあるから駅を出たらコの字型に歩いていく。まず線路に沿って下田方向へ2~3分進む。直交する道にぶつかったら右へ曲がって線路をまたぐ。
その先の上り坂を夏の炎天下に耐えながら5分ほど進む。途中にかんぽの宿があった。135号にぶつかったら右に曲がって熱海方向へ1分足らずで到着。キモいペンギンが目印だ。
「オープンテラス どんぐり」のソフトクリームが絶品
入場する前にすっかり汗だくになった体をクールダウンすることにした。ペンギン前の横道へ進入して1~2分、軽く休憩できそうなお店「オープンテラス どんぐり」を発見。外のテラスで風に当たりながらアイスコーヒーを飲んだらすっかり復活。調子に乗ってソフトクリームを追加でいただくことにした。種類はいろいろあるけど、一押しと思われる生苺サンデーを注文。
…うめえ。自分は濃厚高原ミルク路線の牛乳くささが苦手なのだが、ここのは「昔ながらのソフトクリーム」路線を守りつつ、しっかりした味となめらかさが大変すばらしい。フレッシュかつ濃厚な苺ソースをからめるとうまさ倍増。
お店のマスターが自家製だからねと胸を張る逸品だ。休憩中にも何組か車でやって来てテイクアウトでソフトクリームを買っていった。みんな常連ぽかったり、ここのが一番おいしいと語っていたり。ファンは多そうだ。
1階フロアはレトロ風味
懐かしさと怪しさの圧縮陳列
ではいよいよ怪しい少年少女博物館へ。入場前から早くも「?」マーク満載の謎オブジェが並ぶ。これを見て一体何を感じろというんだ。入場料は一般1000円のところ、どんぐりのマスターがくれた割引券を使い900円ですんだ。
中へ入ると、初っ端は昭和レトロなファッションアイテムがずらっと並んでいた。時代時代ごとの解説文が掲示されているから、懐かしの昭和カルチャーがテーマなのかなと思えば、足元にはアダルトな本やインターネットに関する本などが積まれていて、やっぱりわけわからん。
奥へ進むと今度はおもちゃがぎっしり。ここにも整合性はない。ただおもちゃが無造作にそこにある。初代ファミコンが遊べる状態で置いてあるコーナーもあった。
かと思えば何の脈絡もなくビリケンさんが鎮座していたり古代エジプト文化的なオブジェが飾られていたり。意味不明。あー頭がくらくらする。
無理矢理な考察を試みる
以上が1階フロア。本当にわけがわからん。現代アートか難解映画の評論家であれば、カオスの海から何か意味ある解釈をすくい取ることができるのかもしれないが、一般人には到底無理だ。ひとつ言えるのは、今見ると怪しさ満点の物たちも、それらが現役だった当時は我々が大真面目に、ときにはクールさの象徴として求め消費した対象なのである。あの頃我々が物たちに対して抱いた真面目でリアルだったはずの感情は、現在地点から振り返るとまったく信じがたく、虚構だったのではないかとさえ思える。
現在というリアルに対する過去という虚構。それは目を覚ます前に見ていた夢のようなものだ。あの物たちはずっと夢の中に置き去りにされていたのだ。
当館では夢の世界にいた物たちが大群をなして現実世界になだれ込んで来ており、それが夢と現実の入り交じった怪しい感情を引き起こしている。なんだか「パプリカ」というSFアニメ映画を思い出してしまったよ。
2階フロアは恐怖風味
小難しい考察はさておき2階フロアへ。こちらは恐怖を強調した怪しさに焦点が当てられている。まず階段を上がってすぐの通路に立っている人に「おっ」と思わされるはずだ(詳しくはネタバレになるので回避)。2階もカオスなオブジェの陳列が続く。夢に出てきそうな日本人形。視線が怖い。
日本の怪談話の舞台みたいな展示もあった。他にはドクロやらエイリアンやら悪魔やら蛇やら、異形の怖い系が大集合。かと思えばセクシー女優とロボット犬AIBOという意味不明な取り合わせも。強いていえば「一世を風靡した」つながりか?…怖さより笑いを取りに来てるだろ。
いきなり何の脈絡もなく、ツッコミを誘うばっちい展示が登場。…ミニ博物館じゃねえよ、まったく…一体なんなんだ。
あーやっぱり頭がくらくらする。2階は恐怖と笑いとばっちいが地続きになっている点で楳図かずお的世界観を感じた。大人になってから抱く恐怖ではなく少年少女の頃に植え付けられるトラウマ的な恐怖に近い。
一番まともな? 怪しい夜の学校
1階に戻ると、奥の出口から「怪しい夜の学校」なるお化け屋敷へ通じていた。またまたぁ、どうせお化け屋敷の概念をズラしにズラした意味不明アトラクションなんでしょ? と斜に構えていたら、意外と正統派のお化け屋敷であった。ここはお子様も素直に怖がって楽しめるだろう。
我ながらビックリドッキリさせられてしまうポイントもあった。なんか夜の学校だけは万人向けに消化しやすい娯楽になってる。
姉妹館「まぼろし博覧会」はさらにスゴイらしい
以上で観覧はすべて終了。物自体に興味のあるコレクターが1個1個をじっくり見てたらきりがないが、普通は30分あれば余裕で回れる。若干のお下劣要素もあるのでファミリーよりは友達同士で行くのが向いている。間違っても義父母と一緒の失敗できない旅行で寄っちゃだめだぞ。気楽な連れと「うわー懐かしー」とか「何これ、キモっ」とかツッコミ合いながら回るがよい。
なお「まぼろし博覧会」なるさらにパワーアップした姉妹館もある。怪しい少年少女博物館を入門編と称するほどのまぼろし博覧会ってどんだけやねん、と興味はあったものの、駅徒歩圏でなくバス便も少ないため、そして時間の都合もあって断念。
あー怪しい世界に入り浸ってたら疲れた。きちんと社会復帰できるようにワンクッション休憩を挟もう。近くの「伊豆一の蔵」でおいしいまんじゅうをいただいてから、坂を下って城ヶ崎海岸駅へ戻ったのだった。
【この旅行に関する他の記事】