自分で勝手に「常磐ゴールデンルート」と呼んでいる、北茨城~いわき湯本エリア。その中の五浦観光ホテル別館大観荘の温泉を日帰りで利用した。
お湯よし・施設よし・景色よしの三拍子揃ったすばらしい温泉を紹介しよう。いろんな意味で隙のない温泉だから、多くの人にとって満足できるものと思う。
中でも北茨城の五浦温泉、とくに大観荘に注目したのは、ネット上で「すばらしい」との評判をちらほら見かけたからだ。香ばしいアブラ臭が癖になるらしい。
ん…アブラ? アブラって何だ? …どうやら温泉の中には油(たとえば石油とか)の匂いがする種類のものがあって、温泉通の間で「アブラ」なるカテゴリで語られている模様。
自分も素人なりにそこそこ温泉体験をしてきたつもりだが、アブラ臭を意識したことは一度もないけどなあ、本当にそういう匂いのするお湯があるの? …俄然興味をそそられた。
いやー、冬の時期だったから、妄想の中では「アブラ温泉+あんこう鍋」というわくわくプランが渦巻いていたんですがね。無念なり。
しかもあんこう鍋の方も、調べてみるとホテルにせよ街の料理屋にせよ、どこもかしこも「2人前より」の但し書きばっかり。ダブルで敗北してしまった。
それならってんで大観荘の日帰り入浴プラン(1000円)を利用させてもうらうことにした。あんこうの件はすっぱり忘れます。
大観荘の日帰り入浴が始まる11時までの間、六角堂や天心記念五浦美術館を見学してまわり、満を持してアブラの聖地へ突入。
ホテル玄関の向かって左手に長い廊下が続いていた。その先に大浴場がある様子。まずは正面玄関から入ってフロントで日帰り入浴の受付をすませる。そこから廊下を抜けて大浴場の男湯に到着した。
浴場の施設全体がとてもきれいで新しいのは震災の影響を受けてリニューアルしたためとのこと。清潔で小ざっぱりしていて気持ちよく利用できる。脱衣所の分析書には「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、高張性、弱アルカリ」とあった。
たしかに普通と違う香りをほのかに感じるのだが、それが油と結びつかない。自分の中に認識スキーマができてないからだろうか。頭に浮かぶワードは、油というより木の甘い香り、なんというか「新築の家の匂い」だった。
でも外の分析書にも「油臭あり」と書かれていたから、一般的見解はアブラなんだと思う。自分もあと数例経験すればこの手の匂いをアブラと感じるようになるんだろう。以後の記述は自分の印象と無関係にアブラ臭で通すことにする。
湯口からドバドバと掛け流される源泉は、にごり湯と表現されることが多いが、この日は濁っているように見えない。「生茶」を薄めたような透明の淡黄色をたたえて浴槽にたまっていた。
お湯に入ってみると、温度はちょうどよい加減で感触はマイルド、ずっとつかっていられる系だ。
かすかに感じるアブラ臭は石油のウッとくる刺激ではなくて、むしろアロマの香りのようであり、気分をリラックスさせるのに一役買っている。おかげで視覚・嗅覚・触覚いずれの面でもポイント高い。これはいいね。
大露天は内湯の半分くらいのサイズ。お湯は内湯と同様。場所ごとの温度差が大きい。湯口に近づくにつれて熱くなり、ときおり流れ込んだ源泉の余波が直撃して「あちち」となる。外気に触れた水面が湯気もうもうで、いかにも露天って感じ。
大浴場が入り江の奥まった崖の上にあるため、露天風呂からの眺めはすなわち、左右に迫る絶壁と、それらに挟まれて視野の真ん中に広がる海・水平線・空を崖の高さから見晴らせるということで、気持ちのいい展望所にもなっているのだ。
約1時間後、もう十分すぎるほどに堪能して大観荘を後にした。
まだアブラ臭を本当に腹落ちしてはいないが、それはそれとして、五感を通してあれこれ楽しめるいいお湯であった。五浦を訪れることがあったら必ず立ち寄りたいスポットだ。
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お湯よし・施設よし・景色よしの三拍子揃ったすばらしい温泉を紹介しよう。いろんな意味で隙のない温泉だから、多くの人にとって満足できるものと思う。
温泉としても高評価の五浦観光ホテル別館大観荘
アブラの世界
茨城県北茨城市~福島県いわき市にかけては特色ある温泉地が点在していて湯めぐりの旅に適している。中でも北茨城の五浦温泉、とくに大観荘に注目したのは、ネット上で「すばらしい」との評判をちらほら見かけたからだ。香ばしいアブラ臭が癖になるらしい。
ん…アブラ? アブラって何だ? …どうやら温泉の中には油(たとえば石油とか)の匂いがする種類のものがあって、温泉通の間で「アブラ」なるカテゴリで語られている模様。
自分も素人なりにそこそこ温泉体験をしてきたつもりだが、アブラ臭を意識したことは一度もないけどなあ、本当にそういう匂いのするお湯があるの? …俄然興味をそそられた。
一人旅の方は日帰りプランを
だが残念なことに、一人旅への風当たりは厳しい。五浦観光ホテル別館大観荘は一人泊を受け付けていない。温泉宿として楽しむ望みは幻と消えた。いやー、冬の時期だったから、妄想の中では「アブラ温泉+あんこう鍋」というわくわくプランが渦巻いていたんですがね。無念なり。
しかもあんこう鍋の方も、調べてみるとホテルにせよ街の料理屋にせよ、どこもかしこも「2人前より」の但し書きばっかり。ダブルで敗北してしまった。
それならってんで大観荘の日帰り入浴プラン(1000円)を利用させてもうらうことにした。あんこうの件はすっぱり忘れます。
五浦のアブラを体験
リニューアルした大浴場
決行当日。電車利用なら常磐線・大津港駅が最寄りとなるが、このときは前泊した湯の網温泉から宿の車で五浦の有名な観光スポットである六角堂まで送っていただいた。大観荘の日帰り入浴が始まる11時までの間、六角堂や天心記念五浦美術館を見学してまわり、満を持してアブラの聖地へ突入。
ホテル玄関の向かって左手に長い廊下が続いていた。その先に大浴場がある様子。まずは正面玄関から入ってフロントで日帰り入浴の受付をすませる。そこから廊下を抜けて大浴場の男湯に到着した。
浴場の施設全体がとてもきれいで新しいのは震災の影響を受けてリニューアルしたためとのこと。清潔で小ざっぱりしていて気持ちよく利用できる。脱衣所の分析書には「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、高張性、弱アルカリ」とあった。
木の系統の匂いを感じる
浴室内へ入る。平日の昼前だし誰もいないかも、と思ったが、3名の先客がいた。期待に胸を躍らせつつ、さあアブラ臭よ来たまえ、と鼻をクンクンさせて嗅いでみるも、いまいちピンと来ない。たしかに普通と違う香りをほのかに感じるのだが、それが油と結びつかない。自分の中に認識スキーマができてないからだろうか。頭に浮かぶワードは、油というより木の甘い香り、なんというか「新築の家の匂い」だった。
でも外の分析書にも「油臭あり」と書かれていたから、一般的見解はアブラなんだと思う。自分もあと数例経験すればこの手の匂いをアブラと感じるようになるんだろう。以後の記述は自分の印象と無関係にアブラ臭で通すことにする。
海の眺望もセールスポイント
広くてゆったりの内湯
さて、大観荘の大浴場の内湯は大規模ホテルにふさわしく、洗い場がたくさんあって浴槽もかなり大きい。20人くらいいけるんじゃないか。湯口からドバドバと掛け流される源泉は、にごり湯と表現されることが多いが、この日は濁っているように見えない。「生茶」を薄めたような透明の淡黄色をたたえて浴槽にたまっていた。
お湯に入ってみると、温度はちょうどよい加減で感触はマイルド、ずっとつかっていられる系だ。
かすかに感じるアブラ臭は石油のウッとくる刺激ではなくて、むしろアロマの香りのようであり、気分をリラックスさせるのに一役買っている。おかげで視覚・嗅覚・触覚いずれの面でもポイント高い。これはいいね。
露天風呂からの絶景
内湯の奥に向かって右手ドアから出たところに大きめ1つ、左手ドアから出たところに小さめ1つ、計2つの露天風呂があった。適当な頃合でまず大露天に移動した。大露天は内湯の半分くらいのサイズ。お湯は内湯と同様。場所ごとの温度差が大きい。湯口に近づくにつれて熱くなり、ときおり流れ込んだ源泉の余波が直撃して「あちち」となる。外気に触れた水面が湯気もうもうで、いかにも露天って感じ。
大浴場が入り江の奥まった崖の上にあるため、露天風呂からの眺めはすなわち、左右に迫る絶壁と、それらに挟まれて視野の真ん中に広がる海・水平線・空を崖の高さから見晴らせるということで、気持ちのいい展望所にもなっているのだ。
五浦のおすすめスポットとして
小露天は大露天を数割引きしたサイズであることをのぞけば同じようなもの。やっぱり湯口付近はあちちだった。しかしこの規模をすべて源泉掛け流しはすごいな。約1時間後、もう十分すぎるほどに堪能して大観荘を後にした。
まだアブラ臭を本当に腹落ちしてはいないが、それはそれとして、五感を通してあれこれ楽しめるいいお湯であった。五浦を訪れることがあったら必ず立ち寄りたいスポットだ。
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