冬のさなか、北茨城~いわき湯本を一人旅で湯めぐりしてきた。その副エピソードとして、五浦海岸から常磐線・大津港駅へ向かう途中で見つけたナイスなカフェ「和藍 さんぽ道」のことを伝えたい。
せっかく撮ったお店の写真なのにスマホのカメラに指がかかっていたようだ。持ち方がよくないんだが、この癖がいつまでも直らないんだよな…。
当日は逆コースを辿っており、五浦観光を終えて大津港駅までの小一時間の道のりを歩いて行く途中で見つけたお店だから、ちょうどよい休憩場所であった。
勝手の分からないご当地の店に飛び込むのは勇気が要ったが、なにやら引き寄せられる雰囲気があり、思い切って扉を開けた。
浅草や京都にありがちな土産物屋を彷彿とさせる、いろんなグッズが所狭しと陳列された店内。ここって食事処じゃないの? 靴を脱いであがるスタイルも完全に意表を突かれた。えーと、どうしよう、あがって大丈夫すか。
入り口で戸惑ったまま硬直していると、中から愛想のいいおかみさんが、いらっしゃいませと出てきた。食事なしのコーヒーだけなんですけどいいですか、と切り出すと、どうぞどうぞと中へ招かれた。
手前の卓に腰を下ろしてひとまず落ち着いた。それからメニューを見ると、そば・ラーメン・カレー・丼など、スイーツも含めて和系のカジュアルフードが並ぶ。軽い休憩のつもりだから食事はしない。さくっとコーヒーに決めて注文した。
それに売り物だったのか、オーナーの収集品の展示だったのかも、今となってははっきりしない。
とにかくいろいろと独特のセンスに満ちているのだが、不思議と居心地は良い。変な気取りや尖りがなく、かといってベタベタしたおもてなしでもなく、適度な距離感のおかげでマイペースにくつげる雰囲気があった。
コーヒーを飲んでだらだらまったりして、あっという間に30分経過。残念、もう行かなくちゃ。列車の時刻を気にしなくて良い状況だったらもっと粘っていただろう。
帰りがけ、「ユニークなお店ですね。最初入ったとき、お食事処に見えなくて、お店を間違えたかと思いました」とおかみさんに伝えると、「同じ感想を持つお客さんが多いんですよ、特に男の人は」とのこと。
いやあ、平凡なコーヒー休憩に収まらない、愉快な体験だった。大津港に来る用事は正直そうそうないだろうが、もし機会があるならまた利用してみたい気がする。
入り口から崖を下って行く途中に旧邸宅がある。崖の中腹という、普通の感覚ならどうみても安全圏の高さに位置しているのに、床の高さまで水が上がってきたことを示す標識が立っていて、尋常でない津波の規模に背筋が凍る。
六角堂から眺める平時の海の景色はすばらしい。向こうの崖上には五浦観光ホテル別館大観荘が見えて、温泉への期待が盛り上がる。
入館の際、おしゃれで贅沢な造りの建物へ続くアプローチを進んでいくと、広い一面に浅く水を張ったオブジェ(?)があって、端から水のあふれていく様子が掛け流し温泉を想起させた。
重厚な雰囲気の館内は、「天しん」といえば木村しか思い浮かばない無教養な自分にとっては猫に小判な場所だが、予備知識がなくても詳しい説明があちこち掲示されているから大丈夫。素人なりに勉強になった。なるほど五浦はアーティストの聖地だったのか。
本展示に続いて奥には茨城県内の美術サークルの人達の作品を展示するスペースがあった。
おそるおそる端に寄って下をのぞく。ああ海だね。ザッパーンだね。やばいね危ないね。真犯人が追い詰められる場所だね。
いまにも片平なぎさや船越英一郎が出てきそうだ。
下の写真は少し場所を移した平潟寄りのところから北の方向を撮ったもの。遠くに発電所らしきものが見えて一瞬、もしや…と思ったが、小名浜の火力発電所だった。
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せっかく撮ったお店の写真なのにスマホのカメラに指がかかっていたようだ。持ち方がよくないんだが、この癖がいつまでも直らないんだよな…。
つかみはOK
不思議と気になるお店
和風カフェ「和藍 さんぽ道」は、北茨城市の常磐線・大津港駅から五浦海岸方向へ1キロほど進んだところ、国道6号との交差点を過ぎて坂を少し上ったあたりにある。地区としては平潟になるのかな。当日は逆コースを辿っており、五浦観光を終えて大津港駅までの小一時間の道のりを歩いて行く途中で見つけたお店だから、ちょうどよい休憩場所であった。
勝手の分からないご当地の店に飛び込むのは勇気が要ったが、なにやら引き寄せられる雰囲気があり、思い切って扉を開けた。
入り口から驚かされる
…あれ? 店を間違えた? ここはおみやげ屋さん? ここで靴を脱ぐの?浅草や京都にありがちな土産物屋を彷彿とさせる、いろんなグッズが所狭しと陳列された店内。ここって食事処じゃないの? 靴を脱いであがるスタイルも完全に意表を突かれた。えーと、どうしよう、あがって大丈夫すか。
入り口で戸惑ったまま硬直していると、中から愛想のいいおかみさんが、いらっしゃいませと出てきた。食事なしのコーヒーだけなんですけどいいですか、と切り出すと、どうぞどうぞと中へ招かれた。
いったん落ち着こうか
入って右手に座敷の食事処がある。卓は5つか、もうちょっとあったかな。平日13時すぎにいたのは自分の他にナウなヤングが1組。手前の卓に腰を下ろしてひとまず落ち着いた。それからメニューを見ると、そば・ラーメン・カレー・丼など、スイーツも含めて和系のカジュアルフードが並ぶ。軽い休憩のつもりだから食事はしない。さくっとコーヒーに決めて注文した。
旅のアクセントになったお休み処
のんびりくつろぐのに良い
店内を見回すと、歌舞伎のような旅の一座のような写真がたくさん飾ってあった。入り口から見渡せる一群のグッズは手工芸品に見えたが、もしかしたらこの演劇関連グッズかもしれない。それに売り物だったのか、オーナーの収集品の展示だったのかも、今となってははっきりしない。
とにかくいろいろと独特のセンスに満ちているのだが、不思議と居心地は良い。変な気取りや尖りがなく、かといってベタベタしたおもてなしでもなく、適度な距離感のおかげでマイペースにくつげる雰囲気があった。
記憶に残る場所
和な装いのカップに入ったコーヒーが運ばれてきた。うまい。なめらかまろやか。思わずスイーツを追加注文しそうになった(お腹を膨らませたくない事情があったので思いとどまったが)。コーヒーを飲んでだらだらまったりして、あっという間に30分経過。残念、もう行かなくちゃ。列車の時刻を気にしなくて良い状況だったらもっと粘っていただろう。
帰りがけ、「ユニークなお店ですね。最初入ったとき、お食事処に見えなくて、お店を間違えたかと思いました」とおかみさんに伝えると、「同じ感想を持つお客さんが多いんですよ、特に男の人は」とのこと。
いやあ、平凡なコーヒー休憩に収まらない、愉快な体験だった。大津港に来る用事は正直そうそうないだろうが、もし機会があるならまた利用してみたい気がする。
五浦の観光メモ
五浦周辺の観光スポットについても簡単に触れておく。六角堂
国の登録記念物になっている六角形の赤いお堂。海のすぐ目の前に立っている。海面からの高さは数メートルほどあるが、東日本大震災の津波で元々のお堂は流されてしまったそうだ。現存するのは近年再建されたもの。入り口から崖を下って行く途中に旧邸宅がある。崖の中腹という、普通の感覚ならどうみても安全圏の高さに位置しているのに、床の高さまで水が上がってきたことを示す標識が立っていて、尋常でない津波の規模に背筋が凍る。
六角堂から眺める平時の海の景色はすばらしい。向こうの崖上には五浦観光ホテル別館大観荘が見えて、温泉への期待が盛り上がる。
天心記念五浦美術館
日本近代美術の発展に尽くした岡倉天心らの作品を展示する美術館。入館の際、おしゃれで贅沢な造りの建物へ続くアプローチを進んでいくと、広い一面に浅く水を張ったオブジェ(?)があって、端から水のあふれていく様子が掛け流し温泉を想起させた。
本展示に続いて奥には茨城県内の美術サークルの人達の作品を展示するスペースがあった。
五浦観光ホテル別館大観荘
アブラ香る良質な温泉がある。詳細は別記事の大観荘日帰り入浴体験記にて。サスペンスドラマの崖
五浦全体が崖になっていて、崖の端っこまで行けるところがあちこちにある。天心記念美術館から大観荘へ向かう道には柵も手すりもないポイントがあった。おそるおそる端に寄って下をのぞく。ああ海だね。ザッパーンだね。やばいね危ないね。真犯人が追い詰められる場所だね。
いまにも片平なぎさや船越英一郎が出てきそうだ。
下の写真は少し場所を移した平潟寄りのところから北の方向を撮ったもの。遠くに発電所らしきものが見えて一瞬、もしや…と思ったが、小名浜の火力発電所だった。
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